令和2年 1月19日
<10首>
万両 千両に非ずば 何両?
ーー万両は、 ヤブコージ科の常緑低木
千両は、センリョウ科
多分 十両 朱実 一つなれば
花見ぬ間に 実となりぬ 十両 驚〔きょう/おどろき〕
近頃や 葉牡丹多様な 風姿見せぬ
丸葉 縮緬 フリンジ系 ミニもあり
丸葉葉牡丹 薔薇の咲きたるが如
フリフリの縁(へり)飾りの可愛い フリンジ系
黒紅葉牡丹 艶(あで)な 余りにも
ミニ葉牡丹 小さきが犇めきぬ 花長鉢
今年まだ 出会えぬ 踊り葉牡丹 何処
令和2年 1月20日
<10首>
南天の 紅 霜枯れに非ず 嫩芽 なり
春めきぬ 庭の草木も 路の縁も
冬日和 暖かかったり 寒かったり
ほっそりな 福良雀の 日和かな
大寒の明ければ 四方 早春の匂い
明るき哉 早春の四方 空や晴れ
ノース・ボール 笑顔愛らし 寒の小菊
木春菊(もくしゅんぎく)* 寒さに耐えるる 黄花映え
ーー*漢字一語扱い
そよ揺れる 黄花の茎や木春菊
令和2年 1月21日
<14首>
チッ チッ チー 小鳥の声 早春の声
木蔦紅葉や 越年枯れもせず
ミント繁茂 冬の寒冷 なんのその
蔓桔梗 絡み生いぬ 早春の庭
青木の実 独り残りぬ 朱色映え
双葉 小さきが一面 グランドカヴァーの如
彼(あ)の双葉 何(なん)ぞ 春まで待つらんや
忽ちに 青色広がりぬ空 春隣り
葉芭蕉 枯れるるも 猶 色妖艶
淡緑 黄 橙 褐* 芭蕉葉 紅葉の暈し染め
ーー*漢字一語扱い
暮色 鈍色 薄墨に沈みぬ 冬最中
日脚伸ぶ 飾り棚の南瓜まで
青木冬芽 残らずに 若葉となりぬ
若葉蔭 独り残りぬ 青木の朱実
令和2年 1月22日
野菜籠 じゃが芋 芽出しぬ* 次々と
ーー*花芽ではなく 茎芽
そして先日詠みたるのとは 別の
年越えつ 芽出し続けつ 塊りに
縦切りを 窓辺に”水耕” 先のように
見たし じゃが芋の花 愛らしと聞く
白 淡紫 何れでも 好し じゃが芋の花
じゃが芋の花 愛でる乙女や 白昼夢
じゃが芋の花 乙女の髪飾り
じゃが芋花(か) 挿頭(かざ)す乙女に 初夏の風
清々し 初夏に吹かるる 髪飾り
令和2年 1月23日
<14首>
迫り来ぬ 小夜の雨音 春の調べ
穏やかに 一夜雨毎 温やかに
今朝の四方(よも) 薄墨の情 冬霞
霞籠む 冬空過(よぎ)る 小鳥の影
山眠る 草木 愈よ 枯れぬれば
山眠る 枯れ木も眠る 賑わし無く
冬時雨 枯れ草 茶褐色に映え
冬時雨 枯れ草 艶に 甦るる
シトシトシト 冬の日の梅雨モード 如何なこと
この小雨 一日梅雨で あらむことを
我(あ)が庵 何処も憂色に 包まれり
真昼四方 日暮れ色 冬最中
昼最中 暮色や深し 冬深し
令和2年 1月24日
<12首>
小鳥飛び行きぬ 光長閑(のど)けき 春の野辺
亦 鳥渡 若葉広げり 蓬叢
穏やかな 早春の光り 昼下がり
淡く温やか 光映ゆるや 早春野
陳皮には まだ早やけれど 蜜柑湯を
窓辺に吊るしぬ 蜜柑の皮や 縮みおりぬ
ほっこりせり 蜜柑湯のあったかさ
懐かしき 渋味と辛味 蜜柑湯の
早春の今朝 また聞こゆ 小鳥の声
暖冬に 浮かれ出でぬか 彼(か)の小鳥
覚えずとも 早春の兆し 直ぐ其処に
今日(けふ)やもう 陽暦3月の 温かさ
令和2年 1月25日
<13首>
羊雲 もこもこもこや 早春に
こんもりな 苔 点点と 春備い
菫草 また一輪 菫色が
先の菫 もう果実に 春速し
寒椿も 戸惑い顔の 暖冬かな
葉水仙 折れ節ありの 可笑しなオブジェ
春野芥子 寒そう いじけ 可哀想
大黄花酢漿草(かたばみ)* 花弁(はなびら)捲きぬ
項(うなじ)垂れぬ
ーー*漢字一語扱い
枯蔓 枯実 縷紅草(るこうそう)の 冬風姿
霜枯れのロゼット 次々 蒲公英(たんぽぽ)の
紅差しぬ 路上に 一弁(ひとひら) 姫椿
蓑虫や 鉄(くろがね)帯びぬ 真冬モード
令和2年 1月26日
<10首>
朱美垂る 枯れ草に隠るる 万両の
淡く 仄か 明るる空や 真冬色
凪静か どんより曇りぬ 冬小苑
冬日差しぬ 無音無動 枯れ小苑
溝流るる 溝煌煌し 冬日差し
白亜色 冴え冴え光りぬ 欄干かな
仏の座 丸葉重ねぬ ちょこなんと
淡紅の蕾 ちらりと 仏の座
消ぬと見し 蔦葉海蘭(つたばうんらん) 緑の小叢
幾重にも 重なり生いおり 蔦葉海蘭
令和2年 1月27日
<12首>
撫子も 震え縮みぬ 寒の内
ピンクの濃淡 撫子色も 震えおりぬ
金魚草 春色も また震えおりぬ
兎菊 七重八重のロゼット 寒の内
石垣に 地衣苔 彼処此処(あちこち) 円形の
此の苔や お洒落な意匠 六花(りっか)模様
高砂百合 枯れ莢 戦ぎぬ 北風に
悠然と 鳶飛ぶを見ゆ 寒の空
彼(かれ)烏 濡れ羽 羽搏き 飛び去りぬ
落葉に若草 寝そべりぬ 大の字に
枯れ草に 隠れつ萌え出ず 萌黄色
枯れ穂の落ち穂 若草の上 三つ二つ
令和2年 1月28日
<13首>
眩しき哉 青空やもう 春の色
眩しきばかりの青空 冬の空
柔らかな若葉 烏野豌豆*の小叢の
ーー*漢字一語扱い
溢るるばかりの 烏野豌豆の プランター
姫踊り子草 若葉並べぬ 春備い
アイヴィー〔木蔦〕 靡きぬ ウエーヴ 次々
越年の 柚子の実 柚子の樹の 其処彼処
黄金に映えぬ 柚子の実 冬深し
金柑も そのまま 樹残(きのこ)り* 黄金色
ーー* ’居残り’を捩って
水仙花 今盛なり 小公園
プチピチプチ 歩めば弾きぬ 黒紫の実
見上げれば 梢に黒紫 何の樹ぞ
令和2年 1月29日
<12首>
三寒四温 温三日 未だ一日(ひとひ)
温かさ 何時まで続くや 今朝 摂氏12度
寒雀来ぬ 我(あ)が庭 春気色
晴天や 春愁の気あり 未だ睦月
雪柳 春呼ぶらし 愁い無く
暖かな日影 春日(はるひ)の愁いあり
雪柳 浅緑の小珠 愈よ 膨らみぬ
まぁ 綺麗 真っ青な空 春の空
煌々(きらきら)し 青空 一輪菫草
一つ 二つ 綿毛飛び行きぬ 春追い夢
真ん丸な もう綿毛となりぬ 蒲公英よ
枯れ草や 枯れに枯れ枯れ 枯れ果てぬ
令和2年 1月30日
<17首>
三つ五つ 雪柳白花 小さく笑みぬ
苔こんもり 枯れ草 沿いに 春備い
梅の蕾 丸々 もう直ぐ 膨らみそう
大黄花酢漿草 若葉幾重も 花や未だ
綿毛飛びぬ ほっそりひっそり 寒芒*
ーー*寒雀に倣って
姫椿 花弁(はなびら)零れ 哀れあり
ーー*’零れ梅(こぼれうめ)’に
倣って
水仙や 今咲かむとす 蕾あり
枯れ草の間から零るる 萌黄かな
野辺に出でば あちらこちら 春備え
枯れ野にも 千草 芽ぐみぬ 春隣り
落ち椿 一弁(ひとひら)独り 路の縁(へり)
小さき石舞台 姫踊り子草
千草萌ゆ 枯れ草小叢 の間に間に
姫蔓蕎麦 可愛い のんびり 冬日影
日蔭では 枯れつつも 咲きぬ 姫蔓蕎麦
仏の座 石垣其処此処 早春の宴
韮 もう 萌えぬ 枯れぬるは 暫しの間
令和2年 1月31日
<10首>
瞬く間 青から鈍色 早春の空
温から寒 慌て探しぬ 冬衣(冬ころも)
雲間から また 青色 春温戻りぬ
馬酔木(あせび)花穂 愈よ垂れぬ 暗紅色
枯れ薄 垂(しだ)れ白くや 薄ら日に
日脚伸ぶ 襖の模様 写しぬ玻璃戸
日脚伸ぶ 小苑の枯れ草 煌煌(きらきら)し
日脚伸ぶ 無風に光りぬ 枯れ草かな
日脚伸ぶ 葉 羽搏き 光り 戦ぎぬ
令和2年 2月1日
<13首>
玻璃通しぬ 陽(ひ)温かな 如月かな
風の冷たきに 縮かみぬも 早春モード
蒲公英〔ほこうえい/たんぽぽ〕 茎短く咲きぬ
防寒モード
蒲公英 黄花一輪 寒の空
ネリネ花茎 枯れ垂れるるも 葉 青青
寒菊黄小花 独り咲き残りぬ
枯れ木立 愈よ 荒寥 如月は
寒風や 吹き抜けるる 枯れ木立
ハート形の葉 幾重にも 汝(な)や何(な)ぞ
匂い菫の 葉と同じ 形なれど
匂い菫 会わぬは 久しくなりにけり
壺垂れの如 垂れおりぬ 姫蔓蕎麦
枯れ草も 萌黄の暈し 春隣り
令和2年 2月2日
<12首>
明け烏 飛び去る冬空 何方(いずかた)へ
探梅には 未だ葉や機かな 山里は
悴みぬ 指先鈍き 如月今朝
久し振り 見たりゴキブリ キッチン隅
元気そうで何より 話し掛けり 我(あ)
且つ問えり 蛞蝓(なめくじ)合わぬや 如何なりや
今朝ぬるり 降れり 蛞蝓 キッチン隅
これで二度目 ゴキブリと蛞蝓の通じ合い
魔訶不思議 昆虫と巻貝の 異種間コミュ
ーー ゴキブリは昆虫 蛞蝓は陸上二枚貝
両者には 解り合う 気動あるらし
我(あ)が思い 察するゴキブリ 超能力虫
いずれにせよ 何となく楽し 如月の今朝
令和2年 2月3日
<10首>
夕暮れば 夕星(ゆうずつ) 一星 冬深し
寒三日月 鋭く冴え冴えぬ 睦月末は
窓辺の我(あ) 寒三日月と 今宵二人
如月三日 寒三日月も ふっくらと
春めきぬ 梅花 想わる 如月小夜
目醒める度 四方(よも)明るる 春めきぬ
四方の色 春めきぬ 穏やか優し
晴れやかな 空 春愁に沈みぬ 我(あ) 噫
白小花 一輪 二輪 雪柳
令和2年 2月4日
<9首>
明るき哉 障子に差し込みぬ 春光
枯れ草も 春光映え 風光に
春郊や 菫 蒲公英(たんぽぽ) 紫雲英(げんげ)見ぬ
山の辺も 野辺も 紫雲英見ぬ 久しけれ
今や昔 蓮華草や 何方に
田圃消ぬ 紫雲英消ぬ 和の春消えぬ
募るばかり 紫雲英に会いたき 我(あ)が想い
鬼遣(おにやら)い 炒り豆無くば 如何にせむ
節分の習いも 今や 遠くなりぬ
令和2年 2月5日
<12首>
彼(か)や 紅梅 もう咲きたる今朝 いと美し
いざ行かむ 梅見や今ぞ 時かとぞ
と思えど 寒く冷たき 春情
寒風に 梅見や なかなかままならぬ
