池の面 黄菖蒲映さぬ 鯉 寂しむや
姫檜扇水仙* 可憐な風姿 初夏の空
(*漢字一語扱い)
姫檜扇水仙(ひめひおうぎすいせん) 雛形なれば 姫のつく
我(あ)が庵 姫檜扇水仙咲きぬ 想い出す
鮮やかなり 白壁を背に 咲く風姿
姫檜扇水仙 花の色や
長実雛罌粟(ながみひなげし)と同じ色
暗橙色 隣りに長実雛罌粟 咲きおりぬ
平成29年5月12日 <25首>
藤の花 散りぬれば 猶 小さき莢
藤若蔓 四方へ延びぬ 我(あ)を掴むや
莢似たり 莢豌豆 野豌豆
野豌豆 花 莢となりぬ 初夏なれば
川青葉 針槐(はりえんじゅ)の 白き花房
針槐 また針槐の 車窓かな
白き花房 針槐の大樹 覆いけり
大空から 花房垂るるが如く 針槐
蜆蝶(しじみちょう)花から花へ 都忘れ(みやこわすれ)の
蜆蝶 他に目もくれずに 都忘れに
都忘れ一途の 蜆蝶 蜜恋うるや
都忘れ 都忘るる 蜜なりや
蕺草(どくだみ)臭(しゅう)厭(いと)われしとぞ 嫌われしとぞ
あの臭気 なくば 蕺草の花冠 可憐 清楚
蕺草の花 好きよと 君よ呟き
蕺草 ひっそり咲きぬ 木下闇(こしたやみ)
万年草 雌雄 大小 色々の姿
花つづき* 黄小花 散らしぬ 花火の如
(*花つづきは 雌万年草(めのまんねんぐさ)の別称)
雄万年草(おのまんねんぐさ)輪生の葉広げて 日向ぼっこ
雄万年草 針状葉や 太り気味
雌万年草(めのまんねんぐさ)日影 日蔭厭わぬ 逞し
逆さ藤の花房 セージと知りぬ
セージはもや 早萎れぬる 花冠あり
杜若(かきつばた)白花や 独り佳き 群れ咲きも
チッチッチ 見遣るも 鳥影見ぬ 青葉の谷
平成29年5月13日
<42首>
平戸躑躅(ひらどつつじ)今 花盛り 紅 白 淡紅 平戸躑躅 満面 笑顔の花盛り
平戸躑躅 濃紅の花花 破顔一笑
平戸躑躅 我が世の春を 愛でる哉
皐月躑躅(さつきつつじ)他処や花 我庭未だ花芽(かが)
皐月躑躅 花芽 色付きぬ 五つ三つ
昨夜(きぞ)の雨 躑躅 花そのまま 落ち躑躅
突き上げぬ 酢漿草(かたばみ)尖がり帽子の実
長実雛罌粟(ながみひなげし枯れぬれば 薄茶実雛罌粟
野薔薇と蔓茱萸(つるぐみ)ともども 若蔓延ばしおり
烏一声 見上げれば 小鳥の群 八羽
小鳥の尾 燕尾服ならば 燕らむ
燕(つばくらめ) 少数の空路だったの 〔大編隊でなく〕
燕 お帰りなさい お疲れね
燕 長旅無事終え 安堵のムード
天敵と云うに 烏や 飛び去りぬ
彼(か)の一声 お帰り無事での 挨拶や
夕空を 悠々旋回 燕隊
雪の下 奇想天外な 花風姿
紫露草 碧紫 白も咲ぬ
野路菊は 果敢無(はかな)に見えど 小菊の原(もと/原種)
帰りなむ 花壇の小菊 原種の許(もと)へ
山辺に生う 小菊 野路菊と隣合い
岩苦菜(いわにがな)黄花 彩りぬ 石垣下
石垣に 卯の花 開く 未だ幼き(/幼木)に
銀の花とや 茱萸(ぐみ)の葉の裏返り
梅雨めきぬ 辺りに 皐月の鮮紅花
初夏の冷雨 草木(くさき)生き生き 霊雨となり
白露置く 南天の青葉 そぼ濡れぬ
初夏移ろい易き 夏日に冷雨かな
いつもの処 何時もの菫 閉鎖花なれど
路の縁 菫一輪 愛しき
君が代蘭 花茎 すくっと 高く伸び
-花びらの丸みおびぬ洋蘭がマリリン・モンロー
と名づけられしを想い出しつ
君が代蘭 花の風姿 や マリリン・モンロー
君が代蘭 生うは 木下蔭暗き
君が代蘭 別称は ユッケ 〔メキシコ語〕熱帯産
環境を厭わぬ 姿や 賞賛に価い
源平小菊 花変化(はなへんげ) 白から 淡紅 暗紅へ
海蘭や 蔦葉〔海蘭〕も松葉〔海蘭〕も 陸育ち
なのに 何故(なにゆえ) 名に 海や嵌(は)めらるる
場処代えり 山椒の若木 芽吹きおり
平成29年5月14日
<40首>
土筆(つくし)や早春 杉菜や初夏告ぐ 小さき景色
土筆何処(いずこ)見ぬ間に 杉菜生いにけり
杉菜 日毎 節(ふし)毎に 葉輪に生いぬ
山辺の野薔薇 蔓ばかり 刺ばかり
何の花 八重咲き野薔薇 不思議顔
八重咲野薔薇 木香薔薇(もっこうばら)とや知りぬ
木香薔薇 木仕立て(もくしたて)の淡黄花
アーチに絡む 八重の白薔薇 可憐で豪華
塀見越す 白色木香薔薇 八重に咲きぬ
木香薔薇の 芳香聞かぬ 老いおれば
松に烏 松に鸛鶴(こうづる) どちらが良しや
烏 飛び去りぬ 松 如何思うや
あぁ 悲し 桜木伐られぬ 虫食いや
鬼野芥子 蜂似の小さきの 飛び回り
蒲公英似の花に 飛び回りぬ 小さき蜂
な下見るそ 葉 鋸鮫(のこぎりざめ)の歯の如し故
花のバトンパス 酸葉(すいば)から金水引き
紫蘭咲きぬ いつか来た路 懐かしき
芝桜 束の間の華やぎ 蜆蝶
木漏れ日に 下草光る 初夏の風
青芒(あおすすき) 枯れ葉と共に 生いおりぬ
小判草 生いぬ 青芒の下 何気なく
躑躅(つつじ) 散りぬ 青葉の公園 森閑と
梅 青葉茂るるも 実見えぬとは
一樹あり 梅の実成りぬ 三つ(みっつ) 二(ふた)
木下蔭 梅の実 無数 青きまま
松落葉 松毬(まつかさ)塞ぎぬ 散歩路
木立向こう 夕陽に輝く 青葉かな
一八(いちはつ)枯れおり 人に知られで 草叢中
白野薔薇 日向の草叢の 彼方此方
小判草 歩くに続きぬ 数十メートル
白詰め草 鈴萱 ‥ 草叢今や花盛り
庭石菖 いつもの花とや 違う風姿
虫舞い 舞い 私 お花じゃないの 老女なの
虫舞い 舞い 我(あ)に華なく 老女なり
シャスタデイジー 二輪 向こう群れ咲き 夕陽映え
箆大葉子(へらおおばこ)長々しき花穂 悍(おぞ)ましき
東屋や 書読む佳人 初夏の夕
茎 見氏となりぬ 虎杖(いたどり)二メートル超え
蘭の鉢 霞草(かすみそう) 妙な 寄せ植え哉
平成29年5月15日
<首>
漫ろ歩き 蝶々舞い来ぬ 前(まえ)後(うしろ)
胡蝶 赤褐色の 珍しき
韮(にら)の茎 揺れるともなく 揺れおりぬ
ふと見れば 向うに佇む 韮の花
このロッゼト(根生葉)何(な)ぞ思えば 兎菊
驚きぬ こんな身近や 兎菊
すらりの葉重ね 花茎立てぬ 兎菊
此は 何(な)の花 触れれば にゃぁ あっ虫取り撫子
野薊(のあざみ)や 他の野草らに 抜きん出ぬ
先日は 野薊 草叢に埋もれおりぬ
野薊や 葉茎 図太き 深緑
鋸葉に棘 粘き茎 野薊や 重装備
野薊の過剰防衛 何(な)が為に
野薊草花 肉食獣に 食まれぬ筈
盗人萩 楕円の葉 可愛らし 野薊側
盗むなら 野薊の棘を 盗人萩
野薊 故郷は〔何処〕砂漠の隣や サボテン生う
野薊 花茎の頂き 花芽つけぬ
次の折 鮮紅の花に 見(ま)みえるらむ
忍冬(すいかずら)冬忍び 二十九年 石垣下
忍冬 咲き初めぬ 可笑しな風姿
忍冬 今年 葉浅緑 花芽(かが)撓(たわわ)
忍冬 花芽 花芽 花芽の 花やかさ
また出会えぬ 淡紅色の詰め草 レッドクローバー
クローバー 白き ポンポン 花莚(はなむしろ)
春紫苑 シャスタデイジーと隣り合いぬ 他生の縁や
平成29年5月16日
<35首>
公園ぐるり 上青葉 下落葉
公園のブランコ ぽつんと 人影なく
ブランコを漕げば 気分は 宇宙遊泳
宵待ち草 小さきが 野辺に咲き萎み
兎菊 蕾揺れるや 崖の上
名の分かぬ 紫小薬玉 植え込みの縁
小判草 酢漿草 子持ち撫子 咲くや 其処此処
チッチッ チ 樹木 遥か 電柱の彼方
山牛蒡(やまごぼう) 長楕円の葉ばかり 重ねおり
薔薇の萼裂け 紅の唇(びる)ちらり開き
野茨や 蕾の塊 咲くは暫く
小手毬(こでまり) 邂逅 雪柳想い 春追想
黄菖蒲(きしょうぶ)花盛りなり 池の辺り
薙ぎ倒されぬ 黄菖蒲の簇(むら)あり 昨夜(きぞ)の嵐
芍薬(しゃくやく)や 塀越しに顔見世 散歩路
深紅の 重弁 芍薬や 姿佳き
葉五裂(いつれつ)更に 三裂 何(な)の花ぞ
花咲きぬ 風露草(ふうろそう)とや 思い至りぬ
風露草 小さき 淡紅紫 愛らしき
杜若(かきつばた)七つの蕾 花二輪
杉菜 背高く高く 木賊(とくさ)と成るや
花酢漿(はなかたばみ)萎れぬ中から 月見草
苧環(おだまき)の花びら全開 しどけなき
此の野薔薇 他より大き 花冠あり
八つ手嫩葉 瑞々しきや 溝の中
定家葛(ていかずら) 風車風の 白き五弁 定家葛 嫩葉に白斑 涼し気な
小さき畑 小さき野原となりぬなり
小さき野に生いぬ 長実雛罌粟(ながみひなげし)春女苑(はるじょおん)
谷間の 緑に白萌黄 花や嫩葉や
哀れ 見分け難し哉 初夏の万緑
視力弱き わが身こそ 哀しけれ
新緑中 萌黄葉 独り おっとりと
針槐(はりえんじゅ) 花びら零るる路 花莚(かえん)
陽一条や 眩しき哉 曇り空
平成29年5月17日
<首>
あっ この葉 白緑 鋸歯(/葉) 見覚えあり
蕾垂れ 佇む姿 謎めきぬ
もしかして 罌粟(けし)雛ならむの 再訪や
それとも 雛罌粟の来訪 何時ものような
そういえば ポピーは何処 見かけぬ今年
皺(しぼ)ある花びら 四ひら開きぬ ポピー
朱 赤 黄 オレンジ ポピーの花楽し
源平小菊 花三変化(へんげ) 白淡紅暗紅*
(*漢字一語扱い)
源平小菊 可憐な風姿 何処(いずこ)で出会うも
源平小菊 紅に移ろう 妖しの景
微風(そよかぜ)に 戦ぐ源平小菊 いと愛し
日増しに増しぬ 紅色花冠 源平小菊
鬼野芥子 たんぽぽ似の黄花 春恋うるや
初夏の空 朱紅に燃えぬ 何の樹ぞ
辺りから 際立つ 朱紅 風騒ぎ
名を問わば ブラシの木 の答えあり
春野芥子 葉小鋭化 鬼〔野芥子〕となるや
鬼野芥子 野薊 葉葉恐ろしの 双璧なり
野芥子 春も鬼も 黄花や 可憐
平成29年5月18日
<首>
忍冬(すいかずら) 蔓 延び延びぬ 石垣へ
ー懸崖(菊)のように咲きぬ 仙人草
見るが叶わず 哀しみおり
葉を見れば 仙人草らし 嬉し初夏
雑木林 下草繁し せせらぎの音
水仙の簇 枯れに枯れ行く 自然のままに
水仙の簇 人手入らずば 枯れるがまま
藪虱(やぶしらみ)虱形の実 戦ぐ夕暮れ
蔓色々 千々に生いるる 五月雨に
鬼野芥子 葉 スリム鋭く 夏デザイン
小判草 花穂青きまま なら 小さき小判
春紫苑 姫女苑 どちらと問えば 小鳥の声
雪の下 花冠 ほんに 不思議な風姿
雪の下 花茎 ふらふら 伸び上がり
雪の下 蕾下垂(したたれ) 覚束な気
雪の下 日影 日蔭 どちらや好み