梅の花 暫し留まれ 枝枝に
枯れ花穂にも 葉葉 青青 背高泡立草*
ーー*漢字一語扱い
長閑(のど)けき哉 春光の小苑 白き雲
光 長閑(のど)けき 春情 遠からずや
春立ちぬ と言えども 冷たし 今朝の風
梅の花 咲くか 咲かぬか 思案顔
令和2年 2月6日
<14首>
あっ 彼(あれ)や 甍(いらか)や 薄っすら 朝化粧
朝化粧や 初雪の朝の 雪化粧
春陽 一転一変 初雪が
春陽 映え 雪化粧や 茜色
寝覚めたり 小夜の冷え込み 初雪や
石畳 斑(まだら) 斑(まだら)の初雪哉
樫の葉葉 小さき雪冠 載せぬ
枯れ草 雪被り 枯れ草 震えり
稚児篠震え 雪冠にまた震え
此の枯草 雪冠せぬほど 細身なり
約5ミリ 樫の葉の上の 積雪よ
又戻りぬ 雪の晴れ間に 春光
雪晴れ 青空 煌々(きらきら) 冴え冴えと
もう消えぬ 今朝の儚き雪物語
令和2年 2月7日
<14首>
寒と冷 残す初雪 次蜚(つじむぐひ)にも
四方(よも) 寒冷 縮かむ指や 白き息
ジンジンと 沁みる底冷え 老いの身に
凍るる哉 雪柳の小花 紅梅花
初雪や 後方 寒冷増しにけり
縮かみつも 咲き続きぬ小花 雪柳
馬酔木(がすいぼく) 垂(しだ)れの花穂や 紅褐色
愛用花 冬芽も 雪解け 初雪の朝
今(こ)の寒冷 炬燵守の 一日(ひとひ)哉
室温3℃ 今冬一の 冷え込みよ
枯れ木に早乙女花 蔓も実も 絡みぬまま
早乙女花 鈴生りの実や 金茶映え
山眠る 枯れ木も眠りぬ 猪(しし)もまた
虫や皆 まだ冬籠り 啓蟄やまだ
令和2年 2月8日
<12首>
白花紫蘭 黒曄(こくき)いろの実 三つ二つ
垂(しだ)るるも 水仙 咲き続きぬ
淡紫の花(か) 蔦葉海蘭(うんらん)
欄干〔らんかん)下(か)
まぁ 此な処 花水仙の小叢
谷間や 眠りおりぬ 深閑なり
裏山や 薄墨の空 冬時雨
そっと覗きぬ 水仙の葉蔭に ベゴニア花
姫踊り子草 ちょっぴり 花冠 踊り出し
姫椿 枯れ実 ぱっくり 生垣下
夫々の 葉形に 艶あり 葉牡丹の
令和2年 2月9日
<10首>
澄渡る 青色 愈よ 春色哉
青空光る 白雲光る 春は〔何処〕
薄っすら 白雲 柔らかな春の色
空や春 なれど四周や 寒 寒 寒
寒波戻り 躑躅(つつじ)冬芽 凍えおり
枯れ草凍(い)て 土凍て 寒寒(さむざむ)
我(あれ)が庭
凍て小苑 寒雀も来ぬは いと侘し
我(あれ)が庵(いお) 寒寒 寂寂 音も無く
ぷわ~ ぷふ お餅焼けたり 幼き日
焼けるを待つ 火鉢のお餅に 手を翳し
令和2年 2月10日
<10首>
光 風 柔らかな四周 春近し
白光や 枯れ草若草 春気色
裏山も 目覚めるるや 春光
長閑やかに 過ぐる一日(一日) 春匂いぬ
あっ 雀 独り ひょっこり 我(あれ)が庭
雀一羽 飛び来 梅の枝 我(あ)が庭の
ここ暫く 雀等見ぬ 案じおりぬ
雀にも 通じ合うらし 我(あ)が心
唯一羽 と言えども 安堵 皆 如何?
雀等や 何処かへ避寒に 行ったのかも
雀等の避寒地 何処(いずこ) 君 知るや
令和2年 2月11日
<11日>
白木蘭 冬芽 そのまま 幼芽のまま
今日(けふ)や温かな 花開く時かも
番(つがい)飛びぬ 彼等誰(た)ぞ 雀?目白?
八・七羽 春空飛びぬ やはり 雀
--且つて我(あ)が庭で
咲き乱れぬを思い出しつ
連翹(れんぎょう)花見ぬ我(あ)が庭 久しかり
連翹 春一番に咲く花 春告げ花*
ーー*鶯の’春告げ鳥’に倣って
連翹 花色 黄色 春色哉
連翹 枝垂れ枝に 黄花 連連と
木瓜(ぼけ)の花 梅に先立ち 花盛り
もう 萎るる 命短し 木瓜の花
令和2年 2月12日
<12首>
濃紅の花 梅の樹や 万艦飾
向こう奥 白梅微笑 薄墨空
冬薔薇(ふゆそうび) 黄花ぽつねん 主は亡く
もう咲くや 喇叭水仙 春吹奏
蝋梅(ろうばい)も 黄花傾げぬ 垣根越し
盆栽の 淡紅梅花 奥床し
枝垂れ梅 花まだ一分 蕾ばかり
今日(けふ)の探梅 合計五樹ばかり’か’ か
’も’か
梅若か木 薄紅花 付けぬ 二つ三つ
彼(か)や幻視 紅梅満開 見たるは
近づけば 桜の枯れ木 枯れ梢
水仙や 柿蘖(ひこばえ)待つらし 我(あ)も
ーー蘖の周りに 自生の水仙咲きぬ
令和2年 2月13日
<13首>
今朝 12℃ 一気に 弥生の温かさ
春霞 四方(よも)優しさに 包み籠む
四方 朦朧 春曇り 春気色
春霞 裏山朧(おぼろ) 朧哉
春霞 山斉(さんダにもさい)の如 我(あ)が庵
霞消ぬ 匂い立ちたる 空淡青
白壁に 影落したる 白梅かな
飛び来たり 小鳥 のんびり 枝移り
春よ来い 早く来いと 冬薔薇(ふゆそうび)
冬薔薇 枯れ枝にも 嫩芽(どんが)見ゆ
苔生しぬ 側溝の壁 梅の樹苔
大輪の葉牡丹 日影に 艶然と
金柑や 溝底に落つとも 黄金色
令和2年 2月14日
<10首>
亦 盛かりぬ 木瓜(ぼけ)の花や 赤 赤 赤
水仙花 白色映えぬ 薄曇り
草萌えや 過ぐるる小鳥 空青く
下萌えの蒲公英(たんぽぽ)幼な 葉広げぬ
薄明り 春に似合うは 君次第
山笑わむ 谷笑わぬ 春曇り
枯れ木立 まだ荒寥 谷間は
欄干から 臨む木立や 荒寥
枯れ松葉のカーペット 踏む春曇り
枯れ松葉 押し上げぬ草萌え 青青と
令和2年 2月15日
<13首>
流水 ぽとりぽとりと 薺(なずな)生う
小さくも 薺叢生いぬ 春日影
白小花の冠 薺被り居りぬ
お多福南天 赤く燃えぬや 春日影
験の証拠 若葉広げぬ 大きく小さく
草萌え抜きぬ 葉蘭一葉 ほっそりと
十数葉 葉蘭の嫩葉 小叢生い
葉蘭小叢 春風の 優しき哉
背高泡立草* 春風に揺れ まだ震え
ーー*漢字一語扱い
縮緬葉 ミントの嫩葉 彼方此方に
ミントの嫩葉 もう春よ と笑顔見せぬ
薄曇り 何(な)どか 輝(かが)よう 春曇り
ひっそりと 枝垂れ梅 咲きぬ 山里に
令和2年 2月16日
<12首>
四方(よも) 愈よ 霞籠みぬ 今朝の春
南天の朱美 白珠*や滴(したた)りぬ
--*白露に倣って
花水木 梢 梢 に 白珠が
樫の葉や 滴(しずく)滴(したた)る 春霞
雪柳 もう一輪咲きぬ 今朝
萎びおり 先の一輪 雪柳
雪柳 一輪一輪 咲き続きぬ
裏山 愈よ 春霞に 包み込まれぬ
鬱陶しき 今朝もそ ほんに 春愁あり
鬱陶しき 明くるあさ(あした)や 春愁あり
綻びそうで綻ばぬ 馬酔木(あせび)の蕾(らい)
令和2年 2月17日
<17首>
彼(か)の音や 雪降り? 春雨? 二月夜半(よは)
時折あり 夜半の雨音 誰ぞ知りぬ
風音に 雨音も烈し 二月夜半
雨風の高鳴る 春の夜 おどろおどろし
鎮まれり と思えば 雨風 愈よ 轟きぬ
唯(ただ)更けぬ 二月の夜半や 生温かな
じんじんと 亦冷え込みぬ 二月曙
霞籠む 薄墨の空も 春の色
移ろいぬ 霞時雨に 空易し
寒きも 暖かきも 共の如月
薄墨の雲 霞ばかり哉 裏山や
片時雨 踵返しぬ 逍遙路
晴れるれば 亦曇るるや 二月のそら
もう晴れ間 キラキラキララ 春陽(はるひ)あり
春陽(しゅんよう)の 降り注ぎぬ我(あ)が庭
馬酔木(あせび)の花
春の坂 春風なんと 冷たきこと
令和2年 2月18日
<12首>
姫蔓蕎麦 葉葉 紅紅に 霜枯れぬ
排水口 生いぬアディアンダス 困った人〔草〕ネ
野豌豆 烏か雀か 未だ分からぬ幼な
根生葉 一葉橙色 花の如
此の春草 春女苑か 春紫苑か
一茎に四・五輪 水仙花 乱れ咲き
春の野に 野豌豆や 立ち上がりぬ
彼(か)のロゼット 酸葉(すいば)や姫*や
何れも好み
ーー*姫酸葉の略
幼きは 愛らし春草 雀の帷子(かたびら)
春野芥子*も 可愛い黄花 鋸歯葉 おどろしも
ーー*漢字一語扱い
令和2年 2月19日
<8首>
淡紅の 小さき提灯 馬酔木(あせび)の花
蔦葉海蘭(うんらん) 葉濃緑(こみどり)を 幾重にも
蓬若葉 何時の間にやら こんなにも
蓬の奥 生いぬ若草 何(な)の草ぞ
日穏やか 枯れ草刈りを と想い立ちぬ
枯れ草刈る 背過る風 未だ 冷たき
ギヴ・アップ 約5分の 枯れ草狩り
令和2年 2月20日
<20首>
やうやうに 蜘蛛茜差す 春曙
茜雲 何方(いずち) もう 空淡青
枯れ草を刈れば 若草にっこりと
枯れ草下 ミントの若葉 萌え出づる
春風に つい身震い その寒きに
春風の未だ寒きや 如何にせむ
三色菫 花弁(はなびら)ひらひら 春風に
一色も 二色もありぬ 三色菫
蓬の子 ゆっくりほっこり 日向ぼこり
雀来(こ)ぬ 我(あ)が庭寂し 冬籠り
冬籠り 雀も 我(あれ)も 同じ様
餌消えぬ* 啄みに来たのは 誰ぞ
ーー*我(あ)が庭の撒き餌の
雀十余羽 一斉に 飛び立ちぬ
我(あれ)見たり 啄みて飛び立ちぬ 雀らを
そこはかとなく 楽し 雀等の帰庭*
ーー*帰館に倣って
食当たり? 我(あ)が撒きし餌に と案じおりぬ
枯れ草縫い 飛び去る雀ら 楽し気な
やはり 冬籠り 雀らほっそりと*
ーー*脹雀(ふくらすずめ)は
もう終わりぬか
ーー 背高泡立ち草を眺めつつ
春待ちつ 黄葉するは 何故(なにゆえ)に
令和2年 2月21日
<7首>
菜花(なばな)*の束 蕾選り出し 窓辺に’水耕’
ーー*菜花は西洋菜の花 食用
蕾開きぬ 黄色の十字花 二つ 三つ
’和’の菜の花 見られぬ春や 久しけれ
素朴なる ’和’の菜の花こそ 春の風物詩
日増しに伸びぬ 菜花の花茎 鳥渡 間伸び
すらり伸びぬ 菜の花や 風に戦ぎ
懐かしき 菜の花畑や もう一度
令和2年 2月22日
<15首>
枯れ草奥 蓬小叢 広がりおり
若草は 験の証拠(げんのしょうこ)と
酢漿草(かたばみ)哉
目に付きぬ 根生葉や 彼方此方(あちらこちら)