雪の下 精気失せおり 岩の下
珠簾(たますだれ)いつもの場処 に見ぬは 哀し
用水路 初夏の野草園 千種生う
数えれば 卯の花 虎杖 源平小菊 忍冬 夏蔦 蔦葉海蘭 ‥
卯の花 蕾 花咲くまでや 待ちましょう 驚きぬ 忍冬や蕾 数々 用水路
用水路 瑞々しきに 枯れ尾花
瑞々しき 用水路の壁 夏蔦や
用水路 覗けば 卯の花 枝枝(ええ)四方
蔓の先 花と見紛う 双葉 揺れ
源平小菊 何処でも笑顔 用水路でも
蔦葉海蘭も 用水路の一隅(ひとすみ) 一人占め
月見草 二輪優し気 ネリネ 悲惨
花酢漿(はなかたばみ) 枯れ行く許り 五月雨に
韮の花 咲き咲きて 日向ぼっこ
窓外や 薔薇園 薔薇 ばら ばら 薔薇
源平小菊 可憐豪華な 花絵巻
平成29年5月19日
<34首>
一日の長くなりにけり初夏の風
初夏の庭 憂愁あり 我(あ)の想い
細波(さざなみ)立ちぬ 葉葉 吹き抜けぬ 五月雨
そよ風や 涼風にならぬ この暑さ
気怠さよ 初夏 暑夏 となりならむ
蜆蝶 舞い舞い舞いぬ 影も舞い
五月晴れ 蜆蝶や翅 揺れ揺れ
蜆蝶 いま一匹 翅 震わせ
蜆蝶 2匹 舞いぬ 近離 離近
〔近づき離れ 離れ近づく〕
灰青と茶 蜆蝶や 色問わぬ
忙し気 蜆蝶 飛びぬ 花無き庭を
酸葉(すいば)も 姫〔酸葉〕も 実の熟す頃となりにけり
坂路や 小判草咲きぬ プロムナード
小判草 続きぬ路や リッチな気分
紋白蝶 飛び来 去りぬ蜆蝶
桔梗草 枯れ草 枯れ枝 何の其の
姫烏頭(ひめうず)や ひ〔っ〕そり まだ咲きおり 庭の奥
雪の下 花一斉 こちら向き
それにしても 不思議な花冠 雪の下
西日強し 慌てて日傘 木蔭まで
矢車草 白き花冠 夕日映え
月見草 咲きぬや五輪 黄昏前
水仙黄昏ぬ 黄葉倒れり 哀れなり
花揺れぬ 長実雛罌粟(ながみひなげし) 爽やかな
見上げれば 卯の花 匂う 山辺の夕辺
見上げれば 卯の花微笑(ほほえ)む 我(あ)も微笑
野茨や 蕾開きぬ 白一輪
白四ひら 葯真黄 魅惑的かな 蕺草(どくだみ)
蕺草の花咲き初む 一輪 二(ふた)
青紅葉 新枝(にいえ)伸び伸び 青き空
山藤や 今 嫩葉 若蔓 花芽隠れ
散歩路 山藤 被さり 片アーチ
ふらふらと 帰り来む 我(あ)に 小鳥の声
もう少し 梢の雀の 励ましかな
平成29年5月20日
<34首>
長実雛罌粟(ながみひなげし)皆 長き実となりぬ
長実雛罌粟 サイズ色々 大中小
長実雛罌粟 大や 虞美人草に劣らぬ 草丈
中や 花びら2センチ ほどよき茎
小さな蜂 雛罌粟目指して 一直線
小や 愛らし 花びら五ミリあるかどうか
花びら散り 実結びたり 長くはなけれど
春野芥子 三代目 花茎 十三
黄花冠 たんぽぽ似 二十 春野芥子
まだ五月 というに夏日や 続きぬ
野芥子 春も鬼も 暑気知らずや
鬼も春も 野芥子 黄花を次々と
いつ見ても 黄花愛らし 春鬼野芥子
源平菊 皆南向き 向日性?
夏日続けば 夏虫出ずや あぁ 嫌ぁね
日中(ひなか)夏日 夜中 皐月の最中(もなか)なり
朝夙(あさまだき) 悉皆(しっかい)静穏 且 清涼
春紫苑 花冠むさむさ むさくるし
花咲く頃 すらりの美形 春紫苑
雀飛び去り 燕飛び来ぬ 初夏の空
皐月(さつき)花 日影 朱紅 日蔭 桃紅
- 五月半ば 一周間前 姿を見せたままなので
燕 一度来訪 それから沙汰無し
初飛来 以来 見ぬ燕 案じおりぬ
案ずれば 二列の尾羽(おばね) 今朝 旋回
電線にも 止まり羽広げ 元気そう
元気でなにより 良き巣造りに 励んでね
我(あ)が庭の 皐月(さつき)漸(ようよ)う 花芽見せり
不思議なり 花芽見ぬばかり なりおりしが
青き蕾を見ぬ 皐月 花咲くとは 思ほえで
次々に 桃紅花芽出ず 皐月
誘われしか 皐月の暑気に 皐月
姫小判草 一株来たり 我(あ)が庭に
今年 小穂 百穂 時得たりや 土得たりや
忍冬(すいかずら)まだ三分咲き 石垣下
平成29年5月21日
<26首>
嫩葉に青葉 燕(つばくらめ)の 皐月哉
今日は また心地好き 皐月の気
暑くもなく 寒くもなく ほどほどな
紫陽花の 浅緑の花芽 皐月の空
やはり 蛍袋 蕾の風姿 その証
蛍袋 急成長 夏日続きに
韮(にら)白小花 早や 青き実となり
葱坊主 丸々 雛罌粟花 赤 朱 赤
蕺(どくだみ) 咲く 低く且高く 石垣に
空木(うつぎ)咲きぬ 白から暗紅変化(へんげ)楽し
打ち出れば 辺り 清々(すがすが)し 皐月の気
五月晴れ 庭も草木も清々し
ぐるっ ぐるる 山鳩の声 皐月の空
蕾垂れ 謎めきぬ風姿 か(彼)何(な)の罌粟(けし)
灰緑の葉 花色は 何の色ぞ
-罌粟の花色が白系統は 果実が麻薬の原料に
となるので栽培禁止になっているを知って
願わくば 花色 白の他で あらむことを
罌粟咲きぬ 花色 赤紫の 淡きなり
過日咲きし 一輪と 同系統
二年後に 姿を消しぬ 定め通り*
(*罌粟は二年草)
罌粟の種(たね)眠りにつきしか 地下の闇
罌粟 再会 夢に見しも 夢の如し
嬉しさの余り 写生と写真を
黒き紋 茶色の翅の 蝶飛び来ぬ