霜枯れに耐えり ロゼット〔根生葉〕
今 此処〔春〕に
越冬葉 重ぬるロゼット 一つの春
春野芥子 酸葉(すいば) 蒲公英(たんぽぽ)
皆 ロゼット
紫酢漿草*(むらさきかたばみ) 葉大きく広げぬ
ーー*漢字一語扱い ’ 此処にあり’と
若草千草 夫々春を アピール哉
鬱陶し 薄墨の空 春霞
鬱歳し 春愁モード 打つ手無く
鬱陶し 春空 またもや 冬空へ
ああ 寒い また 冬籠りや 雀も我(あ)も
暖かき哉 小苑出でば 春時雨
春霞 春時雨となりて 奔流に
坂の側溝 銀蛇(ぎんだ)の如 春時雨
令和2年 2月23日
<13首>
春空へ飛び立ちぬ 雀何方へ
カァ~ 明け烏 何(な)告げるや 春空で
春の空 淡青の空 菫草
春空に 花弁(はなびら)の舞い 白木蘭
下萌えの 菫にっこり 青空に
真ん丸の綿毛 石蕗(つわぶき) 蒲公英も
若草も 石垣の彼方此方 春意匠
やうやうに 芽生えぬ 藤の枯れ葛
枯れ芝に 雀野豌豆 独り春
烏野豌豆 枯れ狗尾草*と 背比べ
ーー*漢字一語扱い
酸葉(すいば)ロゼット 樹橙色 暗紅も
ロゼット紅葉 春野芥子 たんぽぽも
繁縷(はこべ)にっこりのんびり
鶏(にわとり)知らず
令和2年 2月24日
<15首>
寒戻りぬ 我(あ)が庭 燕一羽も 来ぬ
ひたひたと 寒や戻りぬ 我(あれ)が庵(いお)
温かな 春日和(はるひより)にや 寒の戻り
縮みたり 身も心も 寒の戻り
ミントの葉 愈よ 縮緬に 寒の戻り
日影 春 日蔭 冬 猶 疎ましき
梅や今 咲き誇るるもあり これからも
遠見にも 近見にも 白木蘭 まだ蕾のまま
桜木も 眠りおりぬ 蕾のまま
裏山や 未だ眠りぬ もう笑いぬ
山眠る 山笑う 両方あり
春日差し(ひざし) 障子光るる 梅一輪
――花瓶に差されし 梅の枝
長閑か哉 平穏無事な 春一日(ひとひ)
のどやかな 春一日哉 我(あれ)独り
幸せは これ位哉 我(あれ)が春
令和2年 2月25日
<9首>
たんぽぽの黄花 綿毛や 春の喜び
蒲公英(たんぽぽ)の咲き続きぬ 黄花 路の縁
たんぽぽのロゼット そのまま 朝のサラダ
扱きませぬ 若草枯れ草 路の縁
烏野豌豆 何処まで伸ぶや 春の空
繁縷(はこべ)烏野豌豆 雀* ** プランターや 野草鉢
ーー*漢字一語扱い〔合計7語)
⋆⋆雀野豌豆の略
此処や 野菜ぷらんたー 葱 きゃべつ 韮
あら 冬薔薇(ふゆそうび) いえ 春椿 庭の奥
まあ 珍し 山鳩一羽 春の庭
令和2年 2月26日
<8首>
不図 見れば 赤芽黐(あかめもち)萌え 春の空
要黐(かなめもち)* 赤芽真っ直ぐ 春空を
--*赤芽黐の別称
垂垂(すいすい)と 木蔦 垂れるや 石垣を
源平小菊 咲きぬ 白から暗紅 暈し染め
酢漿草(かたばみ)葉 こんもり青青 庭の隅
クリスマス・ローズ 未だ咲き続きぬ もう春に
秋の末 冬芽生え 年越しぬ 馬酔木(あせび)
今や春 馬酔木(あせび)の花穂 淡紫が
令和2年 2月27日
<12首>
甍(いらか)光る 若草光る 空光る
薄明かり 薄曇りに 春の空
双葉四つ葉 ミントの風姿 次々と
日差しあり 庭の若草 笑みのあり
花水木 猶 膨らみぬ 蕾あり
小さきロゼット 地に張り付き 春や待つ
苞葉破れぬ 萌葱の嫩芽(どんが) 萼紫陽花
草萌え 青青 蓬 生生の 野
梅 三輪 鶯も来ぬ 我(あれ)が庭
あっ 彼(あれ)や 鶯?目白? 梅の枝
枝揺るる 小鳥の枝移り 鶯らし
猫の目の 如移ろいぬ 春の空
朝 曇天 昼 晴天 実(げ)に 猫の目
鬱陶しばかり 我が物顔の 春の候
春時雨 濡れぬ 馬酔木(あせび)の花 光る
令和2年 2月28日
<18首>
長閑やかな 春の日 何と冷たき 四方(よも)
機音響きぬ 白雲光るる 朝の春
銅鑼(どら)一声 茅渟(ちぬ)の海 春の海
驚きぬ 飛び去るる 小鳥 背(せな) 灰緑*
ーー* 鶯の色
珍しき 鶯 我(あ)が庭 餌場にとは
梅三輪 花見や如何 花見鳥*
ーー*鶯の別称
まあっ 見事 木瓜(ぼけ)の花 今花盛り
水仙や咲きぬ 我(あれ)が秘密の郷(さと)*
ーー*淡路島の水仙の郷には遠く及ばねど
秘密の水仙 崖に百花茎 また 野辺にも
久し振り 匂い菫との邂逅 あぁ 嬉し
首傾げぬ もしかして 匂い菫の小叢かと
ハート形の葉 叢生いの 春の野辺
匂い菫 飽むほど見たり 三十歳(みそとし)前
和菫や何処 と探しぬ 春逍遙
或る春に 忽然と消えぬ 匂い菫
それからは 和菫の天下 咲き継ぎぬ
今日(けふ) 匂い菫に邂逅 時めきぬ
花色や 白色 初見 昔や 薄紫
願わくば 薄紫に 出会わむことを
令和2年 2月29日
<7首>
薄紫 ムスカリ 独り 何処(いずこ)より
ムスカリ 小さきがちょこなん 烏野豌豆*中
ーー*漢字一語扱い
鬱陶し 此の曇天 鶯や如何
鶯の声 聞かぬとも 姿見たり
鶯の声 聞く時ぞ 春の訪れ
梅三輪 なれど 嬉し お礼肥を
枯れ草を 掻き分け 梅樹の 研ぎ汁を*
ーー*お米の
白き粉被りぬ 蔓茱萸(つるぐみ) 梅の樹下
もしかして 鶯の糞(ふん) 彼(あ)の白き粉
鶯の糞や 鶯糠(うぐいすぬか)と昔聞きぬ
ーー米糠の糠袋(化粧用)と同じ
肌に効果ありと
やはり 鶯の飛来 我(あれ)が庭
令和2年 3月1日
<16首>
蒲公英(たんぽぽ) 花茎 すっくと立ちぬ 空仰ぎ
雌の万年草 萌黄の葉形 四方八方
繁縷(はこべら)も 葉茎伸ばしぬ 白小花とも
姫踊り子草 仏の座 互い違いに 生垣に
クリスマス・ローズ 小叢の花や 盛りなり
割竹垣 覗きぬ木瓜(ぼけ)の花 まだ三輪
薔薇 黄色 大輪に咲きぬ 唯独り
紅椿 もう落ちおりぬ 春来たばかり
紅絞りも 紅に混ざりて 落ち椿
ムスカリの濃紫(こむらさき)の花穂の
小叢(こむら)あり
ポロッポロォ~ 山鳩の声 春逍遙
間に合いぬ 枝垂れ梅の 暫しの花見
梅が花 そこはかと匂いぬ 暫しの至福
鶯 一羽 枝垂れ梅の枝に
枯れ草野 若草野となりぬ 嬉し
お浸しにしたし 薺(なずな)の若菜かな
令和2年 3月2日
<8首>
ミントの幼な 一声に 葉ひろげぬ
幼ミント 皆生(な)れば 押し合い圧し合い
間引き要らば 自然の手や 我(あれ)の手や
任せましょう 自然のままに ミントの嫩葉
春暖 愈 増しぬ 木蔦色濃し
蔓茱萸(つるぐみ)や そっと顔出しぬ 春日影
消ぬかと想えば 此処 蔓茱萸の春
蔓茱萸の花 咲くは何時と 君に問う
ーー 花期や 秋らし
令和2年 3月3日
<10首>
内裏雛(だいりびな) 背伸びしつつ 飾りし日
桃の花 菱餅 霰 想い出の記
雛祭り 余りにも 遠き日となりぬ
雪柳 宝珠のような 浅緑の
綻び初みぬ 浅緑の珠芽 雪柳
連なりぬ 浅緑の珠芽 枝垂れえだに
されどみぬ 可憐な小花 雪柳の
一輪すら見ぬは 哀れ 雪柳
何時見るや 白小花の枝垂れ枝 雪柳
待ちましょう 噴雪花*(ふんせつか)にや
成る日まで
ーー*雪柳の別称、漢名
令和2年 3月4日
<11首>
今朝の空 朧朧(おぼろおぼろ)な 春霞
春霞 朧ろになり行きぬ 裏山よ
霞籠(こ)む 裏山 またも 眠り込む
黄化せり 窓際の 葉じゃが芋
寒に耐え 暖迎えぬに 枯れ行くとは
塊茎二つ 三分(さんぶ)のまま 残りたるに
種芋二つ 新たに 窓際に
ーー今年二月初めに’水栽培’を
元気な子 芽生えり幾茎も 種芋から
枯れ葉茎 芽吹きやありぬ 根元には
日昏れ迄 どんよりなり 春の空
黄昏まで 蒼然なり 春の空
令和2年 3月5日
<17首>
時折の 風音優し 春の夜半(よは)
春曙 淡藍の空 明けにけり
シルエット 樫の梢や 春曙
絹雲や ふうわり ふわふわ 春山に
更地にも 春や来にけり 水仙花
春風に 戦ぐ蓬の 若葉かな
白梅や 匂い遣しぬ 彼方此方(あちらこちら)
紅梅の花びら 路上に 春意匠
春や未(ま)だ? 白木蘭 未(いま)だ 蕾
紅一輪 姫椿や 生垣の
枯れ草も 色取り取りあり 春の野辺
茶褐色 白茶まで 枯れ草 色々
ゆらりゆら 春風に揺るる 冬越し草
春暖に 枯れ草刈れば 雪霰(雪あられ)
如何なこと 春暖に 雪霰とは
啓蟄(けいちつ)に 虫見ぬ 見たるは 雪霰
令和2年 3月6日
<13首>
篠戦ぐ 雪柳光る 春の風
光り戦ぐ 篠の斑入りも はるの風
斑入りの篠 愈 鮮やか 春の空
何方や 轟音響きぬ 春の空
驚きて 鵯(ひよ)飛び去りぬ 羽搏きつ
機音なり ヘリコプターらし 何(な)がための
ーー 昨日(きそ)の枯れ草刈の
続き詠める
彼草刈り すっきりせり 約一平米
枯れ草刈り くっつき虫も 枯れに枯れ
くっつき虫 取れども取れど 未だくっつきぬ
くっつき虫 二つ向き合いぬ 我(あれ)が袖
今日(けふ)もまた 枯れ草刈を 夕日影
枯れ草刈 下萌え 青青 夕日影
枯れ草と下萌え蓬の 世代わりあり
令和2年 3月7日
<11首>
枯れ芙蓉 枯れ実弾けぬ 春の空
花見予報 山里や 未だ 蕾のまま
パンジー咲きぬ 色取り取りに 春花壇
白菫 まだまだ咲きぬ 山の辺 嬉
白菫 葉叢の蔭に そっと見え
野茨も 新芽を少し 菫叢(きんそう)に
紅紫色(べにむらさきいろ) 一輪野豌豆
烏*か雀*か 分かぬ野豌豆 路の縁
ーー 烏野豌豆 雀野豌豆の略
葉牡丹の 葉形色々 艶と鮮
黄の大輪 喇叭水仙 春の空
喇叭水仙 晴れやかに 春のファンファーレ
令和2年 3月8日
<6首>
あっ 鶯 一羽飛び来ぬ 鉄柵に
帰路にも出会いぬ 人懐っこきかな 彼(か)の小鳥
それとも 冒険心や 群れから離れ
彼(か)の鶯 寂しがり派 楽しみ派
鳴かぬなば 定め難きや 鶯と
谷渡り 聞きしは いつも 五月末
令和2年 3月9日
<14首>
小鳥早起き 春暁(しゅんきょう) 覚えるるや
眺むるるほどに 明るる春暁
近頃や 見かけぬ 蛞蝓(なめくじ) 如何ありや
と案じおれば 蛞蝓 そっと 野菜蔭
来(き)ぬようで 来(こ)ぬ 春にぞ 惑わされぬ
晴天に 気怠さ纏(まと)はるる 春春愁(はるうれい)
眩き哉 気鬱モードに 春陽射し
日向ぼこ 庭の春草 のんびりと
夕星(ゆうづつ)煌(きら) 星影清(さや) 春の宵
雲間より 零るる星影 春の真夜
未だ咲かぬ 白木蘭と花水木
我(あれ)も目醒めぬ 春暁覚えぬ
赤芽柏 未だ芽吹かぬ 春遠し
幹も枝も見ぬ 伐られし憂あり赤芽柏*
ーー*漢字一語扱い
令和2年 3月10日
<8首>
晴れ一転 また 曇天 移り気な春
陰晴の 定まらぬ哉 春の空
陰晴といえども 四方(よも)温暖なり
雨曇り といえども 温か 春の四方(よも)
天気予報 高的中立の 味気なさ
天気予報 一喜一憂 またおかし
当たり外れこそが 予報の醍醐味
令和2年 3月11日
<14首>
和菫や 一輪小さく 秘めやかに
和菫や 葉百枚 花一輪
蔓桔梗 一輪寂し気 何処と無く
すいっと立ちぬ 蘖(ひこばえ)三枝 梅の古樹
雌万年草(めのまんねんぐさ) にゅうにゅう
雄万年草おのまんねんぐさ) こじんまり
鬼田平子* 春野芥子* 黄花や溝底に
ーー*漢字一語扱い
やうやうに 尖(とん)がり帽子の花 白木蘭
頑(かたく)なに 蕾の固き 花水木
水仙百輪 春風に揺れるる 野辺の端
小蜂縫い飛びぬ 水仙百輪の間
黄水仙 姫や愛らし 優しの風姿
薔薇と見しや 花椿の花 淡紅の
梅? 桃? 何れにぜよ 可愛い花色
やはり桃花 彼(あ)や桃花色 と 君は言い
令和2年 3月12日
<19首>
馬酔木(あせび)の花穂 垂(しだ)れ 垂(しだ)れて
地へ零れ
石垣に 蔦葉海蘭*(つたばうんらん) 仏の座 野芥子
ーー*漢字一語扱い 春の障壁画
チューリップ はばかりながら 葉ばかりなり
チューリップ 蕾や未だ 浅緑
押し合い圧し合い チューリップの
尖頭楕円形の葉 葉
白茶色 枯れ枯れ芒の 春姿
白木蘭花 青空に映えぬ 白壁にも
ルピナス*の花穂 小さく登りぬ 春花鉢
--*ルピナスの和名は 昇り藤
桃花色の マーガレット一輪 花鉢の
あっ 彼(あ)の声は ホーケ
今度(こたび)は ホーホケキョ
久し振り 鶯の声 久し振り
近頃や 鶯の声 聞かぬ春 寂
彼方(あちら)から此方から 鶯の声や
響き合いぬ
未だ 一節ばかり 鳥渡 掠れ声
まだ幼な お稽古してね 谷渡りまで
鶯の声 今春の瑞兆や
昇龍の如 白雲昇る 夕
立ち昇る 白雲一条 春の宵
西方 高く 懸る白雲 東(ひんがし)へ
西から東 おおきな懸け橋 白雲の
初見なり 瑞兆であらむことを
令和2年 3月13日
<13首>
薺(なずな)の花や 水涸るる 溝底に
数えれば 白菫 三十三輪
もう少し 離れて三輪 白菫
たんぼぼと見しは 小鳥の綿毛らし
目凝らせば 赤芽柏に 新芽あり
細き幹 細枝(さえだ)の如 赤芽柏
雀野豌豆の花 初見(はつみ)の世界に びっくり顔
紅娘* 雀野豌豆と 今日は
ーー* 天道虫の漢名
蔦葉海蘭*(つたばうんらん)花 淡紫(たんし)の彩り
ーー*漢字一語扱い 石垣を
大黄花酢漿草*(おおきばなかたばみ)
花叢 波立ちぬ 檸檬色
雀の槍 何をや突くや 春空下
春風に 花韮浮かれる 青紫色(せいしいろ)
花韮や 此処にも咲きぬ 青紫色
令和2年 3月14日
<9首>
寒の戻り 雪景もあるらし 東国は
我(あれ)が庭 春時雨の暖かさ
在る時雨 寒くもあり 暖かくもあり
春光(はるひかり) のんびり過ぎぬ 昼下がり
種芋*の芽生え 盆栽の風姿
ーー*窓辺の’水候’のじゃが芋 二度目の
黄化せり じゃが芋の葉茎* 切り取りぬ
ーー*先年一度目の’水耕’の
あぁ 哀し 折角 越冬 果たしたに
小さきを見つけぬ 新しき塊茎
ぽっかり割れぬ 甘藍の 春温暖
令和2年 3月15日
<19首>
水色の空 ふんわり淡雲 長閑かの春
淡き青 白雲ふんわり 春長閑か
風音の 一つはありぬ 長閑かの春
ボート一艇 浮かぶや 長閑 春の海
春長閑か 今日(けふ)の日和ぞ 愛でるべき
春長閑か なほどにも憂いの 我(あれ)が身
大きく小さく 波打つが如 春の風音
春光 野辺の千草や 眩し気な
葉葉戦ぎぬ 葉葉光るるや 春風に
もう路上 花弁(はなびら)一つ 白木蘭
未だ羽搏かぬ 白木蘭の 蕾もあり
白蓮*の 萼片踏みぬ 春哀し
ーー*白木蘭の別称
出会えたり 匂い菫の 紫に
ーー出会うは 何時も 白色ばかり
未だ若草 檜扇水仙の 咲く処
荒れ野にも 若葉増し増す 春風に
スノードロップ 奥に 一叢 思い思いに
スノードロップと薔薇 想い出しぬ 祖父の花壇
出会えたり 桜草花 お久し振り
とんと見ぬ 桜草かな 寂しかり
影落ちぬ 落ち行く椿 彼(か)や 鳥影
令和2年 3月16日
<8首>
白雪の降り積りたるが如 雪柳
雪柳 噴雪花*となりぬ 漸うに
ーー* 雪柳の別称
和菫や 一輪 もう一輪 春日和
寒の戻り 横臥託ちぬ たんぽぽ哉
自衛策か たんぽぽ横臥 寒の戻り
真っ直ぐに 起き咲きぬが 蒲公英(たんぽぽ)ぞ
すっきと伸ぶ 花茎ぞ 蒲公英の風姿
黄 橙 桃花 紅 花色色々 春の宴
令和2年 3月17日
<11首>
<div>
白木蘭 羽搏き初むる 空碧き
</div>
彼方から 小鳥の囀り 彼(あ)や鵯(ひよどり)
此方(こなた)の一羽 鵯 飛び行きたり
薹(とう)たちぬ 葉牡丹 春のオブジェ哉
葉牡丹や 円錐形に 整列し
クリスマスローズ 春に晴れやか 紅と白
烏野豌豆 伸び伸びぬ 一尺余
胡瓜草 葉枯れ行きぬも 花 水色
雀の槍 白黄小花や 衝き出(いづ)る
八重椿 花芽開花も 落椿
令和2年 3月18日
<9首>
尉鶲(じょうびたき)茶褐色の胸 石垣上
人懐こき 風姿そのまま 去年(きぞ)のまま
久し振り と思うや草々 飛び去りぬ
やはり 独り 尉鶲 飛び来 去りぬ
何方(いずかた)へ 渡るや尉鶲 ボン ボヤージュ
ーー尉鶲は渡り鳥 冬鳥の
独り旅 無事祈りおりぬ 我(あれ)あり
日蔭のも 少しづつ 笑みぬ 雪柳
寄せ植えの如くかな 梅 槿 雪柳 南天 藪蘭*
ーー*漢字一語扱い
零れるる 薄紅馬酔木(あせび)花 春日影
令和2年 3月19日
<13首>
葉牡丹 生生 御多福南天*葉隠れに
ーー*漢字一語扱い
スペアミント 一面萌え 萌え出(いづ)る
ふと見れば 青木の花芽 姿見せぬ
此処其処に 青木の花芽 綻びぬ
去年(こぞ)の秋 朱実や一つ 葉隠れに
驚嘆 青木の 生命力
花芽や地味 然れど待とうぞ 花咲く頃
散り蓮華(ちりれんげ)*のよんな
白木蘭*の花弁(はなびら) 散りぬ
ーー*散たる蓮の花弁(はなびら)
**漢字一語扱い
一斉に 羽搏きぬ 白木蘭花
秘めやかに 菫微笑む 白木蘭下
幻か 佳人佇みぬ 白木蘭下
令和2年 3月20日
<14首>
白花映えぬ 枝垂れ枝や 雪柳
四方八方 雪柳の枝枝 揺れまた揺れぬ
春風に ウエーヴ重ぬる 雪柳
小さき 花芽 小さき花冠 柃(ひさかき)の葉腋
カーリーな柃花芽 俯(うつむ)き加減
点点と生いぬ ロゼット 何(な)の草花
多分此は 酸葉(すいば) 其は野芥子
彼(あ)や何ぞ
遠見には 盛りの最中(もなか) 白木蘭
知被けば もう枯色に染まりぬ 白木蘭
遠目には 未だまだ美し 白木蘭
白木蘭 白色 煌煌 夕日影
白木蓮 僅か三日の 栄華哉
菫草 小さくも 路辺に 十輪
ヒヤシンス 花鉢の隅 濃紫花
令和2年 3月21日
<10首>
はらり はらり 白木蘭 散りおりたり
散り蓮華 花弁(はなびら) 路上 枯れ哀れ
スノードロップ 水仙と代わりて 春寿ぎぬ
キラキラキラ 流るる溝や 春の小川
薺(なずな)愛し ペンペン草と成るまでは
桜木の 花芽今 綻びむとす
小公園 桜満開 一樹なれど
桜に鶯 花蜜に夢中
嘴(はし)突込みぬ 鶯せっせ 花移り*
ーー*’枝移り’に倣って
石垣下 姫蔓蕎麦や 春日浴
令和2年 3月22日
まっ チューリップ もう春なのね 春なのよ
赤白見ぬ 黄色や咲きぬ チューリップ
鮮黄色 ゆっくり揺るる チューリップ
妖艶な カーヴの花茎 チューリップ
数えれば 五輪 大きも 小さきも
チューリップ 未だ蕾も 見たり 悦〔えつ/よろこび〕
葉幼なにも もう花一輪 酢漿草(かたばみ)は
小さき 黄花(きばな) きらっと咲きぬ 酢漿草は
もう少しで 踏みそうになりぬ 酢漿草黄花
蒲公英*(たんぽぽ) チューリップ 酢漿草*
ーー*漢字一語扱い 春の喜色
春野芥子 春に魁(さきがけ)咲きぬ 喜色
喇叭水仙 春を待ちわび ファンファーレ
ムスカリと花韮 実生え 花壇外
白花蒲公英(たんぽぽ) 春や満喫 日影映え
このロゼット 野芥子?野薊? 春の野辺
令和2年 3月23日
<14日>
一夜にて 白蓮*散りぬ 裸木となりぬ
—-*白木蘭の別称
散り蓮華 幾重にも積もりぬ 白蓮の
芝桜 忽然咲きぬ 桃花色
蔓桔梗 濃紫(こむらさき)ちらほら 小逍遥
盛過ぎぬ 木瓜(ぼけ)の花 無惨 哀れ
切り取られり 赤芽柏 赤芽も葉も
替わりて咲きぬ 射干(しゃが) 哀悼の趣
今や此処 姫踊り子草の 春の野
フェンスに縷紅草〔るこうそう) 枯れ蔓に枯れ実
令和2年 3月24日
<10首>
春風の 未だ冷たき 朝の坂
朝日の温 吹き飛ばしぬ 春風よ
チューリップ 花閉じぬ 風冷たきに
咲こうとて 咲けぬ 桜花や 寒の戻り