黒き眸(ぼう)や 蝶 写生の我(あ)眺めおり
罌粟の花 石垣の源平小菊 笑顔寄せぬ
出会えたり 紅葉(もみじ)の実生え 罌粟の側
平成29年5月22日
< 首>
莢のなか 豌豆豆 八つおり 豌豆豆 君の家庭菜園から〔の贈り物〕
五月晴れ 蝶々舞いぬ 豆御飯
豆御飯 明日もう一度の 幸せかな
そのままも 美味佳肴(びみかこう)なり 莢豌豆
簇作り 咲く忍冬(すいかずら) 芳香 猶
燕 翻りぬ 青空の彼方
燕返しに飛びぬ 餌(え)探しや
野薔薇の懸崖 忍冬の懸崖 懸崖に
兎菊 そよ風の戦ぐ 一輪あり
帰路にもう 一輪出会いぬ 兎菊
咲き誇る 海宇(かいう)の真白き 眩しき哉
和蘭海宇 門扉に仄見(ほのみ)え 懐かしき
不図見れば 諸葛菜(しょかつさい)の 実や 柵越しに
忍冬に 蜂の大小 飛び寄り来
昼顔の葉に似たる蔓草 溝の縁
すいすい*密か 小さき石積みの蔭
(*紫酢漿草(むらさきかたばみ)の別称)
小菊の鉢 ビオラの姿 初夏の乱や
三色菫 今 花色七種 白 黄 淡黄 淡碧紫 橙
白紫 紫と黄
ドイツ菖蒲 杜若(かきつばた)顔合わせぬ〔国際交流?〕
切れ葉野葡萄 幼きが蔓 延ばしおり
紫蘭(しらん)の白き 遠見したり 久し振り
垣間見たり 紫蘭の白きを 散歩路
背高く 誇り高き ジャーマンアイリス
杜若 紫 一際 華麗哉
香しき 忍冬(すいかずら)の花 微笑みぬ
何処からか 忍冬(にんどう)の花の芳香
忍冬繚乱 集(すだ)く風姿も ユニークな
忍冬(すいかずら) 唇形の花冠 唇 唇 唇
忍冬 唇開きぬ あかんべえ
忍冬 花色変化(へんげ) 白から黄
忍冬 花変化(へんげ)実(げ)に 金銀花*
(*金銀花は 忍冬の別称 花冠が
白から黄へ移ろう故?)
雪の下 お洒落な花冠 宇宙的
髪洗い 夕涼みせむとや まだ五月
庭手入れ 何時までの楽しみ 老いの身は
蛍袋 やはり そうなり 蕾の形
未だ 蕾 まだ 開かずも もう樽袋
蛍袋 待ちに待ちたり 鐘状花
罌粟(けし)散りぬ 一日花や 一期一会
平成29年5月23日
<首>
紫露草一輪* 姫檜扇水仙*の簇 から出ぬ
(*漢字一語扱い)
姫小判草 涼やかな風姿 五月晴れ
鈴萱(すずがや)*の鈴の音 聞くや 春女苑
(*姫小判草別称)
小判草 枯れぬれば 小判〔色〕になるもがな
兎菊 一輪 濃黄(のうおう)夕陽映え
垂れ光る 柿の嫩葉や 夕陽なか
柿嫩葉 大大しきは 夏日の所為?
西洋〕撫子(なでしこ)朱赤 白 濃紅 青紅 桃紅 鉢の宴
手折られしも まだ花つけぬ 鬼野芥子〔健気かな〕
虎杖(いたどり)の簇 茂りに茂りぬ 鬱蒼と
無花果(いちじく)実一つだに あるも 寂しき
梔子(くちなし)の匂う 垣根や 今何処(いずこ)
紅茸(べにたけ)の 生いし処や 石蕗 一輪
枇杷の実 丸々大きくも 未だ青き
一休み ベンチ見つけり 有り難き
捩花(ねじばな)や 久し振りの出会い 庭石蔭
庭石の 陽当たり良きに 捩花 三輪
捩花 花小さく螺旋に咲く 不思議かな
我が庭にも 二年許りの 訪いあり
ときめきぬ 身近な邂逅 捩花と
これ 捩花よ 告げくれし君 今は亡く
捩花の古名 忍捩摺り(しのぶもじずり)の捩摺りとは
生垣に絡む 苗代苺 通りすがり野茨(のいばら)も また蔓延ばしおり 生垣上
此方(こちら)苺 彼方(あちら)野茨
生垣 賑〔そう/にぎやか〕
風戦ぎ 小判草の小穂 沸き立ちぬ
涼風(すずかぜ)に 鈴の音響くや 鈴萱(すずがや*)の (*鈴萱は 小判草の別称)
-昔の我が庭に生いぬ木苺を想い出しつ 木苺の 白き花びら 梅花に似たり
木苺の花冠楽し気 パッと咲き
姫小判草 此処 其処 彼処(ここ そこ あすこ)小穂垂れぬ
姫小判草 小さき小さき 穂 優し気な
平成29年5月24日
<34首>
シャスタデイジー 花の真白き 緑野に
シャスタデイジー 白きの点描 緑のカンバス
シャスタデイジー の簇 此方にも 彼方にも
シャスタデイジー の丘 駆け上りぬ 夢想なり
シャスタデイジーの丘 喘ぎつ上りぬ 初夏の風
シャスタデイジー 笑う 真白きが 笑いぬ 丘の上
鬱 再来 寝覚めるも ベッドに 終日(ひもすがら)
ひりひりと 焼けるが如く 鬱苦し
刈られても 刈られても 猶 生う 盗人萩(ぬすびとはぎ)よ
盗人萩 嫩葉 青青 青盗んだや
皐月躑躅(さつきつつじ)桃紅の花芽 次々と
マジックの如 皐月〔躑躅〕の花芽 次々と
何処(いずこ)にや 隠れおりたり 皐月の花芽
苗代苺 白き五ひらの 愛らしき
苗代苺 花びら枯れ 桃色の小さきや 果実(み)の兆し
清々しき 五月の空や 忍冬(すいかずら)
野辺に咲く 卯の花 ほんに 鄙の華
燕の群 一羽 紛れぬ 小鳥見ゆ
糠雨(ぬかあめ)の 集く葉先や 雫 ぽとり
ふわふわの 白きポンポン 野芥子の綿毛
紫苦菜 若葉 ぐんぐん 夏日中
空木(うつぎ)白から暗紅 花変化(へんげ)
空木枯れぬ 哀悼の情 皐月の庭
額紫陽花 蕾 膨らみぬ 見る度に
額紫陽花 花芽 並びぬ 雛壇の如
窓ガラス 飛び着く虫の小さき哉
こんなにも 小さき昆虫 初見なり
浅緑 半透明の姿 何の虫?