春暖に 春寒のあり 春の今朝
長閑けきも 冷たき哉 春光
彼方此方(あちらこちら)の桜花
縮かみぬ 花冷え哉
花冷えや 春衣に 冬衣を
鶯飛ぶ 鵯飛びぬ 雀らも
何方へ飛び行くや 春の寒空を
令和2年 3月25日
<11首>
チューリップ 葉隠れに 花芽 一つ
打ち置かれぬ チューリップ 懸命咲きぬ
チューリップ 葉葉ぎゅうぎゅう 花鉢の
薔薇の嫩芽(どんが) 艶やかかな 春日影
更地 枯れ芒野/のまま 春や何処
遠見 八重桜 近見 紫木蘭花(しもこれんか)
紫木蘭花 癒しぬ 我(あれ)が 喪失感
ーー白木蘭との別れの後
水仙とスノードロップ 春麗ら
姫蔓側 小叢 次々 春麗ら
仏の座 すらりの花芽や 春麗ら
紅紫色 茎にゅうにゅう 牛繁縷(うしはこべ)
令和2年 3月26日
<17首>
蓬小叢 やがて 蓬生(よもぎう)に 我(あれ)が庭
蔦葉海蘭(つたばうんたらん) 叢増しおりぬ 春麗ら
クリスマスローズ 何処も彼処も クリスマスローズ
クリスマスローズ すっかり 春の三輪景色
胡蝶舞いぬ 春野に独り ひらひらり
蒲公英(たんぽぽ)や 黄花の小苑 路の縁(ふち)
水仙の白花 まだ美し 遠見には
近づけば 枯れ色や目立ちぬ 哀れ
白木蘭 紫木蘭と 見合い立ち
いずれも三分咲き 春や これから
春臨む 外塀見越しの 連翹(れんぎょう)
連翹黄花 春一番に告げぬ
ーー我(あれ)が庭の慣いなりぬ
ラナンキュラス 橙黄花 ポンポン咲き
姫蔓蕎麦 滴適現る 石垣に
薺(なずな) まだ 愛らしき 幼きは
ーースーパーで見掛ける
菜の花束ではない
菜の花見たり 懐かしき 庭の隅
野豌豆 野放図 彼方此方(あちこち) 烏も雀も*
—-*烏野豌豆、雀野豌豆の略
令和2年 3月27日
<9首>
春雨や 春時雨かな もう晴れ間
窓に滴る 雨滴(あまだれ) 生き物の如
雨滴や 水玉模様 玻璃の窓
滴滴と 蔓桔梗の 濃紫花
芝桜 桃花色垂るるも 一興あり
芝桜垂る 段差ある 前栽に
地表覆いぬ 芝の如 花芝草*
ーー*花芝草の別称 芝桜
白 淡紅 桃花 濃紅 紫 芝桜のパノラマ
令和2年 3月28日
<11首>
霞立ちぬ 四方(よも) 朧な 春景色
おぉ 寒(さぶ)! 亦戻りぬ 冬の空
寒の戻り 桜花如何と 遠回り
咲きはせぬ 桜そのまま 花芽のまま
朝凪来(く) 悉皆静か 春の庭
妖し 忽然枯色に 庭の小篠
蔓故郷 小苑の真中 蓬生う
濃紫の花 小苑の真中 咲きぬ
春 憂愁 物思うことも なきに
春一日(ひとひ) 唯 憂憂として 過ぎにけり
打ち臥しぬ 春陰の 一日中(ひとひなか)
令和2年 3月29日
<21首>
彼方(かなた)から 不気味な響き 春一番か
まっ 強風 春一番に 飛ばされそう
春一番 余韻と共に 過ぎ去りぬ
もう 青空 晴れやか 春の光
春光 庭の草木や 和悦あり
和菫花 次々咲きぬ 菫色
春一番過ぎぬ 春野 春野芥子*の野
ーー*漢字一語扱い
チューリップ 散りぬ 花鉢 野草鉢
後三輪 匂い菫や 終焉
細き棒 赤芽柏の 蘖(ひこばえ)は
赤芽柏 細き蘖 赤芽萌え
関西蒲公英*(たんぽぽ)繊細なレース 今何処(いずこ)
ーー*漢字一語扱い
消えにけり 三十年来の友垣が
ーー 例年 出会う赤柏を見ぬので
野に咲ける ヒヤシンスや 細身かな
谷間の樹々 やうやうに 芽吹きおり
河原撫子 河原恋ふるや 花鉢の
チューリップ 緋色一輪 元気よく
水仙の 葉葉三つ編みに 花終わり
三つ編みに しどけなき葉葉 水仙の
懐かしき 乙女の御下げ 三つ編みの
薹(と)たちぬ 葉牡丹 菜の花似
令和2年 3月30日
<5首>
春曇り 逍遙逡巡 花如何
引き返しぬ 我(あ)がベッドへ
我(あ)が在り処(ありか)
春陰 を蹴散らしぬ 春光 春麗
要黐(かなめもち) 赤芽ぐんぐん 春日和
長閑やかな 春の夜の 気怠さよ
令和2年 3月31日
<20首>
濃紫 蔓桔梗花 滴滴と
蔓桔梗 愈よ楽し気 春愛でぬ
妖しの風(ふう) 源平小菊の 枯れ風姿
紋白蝶 舞いぬ 菜の花やなくに
スノードロップ 梅の樹下 桜樹下
花韮や 還り来(き)ぬ 花壇内
ーー花壇の外から:
一旦逸出 自生しつつ 還りたり
小振りなり 蔦葉運覧(つたばうんらん) 今春は
桜並木 三日 見ぬ間に 花盛り
零るる青空 桜並木の梢
細き若木 咲きおりぬ 桜並木
若木下 鬼田平子(おにたびらこ)花(か)
花韮も
立ち止まり 猶立ち止まりぬ 花見哉
止ま立見 見上げつとまりぬ 花見哉
苔生しぬ 桜樹の幹 三輪笑みぬ
勢増せり 蔦葉運覧 上り坂
出会えたり こんな遥かに 関西蒲公英
八重葎(やえむぐら) 椿象(かめむし)飛び出しぬ
同色の
襟に椿象 淡緑(うすみどり)が 飛び来たり
淡緑の 椿象飛び来 我(あ)が襟元
戻したり 椿象 小叢の八重葎
令和2年 4月1日
<6首>
此処にも 花韮 今や何処でも 花盛り
まぁ 姫苧環(ひめおだまき)
皐月躑躅(さつきつつじ)の側
誰よりも か細き春草 姫苧環
か細くとも 何時も 何処かに 姫苧環
か細くも 逞しき哉 姫苧環
雪柳花 散りぬ 緑の垂(しだ)れ枝に
令和2年 4月2日
嵐の一夜 明くるれば 春日 穏やかな
一片の雲蔭も無き 今朝の春
酸葉(すいば)のロゼット 蕾の塊や 萌え出(いづ)る
少しずつ 酸葉の蕾塊(らいかい) 膨らみぬ
横臥しつ 花の行方や 想う我(あれ)
春曇り 花曇り 何ぞ この曇り空
曇ったり 晴れたり 何時行かむ お花見に
曇りと見れば晴れ お花見や何時に
葉椿や 光る白雲 昼日中
菫草 頷き揺るる 春かせに
路の縁 春の千草の 野となりぬ
蒲公英(たんぽぽ)や 春の野原に 路の縁
姫蔓蕎麦 階段の傍から 今日は
桜花(おうか)開花も 心なしか 憂色
令和2年 4月3日
<18首>
咲き後れ 匂い菫や のんびり屋
小蜂 飛び来 花から花へ 野豌豆の
今日(けふ)色付きぬ 花 桜色に
裏山笑む 桜色にや 暈し込み
色変化(へんげ) 白から淡紅 彼(あ)の桜花
彼(あれ) 鶯 桜花に 嘴(くちばし)を
桜に鶯 珍しき哉 春の景
鶯の枝移り ブランコみたいな
彼(あ)の梢 ゆらゆら揺れぬ 鶯ね
二羽睦み 一羽 また一羽 集いぬ
一家なの? 総勢八羽 大家族ね
脚痛に 彼方の花見 諦めぬ
ミモザ映え 黄金の花毬(はなまり) 映えぬ
枯れぬれど ミモザの花毬 麗しき
花も 蕾もあり 長実雛罌粟*(ながみひなげし)の春
ーー*漢字一語扱い
長実雛罌粟 渋橙色咲きぬ 十字花に
ぽつねんと 長実雛罌粟 春日影
蕾に暈し 渋橙の 長実雛罌粟
令和2年 4月4日
<27首>
藤蔓や やうやう 芽吹きぬ 卯月空
桃花色の 花酢漿草*(はなかたばみ)見たり 久し振り
ーー*漢字一語扱い
花酢漿草 絶えて久しく見ぬ 向う側
春野芥子 のんびり ゆったり 春日影
淡紫 蔦葉海蘭(つたばうんらん) 春爛漫
ーー 石垣の繋ぎ目に這いぬ海蘭を見つ
石垣を 蔦葉運覧 菱形意匠に
藪蝨(やぶしらみ)咲きぬ 可憐な白小花
蒲公英(たんぽぽ)や 和菫の隣り
紫雲英(げんげ)見ぬ
和菫花 小株一つに 十余輪
彼(あ)や 酸葉(すいば) すかんぽ*や
木のごときは
—-*板取(いたどり)の別称
空色小花 邂逅 胡瓜草
小さき 小さき 小さき花とも 風露草
スノードロップ見ぬ 昨年(こぞ)の春 出会いし野辺
舞い上がり 下がりぬ 桜花 優雅な舞い
ころころろ 風に遊ばる 桜花びら
また 花弁(はなびら) 此処に彼処(あすこ)に
舞い散りぬ
静心なく 吹かるる花弁(はなびら) 我(あれ)もまた
吹かれ行く花に混じりぬ 紅葉落葉
下る程 坂路 花びら 散り集まりぬ
桜若木 一輪ばかりが 凛然と
桜花二輪 伐られし枯樹の 蘖(ひこばえ)に
谷間から 鳴き声あり 彼(あ)や 鶯
ケキョ ケッ ケ まだまだね 鶯幼な
此方にも 鶯 の飛影 桜並木
ホーホケ キッ もう少しらし 谷渡り
彼方此方(あちこち)から 鶯の声
愛でたき哉
瑞兆で あらまほし哉 鶯の声
令和2年 4月5日
<4首>
欄干に 這う夏蔦に 芽吹きあり
この蔓草 白色の十字花 彼(か)の蔓草も
仙人草? 牡丹蔓? いずれにせよ
我(あ)が好み
茱萸(ぐみ)の花 淡黄四弁(よひら) 俯き加減
令和2年4月6日
<15首>
我(あ)が庭や 淡紫咲きぬ
蔦葉海蘭(つたばうんらん)
小さき双葉の 小叢や 繁縷(はこべら)なり
青木の花 やはり 地味かな 紅褐色
青木の花の側 嫩葉屹立し
紅と朱 チューリップ花 咲き揃いたり
チューリップ蕾(らい) 今咲かむから 未だ固きまで
チューリップ 蕾染(そ)み初(そ)む 紅と朱
裏山や 萌え萌え 燃えぬ 萌黄色
紅葉嫩葉 花冠とぞ見ゆ 山辺かな
花鉢から 溢るるが如 チューリップ花
此処にも菫 菫 菫に 浮かれるる
赤 黄 橙 チューリップの花 夫々に
蔓桔梗 濃紫(こむらさき)
滴滴(てきてき)咲きぬ野辺
濃紫 咲き続きぬ崖 蔓桔梗
崖に生う 濃紫花 蔓桔梗
令和2年 4月7日
<5首>
白木蘭 散りて芽吹きぬ 朝逍遙
濃紫* 淡紫**や 春闌
ーー*和菫の花色 ⋆⋆蔦葉運覧の
逸出の 葱坊主元気 今闌
少しづつ 紅(くれない)暈しの 彼岸桜
窪みから 忍冬(すいかずら) 若芽見ぬ
令和2年 4月8日
<15首>
辛夷(こぶし)の花 ちりぬ 白蝶の如
蔦葉海蘭(つたばうんらん) 蔦伸び延びぬ
アントシアン色
蔦葉海蘭 こんもりな小叢 となりぬ
更地となりぬ庭 椿 二樹 のこりぬ
残りぬは 花椿 紅と紅絞り
燕(つばくらめ) 滑空 旋回 大空を
一羽だけ 雌や雄や 巣場探しや
胡蝶舞うと見しや 椎(しい)の枯れ葉の舞い
胡蝶舞い来 花や彼方〔彼方) 此方老女
此処からは 山路 鳥渡 駆られり 冒険心
山路を 約三メートル 山歩き
山歩きや 楽し 約三メートルでも
三つ葉躑躅 密やか 花やか 山歩き
谷間は 山桜 独り 晴れやかに
令和2年 4月9日
<14首>
スーパームーン*桜や見たか 我(あれ)や見るず
清明に 包まるる四方(よも) 春朝
揚げ雲雀 見たような青空 今朝の空
幻影か 雲の彼方に 揚げ雲雀
チューリップ 満開より 三分咲きが 好し
チューリップ花 開ききらぬ 春の華
浮き浮きと 春逍遙や 何処(いずこ)まで
そこはかと 春の匂いや 草草の
春の陽気 吹き飛ばせぬか 風の冷たさ
姫苧環(おだまき) 猶 春楽しみぬ 優し風姿
ますますに 萌え出づ ミントの小叢哉
芝桜 花に艶あり 桃花色
遠見にも それと分かりぬ 芝桜
芝桜 愈よ増えおりぬ 春爛漫
令和2年 4月10日
<23首>
残りたる 木通(あけび)の古蔓に 花柄垂るる
垂れ下がるる 木通の花柄 暗紅色
白き哉 欄干伝いぬ 木通の花
落ち椿 仲よく並びぬ 何(な)語り合う
山藤や 三日見ぬ間に 芽吹きあり
山藤の 花’登り藤’ 灰緑色の
彼(あれ)やがて 藤色の 藤房に
桜花 散り初めば 色濃く 甘美
遅かりし 花もう散りぬ 若葉萌えぬ
花の命は 短りしを 知りたりぬ
花散りて 吹き溜まりとなりぬ 石段下
花散り果てれば 黄花のたんぽぽの野
花吹雪 見ること無きに 花終わりぬ
鶯一羽 亦見たり 桜梢
今春の楽しみや 鶯との邂逅
珍しき 黒羽土鳩 躑躅下
岩陰に 山躑躅花 朱赤色
赤朱色 目や射るるや 山躑躅
クック ポロォ ポ~ 土鳩の声や 彼方(かなた)から
黐躑躅(もちつつじ) 立木となrぬ 樹々の間に
プラタナス 裸木の梢に 芽吹き見ゆ
藪椿 俯き加減の 紅赤花
待ちおりぬ アイリス咲きぬ 紅色 あぁ
見慣れおりし アイリス見たし 白花 黄花
令和2年 4月11日
<7首>
躑躅(つつじ) 花芽 何れも対の 淡紅色
白花 何処 何時も 躑躅垣に咲く
花散りぬ 萼残りぬ フェア~ウエル
花吹雪 見ぬ今春 珍しき
花吹雪 例年のことと 想いおりし
花筏 流るる溝や 春闌
花散りて 溝底に寄りぬ 花びら等(ら)
令和2年 4月12日
<7首>
煌煌(きらきら)し 梢の雫 春時雨
滴滴(てきてき)と 滴(したた)る滴(しずく) 春時雨
春時雨 暫しのしじま 庭に 我(あれ)に
花や 散りにけりらし 今日(けふ)の時雨
花水木 花芽(かめ)綻びぬ 平盃形
春時雨 花冠に受けぬ 花水木
時雨滴(しず)く 滴く 馬酔木(ばすいぼく)の実穂
令和2年 4月13日
<8首>
昨夜(きぞ)の風雨 春一番? 否 春時雨
春山霞籠む 鳥影みぬ 今朝
春時雨に めげず咲く哉 花水木
春雨続きぬ 春昼の 長きかな
甦りぬ我(あれ) 春の夕間暮れ
春曇り やっと生き還りぬ 下午五時過ぎ
葉分ければ 小花連連 柃(ひさかき)の
想い出しぬ 鈴蘭の花 花柃に
令和2年 4月14日
<14日>
春風や 何時まで冷たき 朝の路
木通(あけび)の花 垂るる 蔓(つる)や 伸び放題
電線伝い 蔓木通 何方(いずち)まで
プランター オランダ耳菜草(みみなぐさ) 独り占め
烏野豌豆 実結びぬ頃と なりにけり
実や名にし負う 豌豆の実似 ミニミニサイズの
春草の露 緑青の イルミネーション
仏の座 唇形花 突き出しおりぬ
仏の座 我が世の野辺*や 憂かれ気味
—-*’我が世の春’を捩って
庭の隅 そっと顔出しぬ 黄花アイリス
ミニ・ハウス* ちんまり ぎっしり ほうれんそう
―-*ビニール・ハウス
花びら散り 移いにけり 葉桜に
綿毛飛び行きぬ 蒲公英(たんぽぽ)寂し 今朝
令和2年 4月15日
<15首>
山藤や 若芽盛んも 花芽少な
落椿 絨毯広げぬ 少公園
金蓮花 黄花マーガレットや 春の華
橙と黄や 春色のハーモニー
落椿 幾重にも もう春尽
芝桜 ミニ花畑 紅と淡紫
酸葉(すいば)花形 抜きん出おりぬ
春の野辺
かすま*花柄二輪 春風に揺るる
ーー*烏野豌豆と雀野豌豆の、’か’と’す’の間の
野豌豆と言うが 名付けの由来
雀野豌豆 群れ合う野辺や 雀の槍と
春紫苑 伸ぶ伸ぶ若葉 生生と
苗代苺 嫩芽(どんが)彼方此方 生垣下
見つけたり 小さき小さき蕾 苗代苺
令和2年 4月16日
<16日>
ラナンキュラス 橙色花燃え 春日燃え
手毬の如 重弁の花姿 ラナンキュラス
アネモネ何処 出会えぬ春や 寂しけれ
―― アネモネやラナンキュラスと
同属なれば
チューリップ この至福感 何と言う
甘美かな チューリップ花の 曲線美
紅 橙 黄 チューリップの群れ 花色の乱舞
チューリップ花 見おれば包まる 春の喜び
三色菫(さんしきすみれ) 一色もあり 君知るや
三色菫 色々な顔 皆笑顔
ヴィオラ花 三色菫の 直ぐ側に
令和2年 4月17日
<15首>
小灰蝶(しじみちょう) 舞い来(く)消えり 空の彼方
崖の上下 射干(しゃが)の花や 咲き乱れ
入れ替わりぬ 射干と水仙 知らぬ間に
谷間や もう 葉桜の候 一興あり
谷間や 萌黄 満満 空 淡々
此処いらも 長実雛罌粟(ながみひなげし)
可憐な花姿(かし)
紅紫の 小蝶舞うが如 烏野豌豆*の花
ーー*漢字一語扱い
1 。
蒲公英(たんぽぽ)二輪 寄り添いぬ 蓬叢
春惜しむか 菫草 七十余輪も 路の縁
菫色 花びら 揺るる 行く春に
薹(とう)たちぬ 菜の花の如 葉牡丹は
忽然と 菜の花畑 葉牡丹鉢
消えにけり 馴染みの
関西蒲公英*(かんさいたんぽぽ)幾年も
ーー*漢字一語扱い
何時の日か 甦らむことを 関西蒲公英
伐られるも 蘖(ひこばえ)赤芽を 赤柏
令和2年 4月18日
<13首>
彼(か)の水音(みなおと) 春尽の音 溝流る
大雨や 来(く)来(こ)ぬ春尽 誰(た)の占い
絶え間ない 水音 春夜穏やかに
昨夜(きそ)の音 春時雨や 憂き哉今朝
散り初みぬ 青木の四片(よひら) 紅褐色
小さき哉 青木の青き実 花散りし後
見つけたり 青木の朱実 小さけれど
上り来たり 青木に 蟻あり 何故(なにゆえ)に
うろうろと 青木の実巡りぬ 蟻哀れ
消えそうで消えぬ 岩苦菜にエールを
紅四弁(よひら)の如 新芽映え
要黐(かなめもち)
胡蝶舞い来ぬ 薔薇(ばら)や彼方(あちら)
此方(こちら)老婆(ろうば)
令和2年 4月19日
<19首>
どんよりな春空 我(あ)には 鬱日和
昼下がり 紺碧の空 もう皐月晴れ
我(あ)も活気 いざ枝払いを 少しだけ
まだ残りぬ 枝枝払われ 樹木すっきり
雪柳 残り花(か)一輪 無邪気な
馬酔木(あせび) 実総垂れおり 哀れあり
梅 実一つだになくも 嫩芽(どんが)生生
椿幹 太きや目引きぬ 樹木(きぎ)の間に
忍びやか 万両の小木 朱実一つ
源平小菊 小叢こんもり 庭の奥
浅緑 ミントの葉叢 朝日映え
匂い立ちぬ ミントの葉叢 幾重もの
すらり生いぬ 背高泡立草*(せいたか
あわだちそう)の 春の暮れ
ーー*漢字一語扱い
紫苦菜*(むらさきにがな)と見しは
背高泡立草の若姿(わかすがた)
ーー*漢字一語扱い
紫苦菜 何処(いずこ) 出会わぬ日々の久しけり
令和2年 4月20日
<20首>
稚児篠打つ 春の終わりの 時雨かな
する するる 篠の葉滑る 雨雫
今し方 時雨 今 青空煌々
春尽も まだ移ろい易き 空模様
晴れやかな 微風(そよかぜ) 薄萌え出づる
たんぽ)と雌万年草(めのまんねんぐさ)
春尽のデュオ
花大根 フェンス向こう 紅紫花
姫柘榴(ひめざくろ) 枯れ木枯実 暮れの春
木香薔薇(もっこうばら) 匂えぬれど 香しき花
老いおれば 匂わぬ我(あ)が身 哀しけれ
薹(とう)立ちぬ 葉牡丹葉茎 オブジェ可笑し
花椿 ぼたり落つるも 艶然かな
藪椿 まだ梢から 横顔を
ホーホケキュ もうひと踏ん張りネ 谷渡り
また聞ゆ 鶯の声 谷間から
柿蘖(ひこばえ) 若葉 連連 生生かな
八重桜 春闌 咲き乱れ
山桜 此処にも 一樹 合計七樹
人手入らぬ 躑躅延び延び 花盛り
ひんやりと 静まる山中 山桜
令和2年 4月21日
<7首>
玻璃から覗きぬ 黒影 誰(あ)ぞ 枇杷の葉とは
こんな処 関西蒲公英(たんぽぽ)
我(あ)が庵(いお)前
散りぬれば 白木蘭や 葉木蘭に
要黐(かなめもち) 小さき蕾や 葉隠れに
要黐 蕾零(こぼ)れて 白小花の宴
いざ問わむ どちらが雌雄 松の花
蛞蝓(なめくじ)の子 キッチン彼方 何方へ
令和2年 4月22日
<8首>
おぉ寒い! 寒の戻りや 皐月前
寒の戻り 咲くを躊躇の 源平」小菊
戻り来ぬ 春炬燵の 温かさ
暖戻り*ぬ 小鳥もこっくり 昼下がり
―-*’寒の戻り’に倣って
昼下がり 此処にぞ 春の名残りあり
暖かな陽 降り注ぎぬ 我(あれ)が庭
春尽に勢い 薄の細き葉
春尽の勢(せい) 葉薄の浅緑
大急ぎ お尻振り逃ぐ 蜚(ごき)ぶりの春
令和2年 4月23日
<8首>
八重桜 吹き寄せらるる 春尽
路の縁 縁飾りや 八重桜花
漸うに 白壁の夏蔦 萌え出づる
艶のあり 夏蔦の葉葉 萌黄染め
山葡萄 新蔓新芽 枯蔓にも
マーガレット花 濃淡の紅染め 咲き零(こぼ)る
葉牡丹花 ’菜の花’越えぬ 乱れ咲き
紫一点* 杜若(かきつばた)一輪 緑中
ーー*紅一点を捩って
あっ 彼(あ)やシラー花 随分久しふり
黄花マーガレット 枯れ行くも咲きぬ 健気あり
山吹き花 黄金に映えぬ 谷間の
令和2年 4月24日
<17首>
山藤や 花ばかりなり 花房は?