よく見れば 飛蝗(ばった)か 蝗(いなご/稲子)の幼な姿負飛蝗(おんぶばった)の極小の体躯 1cm弱
それとも 稲子 辺りに田 あらねども
葉蘭 新芽出でぬ 打ち拉(ひし)がれつも
枯れ篠や す〔っ〕かり若葉に 衣替え
生垣や 蔓草 千種 蔓延ばしぬ
平成29年5月25日
<首>
露光る 青薄光る 五月雨よ
南天の 白き花芽の 白き露
五月雨 南天の葉葉 雫垂れ
五月雨 庭の千草や 生き生き慈雨
桜花(さくらばな)散れども 花候 皐月躑躅(さつきつつじ)
晴れ間あり 紫陽花の花芽 忍冬(すいかずら)
故もなく 動悸の高まり 気候のせい*なり
(*低気圧続く初夏の気候不順)
桔梗草 茎斜傾 花濃紫
細身の茎 傾(かたぶ)きぬ 右左(さう)桔梗草
あっ 烏揚羽 羽搏き 横切りぬ黒き影
フェンスに這う 名の知らぬ 蔓草 今夏もまた
マーガレット似の白花 垂れぬ 懸崖〔菊〕の如
木蔦(きづた)垂れぬ 壺垂れ(つぼたれ)の如 青緑の
白系の 蛍袋や 溝の上
路の縁 蛍袋や 紅系の斑
〔紅白の〕蛍袋 咲き乱れしは もう思い出
花の候 乱れ乱るるは 我(あ)が動悸
要黐(かなめもち)紅嫩葉に青葉 皐月雨(さつきあめ)
野茨や 新芽盛りも 花は未だ
夏日一転 しとしと庭に 迎え梅雨
晴れやか 嗚呼 晴れやかな 五月晴れ
暮れ泥(なず)む 初夏の空や 涼やかな
平成29年5月26日
<31首>
雪の下 満開 静か華やかな
雪の下ユニークな花冠 咲き揃いぬ
雪の下 花冠二弁(ふたひら)突き出しぬ
この二弁 漢名 虎耳草の 由来らし
虎 如何 繊細 愛し 花姿
雪の下 葉 毛深く厚く 冬〔雪〕忍ぶや
雪の下 忍びて 咲くは 皐月の候
生垣に生う 苗代苺 青き空
生垣覆う 苗代苺 蔓にゅうにゅう
淡朱の果実 覗きぬ 愛らしき
今咲かむと思うや もう実結びぬ 苗代苺
五つ三つ 花冠寄り合う 樫の長穂
樫の樹の花穂〔雌花〕秋には どんな団栗に
樫の雄花 揺れぬ 清々し 風姿哉
向こう側 新緑繁し 小鳥の声
この木 何の木 問えば 虎杖(いたどり)とや
忍冬(すいかずら)屏風の如 フェンス沿い
アガパンサス 剣状嫩葉 生い繁りぬ
アイスランド・ホピー 白に紅 朱紅 淡赤紫
撫子 五色(いついろ) 艶やかな花姿(はなすがた)
辺り 深緑(ふかみどり) 浅緑(あさみどり)独り映え
玉椿 花穂白きの揺れぬ 青き空
杉の花穂 一か処かと思えば もう一か処
花も実も 韮(にら)溝底から出ず 逞しき
生垣から飛び出で 小虫 舞い舞い舞い
何処までも 絡み来ぬ 小虫 ストーカーね
枇杷の実や 撓(たわわ)となりぬ 何時の間にか
枇杷の実 撓なり 未だ青きなれど
枇杷の花見た日 実やまだ遠き日 と
生垣に 菊葉野老(きくばどころ)忍冬(すいかずら)他
生垣下 蓬の嫩葉 伸びやかな
生垣下 処処 に 紅葉(もみじ)の 実生(みおい)
生垣の 苗代苺 簇作るほどに
平成29年5月27日
<25首>
酢漿草(かたばみ)の葉 すいすい(紫酢漿草)のなか すいすいは 葉や瑞々しき 色淡し
桔梗草 濃紫(こいむらさき)二輪 もう一輪
あぁ 哀し 桔梗草抜きぬ うっかりし
花芽 明日 綻(ほころ)ぶらむ 南天の
蕾 皆 浅緑哉 紫陽花(しようばな)
紫陽花(あじさい)の 蕾綻(ほころ)び 萼一片(ひとひら)
見上げれば 楢(なら)浅緑 空碧く
長実雛罌粟(ながみひなげし)小さき小さき残花あり
痛っ! 苗代苺の棘 誰(た)への防御?