花びら散りぬ 春惜しむあrむ チューリップ
欄干に 絡みぬ蔦や 艶やかな
まだ 小さき春あり 胡瓜草
岩苦菜 黄花鏤む 春尽
すらり伸ぶ 虎杖(いたどり) 若茎若葉
四弁(よひら)戦ぎぬ
長実雛罌粟(ながみひなげし) 暗橙色
小さき四弁 長実雛罌粟 春尽
花弁 二分(にぶ) 長実雛罌粟 ほんに雛な
大も小も 長実雛罌粟花 咲き誇りぬ
春尽を歩めば 長実雛罌粟 次々と
あらっ 此処にも 長実雛罌粟 石垣下
今日(けふ)や戦ぎぬ 長実雛罌粟 いと優しい
今や盛り と 源平小菊 白花映え
石垣に 源平小菊や 小叢生い
歩むほど 源平小菊 春尽の坂
芽閉じれば 源平小菊 白花の景
令和2年 4月25日
<14首>
関西蒲公英(たんぽぽ) 繊細な葉模様
花何処(いずこ)
蒲公英 の 真ん丸綿毛 飛ぶを待つ
小鬼田平子* まだまだ ますます 春盛り
ーー*漢字一語扱い
丸ん丸の実 烏野豌豆 花眺めおりぬ
実結びぬ 烏野豌豆 小鳥知らずや
輪となりぬ 花蔓 延ばしぬ 姫蔓蕎麦
春の野の 誰のティアラに 姫蔓蕎麦
紅色の 花水木 今日(けふ)大輪に
花水木舞う 青空 小鳥飛ぶ
滑空す 虫二匹 誰? 蜻蛉まさか!
彩る哉 晩春の庭 花水木
白花まだ 小振りや妖し 花水引き
今盛り 花水木の花 我(あれ)が庭
石垣の 窪みにパンジー 紫と黄
令和2年 4月26日
<13首>
木香薔薇(もっこうばら) アーチ潜りぬ 佳人誰(た)ぞ
朱二輪 諸葛菜の奥 チューリップの
雌万年草*(めのまんねんまだ 萌黄のまま
ーー*漢字一語扱い 花まだまだ
繁縷(はこべら)の実茎 繊細 何(な)に喩えむ
おぉ 怖い! 大蜂 ぶ~ん 雀蜂
大鉢や 飛び来や我(あれ)に 春の習い
花空色 お洒落も 名 いと不粋
ーー 和名の事
犬の陰嚢(いぬのふぐり)
洋名や 小鳥の目 猫の目
長実雛罌粟 東見ににっこり 近見にも
立ち酢漿草(かたばみ) あっちを見たり
こっちを見たり
竹垣に 添う酢漿草や 背比べ
山吹一重 白花 清楚素朴
あらっ 紫陽花(あじさい) いえ
白花の石楠花(しゃくなげ)
石楠花 花薄っすら 薄紅に染みぬ
令和2年 4月27日
<9首>
枯れ枝 かれ実 姫柘榴の春尽
薄く疎ら 薄(すすき)の芽生え 頼り無げ
酢漿草(かたばみ)と藪蝨(やぶじらみ)
葉ばかり 繁るる
風露草 まだ見ぬ 夏やまだ遠し
姫蔓蕎麦 うっとり 転寝(うたたね) 昼下がり
蔓桔梗 紫濃淡 花盛り
花大根 紫花菜(むらさきはなな)
あ(有)りやな(無)しや
花水木 花舞う 青空 小鳥飛び来
フェンスに並ぶ チューリップ ドレミファソラシド
令和2年 4月28日
<16首>
芝桜 藤色に咲きぬ 藤棚下
山藤や 蕾見ぬ間に 花房 彼処此方初
山藤房 疎(そ)にして素朴 又の景
野田藤とは 比ぶること無き 素朴さよ
黄花マーガレット 愈よ鮮やか 春尽
蕾茎 伸ばしぬ 雪ノ下や 岩の下
淡桃色 一際 美し 美女桜
美女桜 美色 色色 紅 緋 白 紫
春尽 我あ)が秘密の 草苑 消(け)ぬ
桃花色 子持ち撫子 春尽の華
花壇の外の 子持ち撫子 春尽の彩(あや)
源平小菊 蔦葉海蘭 春尽の彩 分かち合い
苗代苺 花芽と見しは 屈(こご)みぬ新芽
木香薔薇 黄白の花びら 夕日映え
紅と白 平戸躑躅や 夕日映え
花水木 濃紅色や 夕日映え
令和2年 4月29日
<13首>
大きく開き 揺るる花水木の 四片(よひら)
四片や 苞葉* 花弁(はなびら)に非ずとは
—-*苞葉は 花包む苞 小葉
満開の 花水木 苞葉も 若葉も
白紅の一対 愛でしは 久しかり
白色の花水木 消えたるは 何時のことか
消えるるや 小さき自然 我(あ)や 唖然
桜木や 早や 若葉 青葉となりにけり
浅緑 紅葉下 通り抜けぬ 今朝
令和2年 5月1日
<11首>
一輪 可憐 百輪 絢爛 源平小菊
小灰蝶(しじみちょう) 影とデュエット 舞い舞いぬ
舞い来たる 紋白蝶も 共々 輪舞
瑞々し 紫陽花嫩葉 空青し
酸葉(すいば) 溝底からにゅうと 太き茎
酢漿草(かたばみ) もう 花弁閉じおり 昼下がり
莢 莢 莢 烏野豌豆 誰(た)が収穫か
長実雛罌粟 オレンジ一輪 ノース・ポール*中
ーー* 和名 寒小菊(白花)
崖一面 著莪(しゃが) 淡紫が繚乱
ひょっこり こんな処に シャスターデイジー
燕二羽 飛び交い旋回 大痒に
令和2年 5月2日
<8首>
振り返りぬ 鈴の音 仄か 其処此処から
姫小判草*戦ぎぬ 小さき鈴振りつ
ーー*鈴萱(すずがや)の別称あり
次次と 姫小判草 時めきぬ
朱赤色 撫子艶あり 皐月空
大地縛り すらりの美し 路の縁
蒲公英(たんぽぽ)の 咲き残りかと大地縛り
大地縛り黄花 蒲公英の花似
内 春日 外 夏日 如何なるや 四方(よも)
令和2年 5月3日
<10首>
蚊蜻蛉や 夏と間違うや 今五月
五月二日 此方(こちら)夏日 彼方(かなた)真夏日
鎮まれり 朱夏の熱気や 三日の今朝
ぶ~ん ぶん 五月恒例の 雀蜂
ひらひらら 紋白蝶 舞いぬ 五月の空
胡蝶舞う 雀蜂* 蚊蜻蛉*も 五月賑やか
ーー*漢字一字扱い
花水木 四片(よひら)垂れおり 咲き疲れ?
四片開きぬ 限り限り(ぎりぎり)開きぬ花水木
白と紅 咲き揃いたり 平戸躑躅(ひらどつつじ)
白 紅 淡紅 躑躅の花色 青空映え
令和2年 5月4日
<12首>
一夜雨(ひとよあめ) 四方(よも)の景色や 瑞々し
一夜雨 一尺伸ぶミントに 驚嘆
枯れるるも 白花笑顔の 源平小菊
源平小菊 白花一斉 破顔一笑
紅にさきぬ 躑躅(つつじ)見所 今朝の路
躑躅 繚乱 素晴らしき哉 噫
長実雛罌粟 艶に輝きぬ 更地あり
此処彼処(ここかしこ)
オレンジ際立ちぬ 長実雛罌粟
草叢や 長実雛罌粟 我が世の初夏
雌も雄も酸葉(すいば) 戦ぎおりぬ 皐月晴れ
風雅な風姿 雌雄酸葉の蕾茎
茎戦ぎぬ 黄花笑顔の 春野芥子
令和2年 5月5日
<16首>
寝覚めれば 真夜の中 摂氏二十二度
真夜中に 夏衣替えを 夏布団
まっ 大きな 木蔦 冬型の三倍余
誰(た)が喰んだや 源平小菊の白花を
朝日影 春野芥子の花 気〔黄〕色満面
シャスターデイジー 垣間見たり 朝逍遙
庭一面 咲き乱るるシャスタ―デイジー
今や想い出
立酢漿草(たちかたばみ) 戦ぐ五月の
朝(あした)哉
野っ原見たり 更地の後の 原風景
長実雛罌粟 オレンジ増せり 十御林
ふいに 現わぬ 草叢上 名は と問いぬ
ーー 椿象(かめむし)とは。。。
あらっ 桜ん坊* 見上げれば 彼(あ)の梢にも
ーー食用ではなく 園芸品種の
もう少しで 踏み潰しそうに 桜ん坊
桜ん坊 路上 溝底 愛らし姿
彼方此方に 垂れるる 桜ん坊 いと愛し
ブロック塀 見越しの卯の花 香放ちぬ
令和2年 5月6日
<10首>
下(さが)りたり 草木人 皆 ほっとせり
ーー 連日 夏日げんなりな
雲どんより 五月晴れ何方(いずち)
椿象(かめむし)来(く)
甘藍の芯 窓辺に飾りぬ 三つばかり
ーー プラ容器で’水栽培’を
程なく新芽が 水耕の甘藍
今朝も亦 水替え 新芽の甘藍に
新芽や次々 一株*に五つも
ーー* 一つの芯
芽伸ばしぬ 甘藍 頂きに付けぬ
黄花や四片(よひら) 甘藍 段々咲き
甘藍黄花 咲て可愛い 四片かな
甘藍絢爛 紋白蝶 知らずや
令和2年 5月7日
<16首>
韮花茎 すらりすらりり 皐月晴れ
韮の花 今咲かむとばかり 白花一笑
彼方の韮 未だ蕾 固し 暫し待たむ
平戸躑躅 紅 白 淡紅 フェンス際
咲き溢るる躑躅 万福の感あり
菫草 花弁(はなびら)受けぬ 長実雛罌粟の
なよよかな 花水木の一片 草叢に
長実雛罌粟* 彼方此方 暫しの至福
ーー*漢字一語扱い
春山や 万緑の初夏となりにけり
裏山や 万緑に 沸き立ちおりぬ
ーー 過日見ぬ 菜の花畑の
TV映像を思い起しつ
まぁ 綺麗な 感嘆の声 菜の花畑
菜の花畑 向こうに霞む 桜並木
菜の花の ティアラや春の プリンセス
幻しらし 佇みぬ 佳人 菜の花畑
胡蝶舞いぬ 彼方此方 菜の花畑
紋白蝶 菜の花畑に 春の群舞
令和2年 5月8日
<21首>
燕飛びぬ 燕尾鮮やか 大空を
迫(せ)り出しおり 苗代苺 路の縁(へり)
踏まぬよう 苗代苺 蕾見ゆ
蕾 肩寄せぬ 苗代苺に 初夏の風
蕾見れば 花咲くを想う 苗代苺
苗代苺見ゆ夕 燕飛ぶ見ゆ
韮 咲きぬ 優し 純白の花弁(はなびら)
――’韮の花’の季語は 秋、
此処 神戸の山里では初春から晩秋まで
韮の花 初夏に戦ぎぬ 花 花 花
蒲公英(たんぽぽ)似の黄色 岩苦菜の黄色
岩苦菜(いわにがな) 小さき花叢 黄一面
岩苦菜 黄花其処(そこ)だけ 春模様
子持ち撫子 愈よ こんもり 濃桃花色(ことうかいろ)
咲き乱れるる 春紫苑(はるじおん)の坂 なだらなか
微笑せり 春紫苑 花冠傾げつ
宵待ち草 花仄か綻びぬ 帰り路
宵待ち草 橙黄色や 昨夜(きそ)の名残り
鋭く華奢 パッと咲きぬ 庭石菖(にわせきしょう)
淡紫青 六弁(ろくひら)の庭石菖 フェンス沿い
もう仄か 姫小判草*の 鈴の音や
—-*別称 鈴萱
姫小判掌とみしや 繁縷(はこべら)の実茎姿
小手毬 枝枝 垂れ揺れ 初夏のメロディー
半円の 白花連連 小手毬の
令和2年 5月9日
<16首>
朝オープン* 夕クローズド** 黄花酢漿草
ーー*開花 **閉花
立酢漿草(たちかたばみ)
鳥渡高みから 花開閉
今は昔 驚きぬ 立ち酢漿草の 立ち姿
――此処へ引っ越しぬその時なで
立ち酢漿草見ることなく
もう閉じぬ 桔梗酢漿草*(ききょうかたばみ)黄昏前
ーー*別称、紫酢漿草 すいすい
ひょっこりと 紅酢漿草も 紫陽花下
紅酢漿草も 紅桃花色;閉じぬ 黄昏には
花酢漿草 何処(いずこ) 彼(あれ)見当たらぬ
花酢漿草 咲くは秋と 君は言いぬ
令和2年 5月10日
<16首>
もう一衣(ひとえ) 初夏の有明 未だ寒く
今を時めきぬ 軍配薺(ぐんばいなずな)の
白花の叢
何時の間に 軍配薺や 花壇の主賓
軍配薺 洋風にも 和風にも
軍配薺 和にして洋あり をかしかり
軍配薺 大小扱き混ぜぬ 初夏花壇
花似るも 姿形や サイズは違(たが)いぬ
初夏の坂 鳥渡下(くだ)れば 軍配薺の叢
上(のぼ)りても 直ぐ其処にや 軍配薺の叢
軍配薺 花弁(はなびら)ひらひら 初夏の風
軍配薺 優し 初夏の風に吹かれ
垣根奥 紫蘭の紅紫 そっと咲きぬ
紫蘭の花 紅紫ばかり 快快(おうおう)なり
出会えぬか 白花紫蘭の清楚な姿
夢幻か 白花紫蘭との邂逅
令和2年 5月11日
<7首>
少しづつ 蕾膨らみぬ 紫陽花の
酸葉(すいば) すらり佇みぬ 初夏の野辺
酸葉 唯独り 佇む 初夏の野辺
銀褐色 蔓茱萸(つるぐみ)に嫩葉 初夏の山辺
梅の樹も 若葉幾重も 萌えに萌え
小さき小さき 若葉や見たり 実紫の
葉蘭一葉 眩し気哉 初夏の陽射し
令和2年 5月12日
<9首>
ばど明けぬ 朱夏の宵如く 未だ五月(さつき)
朱夏の宵 椿象(かめむし) 一匹
我(あれ)が庵(いお)
浅緑の椿象 今宵訪いが
何方(いずち)から 飛び込みたるや 椿象よ
緊急避難? 今宵静穏 風雨無く
今宵は お泊まり 我(あ)が庵(いお)で?