皐月の風 小判草縫い 春紫苑過ぎ
この香り 覚えやありぬ 平戸躑躅(ひらどつつじ)
甘酸っぱき 平戸〔躑躅〕の花蜜 懐かしき
まあ 咲いたり 蛍袋や 咲きにけり
一斉に 咲く蛍袋 白 晴れやか
釣鐘形 ふ〔っ〕くら艶めかし 蛍袋
渋紅(しぶくれない)蛍袋も咲きぬ 路の縁
路の縁 か細きも 咲きぬ 蛍袋
蕺(どくだみ)の 花白く艶 遠目にも
蕺の 花びら まったり 乳白色
雪の下 植え込みの下 ひ〔っ〕そりと
忍冬(すいかずら)も 腐(くた)す哉 五月の雨
木柵前 蛍袋や まだ小さき
満開 且 蕾有 蛍袋
ブラシの樹 遠くも近くも 鮮紅色
平成29年5月28日
<32首>
鉢植えの 苺 震災後の 贈り物
やがて ランナー出しぬ とび出しぬ
早春より 苺 毎年 姿見せり
花白き 笑うや苺 青き空
葉陰にや 小さき苺 熟しおり
小さき小さき 赤き赤き苺
今年怪し 苺や見ぬ 哀し哉
今見つけたり 諦めおりぬ 苺だに〔だったのに〕
皐月末 漸う 苺 見つけたり
苺 見つけたり 待つ日の長きこと
感喜 歓喜 小さき嫩葉 彼方此方に
ハート形の 複葉の 小さき苺
悲嘆 悲哀 苺に非ず 金水引(きんみずひき)
葉の如く 金雀枝(えにしだ)の青き莢 垂れおりぬ
帰り路 香しき匂い 忍冬(すいかずら)
芳香に 暫し 佇む 散歩路
野薔薇も また 芳香放つ 散歩路
岩下野(いわしもつけ)花冠ふわふわ 小綿菓子
楽し 犬鬼灯(いぬほおずき)再会 我(あ)が庭の
昨年(こぞ)の冬 永久(とわ)の別れと思いしが
草草の 蔭に咲きおり 犬鬼灯
新しき 犬鬼灯出でぬ 古茎より
驚きぬ 犬鬼灯は 一年草
犬鬼灯 出会いぬや もう 白小花
犬鬼灯 花白き 小さき 愛らしき
矢車菊 細身の風姿 風に揺れ
矢車菊 ほっそり姿の 立ち美人
矢車菊 ほっそり美人の 佇まい
矢車菊 風や吹き抜け 花茎揺れ
新しき蕾と見しが 著莪(しゃが)の実かな
虞美人草 咲き乱るる野 想う空
花冠揺れぬ 朱赤 紅赤 虞美人草
平成29年5月29日
<首>
草花に 邂逅 感動の一時(ひととき)小さな幸
あな 珍し 紋黄蝶舞いぬ 姫女苑
卯の花の 小さき〔/木〕に 出会いぬ思い掛けず
幼木(おさなき)も 花 精一杯 卯の花 可憐
姫烏頭(ひめうず)を 此処にも見つけり 初夏の庭
クレマティス 花散りぬ茎 蕾あり
アマリリス 咲けば 辺りや 華やぎぬ
アマリリス 緋色の大輪 青き初夏
緋色 チラリ 戻り来見れば アマリリス
矢車菊 風吹きぬけぬ 爽やかに
矢車菊 爽やかな風 皐月晴れ
春紫苑 姫女苑や 見紛いぬ
春紫苑 紫ほんのり 蝶 知るらむ
花の無き 木立に舞う蝶 何故(なにゆえ)に
オルリア 白き花頭を 一杯に
琵琶の実や 色づきぬも また黄色
琵琶の実や 黄色の隣り まだ 青き
木通(あけび)まだ嫩葉 三つ葉も 四つ葉も
蔓の運命(さだめ)絡みつきぬは 相手次第
絡み付き またつる延ばしぬ 勢いあり
草影に すいすい 〔=紫酢漿草(むらさきかたばみ)〕
梅雨迎え
紋白蝶 晴るる日 楽しや 舞い舞いぬ
日陰退き 日影増しぬ 初夏の庭
葉広げぬ 金水引や 水遣れば
金水引 良く育ってねと 研ぎ汁かけぬ
此処にも すいすい 雛罌粟(ひなげし)の奥
紋白蝶 青葉木立を 一人舞台に
紋白蝶 今ぞ我が世 と 彼方此方に
草も木も 花白き哉 初夏の景
山葡萄 蔓垂れ惑いぬ 鉄柵上
菫 莢 枯れ弾けぬ 三裂星形
菫夏葉 唯 勢いぬ 花無くに
平成29年5月30日
<27首>
大きな蜂 一匹 飛び来ぬ 我(あ)が居間に
或る日の初夏 大蜂の来訪 年中行事
大きな蜂 女王蜂や 伴無けれど
或る日 檸檬(レモン)色の巣見ぬ 琵琶の枝(え)に
高砂百合 未だ姿見ぬ まだ早き
高砂百合 処構わず咲く 気儘
紋白蝶 無心に舞いぬ 青葉木立
紋白蝶 花から花 童謡の通り
お久し振り 定家葛(ていかかずら)や 谷間に
欄干に 定家葛や 群れ絡みむ
定家葛 風車(かざぐるま)風の 花五片(いつひら)
栗の樹に 花投網の如 定家葛
栗の樹や 花花(かか)風車(かざぐるま)定家葛
青葉に白花 定家葛の風車
梅雨入り前 もう熱帯夜 如何せむ
ゼラニュウム 淡紅色の 石段上
すいすい〔=紫酢漿草(むらさきかたばみ)〕我が庭にも 淡桃紫色が
山椒 実生え とんでもない! 溝底に
韮(にら) 消えぬ後の路傍 無情なり
桔梗草 淡紫の花 斜め生い
蔓草や 喜雨や 暑気や 千々の勢い
蔓延ばしぬ 蔦葉海蘭(つたばうんらん)小花載せ
荒れる前庭 姫女苑 嫋(たお)やかに
すいすいの 窄(すぼ)みぬ 夕べの散歩路
薔薇緋色 夕日も恥じらう 妖艶さ
夕日なか お喋り弾むや 兎菊
暗橙の姫檜扇水仙(ひめひおうぎ)衰え 紫露草盛んなり
平成29年5月31日
<30首>
夕風に戦ぐ藤蔓 卯の花や
橙色 加わるる アイスランド・ポピー 緋 淡紅 白に
夏日の夕 悉皆静か 涼やかな
紅一葉 降りおり来 ふと 秋想う
転(まろ)び行く 紅の落葉 秋遠き
すいすい* 乱れ窄(すぼ)みぬ 夕花壇
〔*すいすいは紫酢漿草(むらさきかたばみ)の別称〕
日中ならば すいすい 一花繚乱
紋白蝶 青葉縫いぬは 無用の用や
紋白蝶 烏揚羽蝶や 飛び交う青き空
暑気納まり 涼風吹きぬ 夏日の夕
風涼し 甦りたり 草木 我(あ)も
風 清(さや)か 暑気払われ 清々(すがすが)し
熱帯夜 窓辺で納涼 真夜中に
寝苦しき 夕涼みせむ 丑三つ時(うしみつどき)
この芳香 何処からや と足を止めぬ
何時の間にか 包まれたり 芳香に
芳香や 放つは誰ぞ 卯の花 躑躅(つつじ)
涼風(すずかぜ)の 甘酸っぱき香 初夏の景
白き花 密やか 艶やか 山法師〔/山帽子〕
山法師 白き四弁(よひら)や 青葉の樹
赤松の残るる雑木林や シャスタデイジー
見慣れぬ風姿 あっ あれは 紅詰め草〔/レッドクローバー〕
紅白詰め草や 類は 友を呼ぶ
白詰め草 紅詰め草 生いぬ 不即不離の間に
見るからに 棘棘し 野薊の棘 棘棘しき哉 野薊のこの風姿
聳え立つ 野薊 猛々し 蕾まで
捩花(ねじばな)早や 実となりぬ 庭石隅
捩花の実 花から想えぬ 武骨かな
捩花の花 蘭系 華奢で可愛い
平成29年6月1日
<32首>
漸うに 紫立ちたる 紫陽花かな
白狩り*は せずとも出会いぬ 初夏の路
〔*紫狩りを捩って〕
紫狩り白狩り 黄狩りも ありなむや
-日中に 月見草の大勢惑を見て
月見草 朝から待つや 月の出を
-建て替え計画のあるを聞くお庭の前で
桔梗草 有終の美や 庭の隅
兎菊 群れ 野辺に咲く如く
深山に迷い込みたる如 山辺の路
皐月過ぎぬ 腐(くた)しにけり 皐月躑躅(さつきつつじ)
黄菖蒲や 僅か川辺の草叢中
更地す〔っ〕きり 野草園になるらむ 何時
針槐(はりえんじゅ)散りぬ 卯の花咲きおりぬ
鹿子草(かのこそう)邂逅 楽し散歩路
見上げるる鹿子草 花頭 愛らし
鹿子草や 花頭小花の 半手毬
鹿子草 五弁(いつひら)紅白の暈(ぼか)し染め
-ご近所から過日鹿子草を頂いたこと
を想い出して
褒めれれば どうぞと 一株鹿子草
日影の良きに植えたるも 直ぐ消えぬ 哀
桜並木 青葉 青葉の 続く路
羽搏(はばた)くも 飛び去らぬ 蝶 どうしたの?
蝶そのまま 水滴るる 石垣下
蜜ならぬ 水吸う蝶々 初見なり
喉渇くや 蝶々の水呑み 夏日の夕
青紅葉(あおもみじ)束の間の ロマンの街路
青紅葉 アーチ過ぎれば 夏日影
曇り空 どんより 辺りも 初夏の夕
探しおれば 蛍袋? と君問いぬ
蛍袋 小振りなれども いつもの石垣に
出会えれば それで幸あり 蛍袋
蛍袋 安堵の様子 我(あ)も安堵
定家葛 また出会いぬ 散歩路
逞しき 定家葛生いぬ 何処(いずこ)にも
平成29年6月2日
<23首>
黄昏(たそが)るる前にと急ぎぬ 夏の夕
黄昏や 何処かロマンティックな響きあり
兎菊 通り掛かれば こんばんは
ゼラニュウム 窓辺に咲きぬ 愛らしき
ゼラニュウム 桃紅色の ラヴ・ミー・テンダー*〔love me tender〕
(*この品種に付けられた名前)
夏木立 どんより沈みぬ 暗緑の景
赤松の木立も どんより 淀(よど)めきぬ
花壇のみ 華やか 朱 黄 緋 初夏の色
花の名は ベゴニア ペテュニア マリーゴールド
立葵(たちあおい)夕風に揺れぬ 月白の空
日は西に 月白きは 初夏の天上
立葵 緋色 笑いぬ 一輪 二
淡紫の霞 美し 散歩路
遠目には 淡紫の霞 か 栴檀(せんだん)の花
休みつつ 初夏の坂路 老いの坂
桃紅の 皐月*(さつき)笑顔で お帰りなさい
(*皐月躑躅(つつじ)の略称)
夕凪や 万象 静か 静まりぬ
アガパンサス 剣状葉の茂るる ばかりなり
欄干に 葛(くず)巻き付きぬ 谷間より
葛 大きな葉広げ 蔓草の女王
撓(たわわ)なる枇杷の実の色 青から黄
篠簇に 蓬簇がりて 押し合い圧し合い
秋明菊 嫩葉揃えぬ 初夏の庭
平成29年6月3日
<28首>
掌状の葉 験の証拠(げんのしょうこ)と君指しぬ
これが 験の証拠 熟熟(つくづく)眺めぬ
見渡せば 我(あ)が庭にも 験の証拠
花小さき 小さきちいさき 験の証拠
淡紅もあり 験の証拠の 花愛し
瀟洒な 葉姿 佳き哉 漫ろ歩き
名は風露草(ふうろそう) 花が由来や 小さく儚き
紅褐色の葉 独り 緑のなか
夕暮れに見れば 静か 萎みおり
朝来むと 見れば 風露草 頷きおりぬ
紫陽花(あじさい)や 見れば 気持は梅雨備(もよ)い
紫陽花(しようばな)萼開けど 色浅緑(あさみどり)
紫の匂う 紫陽花 紫陽花らし
額紫陽花 水色 桃色 華やかな
通りすがり 額紫陽花や 紫陽花も
山紫陽花 白と端紅(つまぐれ) 鄙の色
角曲がれば 青紫色の 紫陽花かな
出会い頭 (であいがしら)紫陽花の色 桃紅色
七変化*(しちへんげ) 次の出会いや 何の色
(* 七変化は紫陽花の別称)
桃紅色 変化(へんげ)するや 否 そのまま
七変化 一色もあり そのままの
すいすい生いぬ 道路の端に すいすいと
すいすい咲き乱れおり 淡桃紫色に
金魚草 八重や木柵に 寄り添いぬ
ブラシの樹 緋色の火炎 消沈す
漫ろ歩き 迷い込みぬ 土小路
土小路 すいすい 蕺草(どくだみ) 懐かしき
無花果(いちじく)葉葉繁しも 実や何処
平成29年6月4日
<32首>
君が代蘭 辺りと違(たが)いぬ 異国風〔トロピカル〕
君が代蘭 花 丸身 妖艶 可愛気
君が代蘭 花冠 下垂 恥じらい気
君が代蘭 咲きぬ 逆さチューリップの花の茎
君が代蘭 花茎に 白き釣鐘形
白き花茎 長き 高きや 君が代蘭
君が代蘭 蘭に似たるも 蘭に非ず
藪人参(やぶにんじん藪虱(やぶしらみ)と同じ芹(せり)科
〔葉は似たり〕違いは 実なり 虱似と細スティック
藪人参 白き花頭や 幾つあり
一 二 三(ひいふうみい)嗚呼 数えるは くたびれ儲け
野薊(のあざみ)や 生うを案じ 且 ときめきぬ
野薊や 鎧兜(よろいかぶと)の武者の如
野辺の武者 手折りし君や 何者ぞ
この度は 見たし 野薊の 全(また)き姿〔全身像〕
乙女桔梗(おとめききょう) 眺むるるや 昔乙女
ベル・フラワー 誰(た)が為に 鐘ならすらむ
ベル・フラワー 告げるや庭の 終焉
窓際や 永遠(とわ)の眠りに 大きな蜂
卯の花 生け花的アート 用水路
東(ひんがし)や 紫立ちたる 紫陽花かな
我(あ)が庭の 紫陽花の花頭や 白緑のまま
鋸葉 いずれも個性的 鬼野芥子 鬼野芥子 花盛りならぬ 葉葉盛り
日影から日蔭へ 且 日影へ 初夏日中
白蝶草 風に揺られおり ペテュニアも
風露草 花や出会いぬ 小さき小さき
朝散歩 花探したり 風露草の
花二輪 他は実なり 風露草
風露草 実の尖がり帽子や 簇となりぬ
実突き上げ 何を主張や 風露草
藪人参(やぶにんじん)満開も蝶 近づかぬ 何故?
平成29年6月5日
<31首>
蒲公英(たんぽぽ)の 綿毛残りぬ 春の残滓(ざんし)
蛍袋 小さきが塊り 咲くも愛(あい/あいらし)
蕺(どくだみ)生いぬ 石垣の上下(うえした)に
蕺や 花穂黄ならずば 艶もなし
蕺花穂 浅緑のまま枯るるや 哀(あい/かなし)
見上げれば 白き月影 深緑の上
柏葉紫陽花(かしわばあじさい) 本紫陽花に魁(さきがけ)花盛り
柏葉紫陽花 花四方に垂れぬ 木柵越し
柏葉紫陽花 大きな花房 枝垂れ尾の如
谷覆う 白き花樹や 華麗かな
何の樹か 名の分かぬるも 一興なり
紫陽花 変化(へんげ)淺緑 紅紫 深藍 皆淡き
羊蹄(ぎしぎし)や 屹立の姿 勇士見ゆ
空き地の隅 道路の端 羊蹄生いぬ
羊蹄や 真直ぐ 戦ぐとも 尚 真直ぐ
鈴萱(すずがや)や 美しき名哉 その音色は
鈴萱や 鈴の聞こゆ 風無くも
我(あ)が庭の 験の証拠や 葉ばかりなり
〔 憚(はばか)り乍ら 〕
天候不順 減の証拠も 勘狂わせぬや
愛らしき 白き花 見ぬは何故なの 験の証拠
見上げれば ふ〔ん〕わり 綿菓子 青き空
瞬く間 綿菓子消えぬ 誰が食べたの?
少し離れ 綿菓子浮びぬ 自由自在
知らぬ間に 綿菓子 元の天空に
綿菓子や 一つが二つ 雲のマジック
また二つ 合計七つ マジック続きぬ
見る間にも 重なり一つの 綿雲に
また分かれ やがて消滅 天空のショウ〔show〕
水無月の晴れ間や 青空 白き雲
初夏残花 紫酢漿 桔梗草 長実雛罌粟*
(*漢字一語扱い)
我(あ)が庭や 枯れ草 青草 山中の如
平成29年6月6日
<26首>
紋白蝶 黒紋鮮やか 花から花へ
黒とオレンジ 揚羽蝶 窓へ止まり来ぬ
蝶二匹 求愛のダンス 春のダンス
ビュ~ン 小虫 我(あ)を掠(かす)め 飛び去りぬ
生垣の葉刈り 飛び出し 小虫や スクランブル
ゼラニュウム 客人待つらむ 門扉側
淡桃のゼラニュウム 優し気 涼し気
定家葛(ていかかずら)未だ咲き続けぬ 愛しき
真紅の薔薇 夕空に映えぬ 弥(いや)が上
-昨秋 拾い集めしを 床飾りに
していた樹の実を
銀杏 団栗 いざ返さなむ 山裾へ
銀杏 団栗 撒きぬ 明日雨らし
萱草(カンゾ)の黄橙色 甘美 癒し系
萱草 一日花 会うなら 日中(ひなか)
萱草見れば 藪萱草(やぶかんぞ)想い出しぬ
藪萱草 草藪に見つけし日や 遠く
八重の赤橙色 藪萱草* 賑々(にぎにぎ)し
(*萱草は一重 藪萱草は八重で
派手な色形)
忘れ草* 憂さ忘れぬ 妖艶さ
(*忘れ草は 藪萱草の別称)
夕空を 燕忙し 餌探しや
二裂の燕尾 翻しつ 夕空を
大空飛ぶ 燕 勇壮 且 優雅
燕飛ぶ 空の乱舞の美麗さよ
葉蔭に 独り 雀 チョンチョン 枝移り
高砂百合 細葉広げぬ 道の縁
もう一輪 高砂百合 見つけたり
白蝶草 上下に揺れぬ 梅雨模様
弓形(ゆみなり)に 枝垂れおりぬや 拍蝶草
白蝶の飛び立つを見れば 白き花
平成29年6月7日
<25首>
-暫く日照り状態が続いていたので
そぼ降る小雨 庭の草木や 華やぎぬ
草木 皆 瑞々しき哉 梅雨の入り
梅雨に濡れ 椿や 愈(いよよ) 艶やかに
紫陽花や 装飾花 光りぬ 梅雨小雨
南天の花房 今や 綻(ほころ)びぬ
皐月*(さつき)盛り終わりぬ 水無月なれば
(*皐月躑躅(さつきつつじ)の略称)
皐月終わりぬ 花の命の短き哉
花の命 短きもあり 長きもあり
花千種 時には長き 命あり
入梅や 蝶も飛ばぬ庭 寂しけれ
梅雨の入り 鬱に入りぬや 動き鈍
樹怠(ナマケモノ)の如 動きや鈍き 梅雨入らば
白一色 今や色づきぬ 源平小菊
紫陽花の 葉や雫垂れぬ 梅雨の入り
朝靄 突き 燕 朝から餌探し
晴天 一転 曇天 梅雨の入り
南天の白露 ポトリ 下草上
小判草 実りの秋か 黄金色
野茨の蔓 花三輪 梅雨の庭