明くる朝 椿象の姿みぬ 何方(いずかた)へ
花芽出づる 五月躑躅(さつきつつじ)の 五月かな
ポツポツと 花芽出づ五月の 五月躑躅
令和2年 5月13日
<20首>
忍冬(にんどう)二輪 匂い遣しぬ 此方(こちら)まで
小判草 花穂ゆらゆらり 路の縁
都忘れ* 小鉢忘れず 飛び回りぬ
ーー* 深山嫁菜の園芸品種
石垣や 浅緑の壁 夏蔦の
はっとせり 朱赤の撫子 火焔が如
マーガレットも憂愁の美 零れ咲き
初夏の山 浅から濃の 綾錦
苧環(おだまき)の城花 初夏を彩りぬ
枯れ芒 枯れ莢白百合 崖に立ちぬ
聞こえたり ホーホケキョ キョキョ 聞こえたり
ホーホケキョ 木霊や響きぬ ホーホケキョ
歩む度 ホーホキェキョ キェキョの ラブコール
久し振り 鶯の声 初夏の山辺
燕の巣 旧に新たな 巣造りあり
見上げれば 燕悠然 高く大きく
初夏の帰路 何処か懐かし 夕日蔭
黒御器噛(ごきぶり) 何故に 我(あ)が家へ
吉や凶や
払っても 払っても また飛び来(く) 人懐こき?
御免なさ 我(あれ) 馴染ず 払いたり
初見なり 黒甲冑の虫 鳥渡 おどろし
令和2年 5月14日
<8首>
甘やかに 咲き誇るるや 源平小菊
軽やかに 小灰蝶*しじみちょう) 源平小菊*の
花を縫いぬ
ーー*漢字一語扱い
この胡蝶 何時ぞやの 小灰蝶
小灰蝶 今日)けふ)や 軽やか 独り舞い
石菖 花穂横並び 細く長く
すいっと伸ぶ 石匠の花穂 夕照(せきしょう)映え
韮の花 もう彼方此方に 未だ五月
ーー韮の花の季語や 秋
花 花 花 韮の花や 彼方此方(かなたこなた)
初夏の山 光と青葉 さんざめく
令和2年 5月15日
<11首>
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雪ノ下 岩の下にや 蕾茎見ゆ
春野芥子の黄花 もう真ん丸の綿毛
初夏の風 野芥子の綿毛 飛ばぬまま
卯の花や 蕾其処此処 藤の葉蔭
ーー卯の花と山藤が絡み合う崖のあり
卯木(うつぎ)の花 爛漫の兆し 藤花に代わり
藤の花 疎なれば 今期 寂しとぞ
ーー 〔思ほゆ〕
苗代苺 蕾 暗紅の 小花となりぬ
苗代苺 苗代知らすとは 如何 あぁ
ーー 此の苺生うは 小公園の
隅なれば
大空を 燕飛ぶ 田植え見ぬとも
山里や 田圃無くとも 燕飛びぬ
燕飛ぶ 田植えを見たは 遠き想い出
令和2年 5月16日
<10首>
初夏速し 草木の勢い 甚だし
瞬く間 枯れ野や 虎杖(いたどり)
酸葉(すいば)お野
酸葉 余り見ぬ間に 薹立ちぬ
海桐(とべら)今にも 開かむ蕾あり
海桐 梔子(くちなし)に優りぬ 逍遙路
何時の間にか 梔子の垣根に 海桐出づ
山際にも 海桐の白花 一遇に
ペテュニア花 色とりどり 緋 紅 桃 白 紫
この頃や 余り出会わぬ花 いと寂し
見つけたり ペテュニアさくを 一か処なれど
令和2年 5月17日
<11首>
大地縛り 黄花 点描 初夏の野辺
増えたり 減ったり 大地縛り黄花 歩む毎
彼方(かなた)まで 黄花咲き続きぬ 大地縛り
シャスタ―デージー 一輪 白黄が 黄花中
庭石菖(にわせきしょう) 此処にも咲きぬ 石畳み
小さくも 人目や惹きぬ 庭石菖
鈴萱や もう枯れ色に 帰り路
引き抜きぬ 枯れ鈴萱や 携え帰
そっと置きぬ 鈴萱の枯実 我(あれ)が庭
瞬く間 源平小菊 花盛り
白花や 紅に暈しぬ 源平小菊
令和2年 5月18日
<12首>
いつの間にか 四方(よも) 若葉 青葉の候に
いつの間にか 椿や あおば盛に 花見ぬ間に
いつの間にか 馬酔木((あせび)浅緑 若葉に
包まるる
いつの間にか 野茨蔓伸ぶ ゆらゆらり
いつの間にか 白小花 要黐(かなめもち)垣
いつの間にか 南天若葉 暗紅色
いつの間にか 南天結びぬ 実の房を
いつのまにか 若葉群がりぬ 公孫樹
万両 青葉盛りに 朱美一つ
いつの間にか 虎杖(いたどり) 四方八方 枝伸しぬ
いつの間にか 盗人萩や 若葉萌え
いつのまにか 葉ミント豊満 緑叢に
令和2年 5月19日
<6首>
霞籠む 紫陽花の葉葉 露光るる
葉紫陽花 光るる 梅雨時の如く
鬱陶し 梅雨の入りかと 胸塞(ふさ)がるる
昨夜(きそ)の雨 過ぐれば 今日(けふ)や霞込む
外出を 後(しり)込む 今朝や 霞込む
今暫く 五月晴れをと 希(こいねが)いぬ
令和2年 5月20日
<10首>
韮 溝の 上から下から 白花茎
芍薬(しゃくやく) 淡紅 妖艶 日暮(じつ)の庭
姫柘榴(ひめざくろ) 枯実一つ垂る 若葉中(なか)
ポピー 蕾 花色何(な)ぞと 問い掛けり
黄色がにっこり 向いの鉢のポピー花
もう少し 歩まむと 初夏の坂
まあっ 綺麗 黄菖蒲 池の彼方此方(あちこち)に
鯉泳ぎ来 水面〔みなも)の黄影* 仄か揺るる
—-*水面に映る黄菖蒲の影の意
野蒜の花茎 のびのびのんびり 初夏の空
古伐り株 蘖(ひこばえ)萌えずも 草寄り添いぬ
亦 更地 哀れ樹三本 切り株に
令和2年 5月21日
<9首>
朝霧の光るる 青葉や 花水木
葱坊主 焚くく望むや 茅渟(ちぬ)の海
海芋(かいう)の花(か) 白色まったり
仏炎苞(ぶつえんほう)
仏炎苞 白色独り 緑中
長実雛罌粟(ながみひなげし)
皆実となりぬ 細長な
咲遅れたる 菜の花に 紋白蝶
菜の花や 名残の姿 紋白蝶
久し振りの 五月晴れ 浮かれ舞いぬ
ぼつぼつに 鮮桃色花 五月の皐月*
—-*皐月躑躅(さつきつつじ)の略
南天も 逆さ藤の 白小花を
令和2年 5月22日
<10首>
まあ 嬉し 思わぬ再会 庭石菖
三輪も 庭石菖 我(あれ)が庭
寄り添いつ 咲きぬ 庭石菖 紅紫色
塀越しに見ゆ 卯木(うつぎの花や 三段化
ーー白 淡紅 暗紅へ
白 緑 褐色の葉や 汝(なんじ)や誰(た)ぞ
擬宝珠(ぎぼうし)の風姿 幻しか
覚束無(おぼつか)ぬ
土壌の所為? 三色葉生う 魔訶不思議
毎初夏 我(あ)が庭の何処かに 三色葉
去年(こぞ)の初夏 三色葉見ぬ 小寂しく
今朝 三色葉見ゆ 酸葉(すいば)に紛れる
令和2年 5月23日
<12首>
フェンス沿い 蔓草から 忍冬(にんどう)の花
忍冬白花 もう黄化 芳香残しつ
深紅の五弁 咲くはいつも 初夏の候
毎年初夏 えど未だ 名や知らぬ
此の花は と問えど紫蘭や 知らん顔
待つ宵草 咲き初みぬ 夕日影
紫露草 もう閉じおりぬ また明日(あした)
顔寄せ合いぬ 春紫苑(ハルジオン)の初夏眩し
春紫苑 花頭の塊り 淡紅紫色
姫女苑(ひめじょおん) 春紫苑に紛れ 咲きぬ
令和2年 5月24日
<10首>
卯の花 咲きぬ 溢れるや 坂の下
坂の上 未だ蕾も僅か 白花も
柏葉紫陽花 蕾穂 突き出しぬ 通り掛かり
軍配薺(ぶんばいなずな) 白花の叢 魅惑的
軍配薺 一花繚乱 白花の
紅酢漿草(べにかたばみ) 探せば咲きおりぬ
紫陽花下
狂い咲き 桜花満開 夢狂い
ーー突如 満開の桜の夢を見て
箆葉大葉子(へらばおおばこ)
尖がり帽子のような花穂
誰(た)が忘れたか 尖がり帽子 初夏の野辺
長く長く伸ぶ 尖がり帽子 間抜け顔
令和2年 5月25日
<11首>
ヴィオラのような 小形パンジー 芝生中
黄一色なれど 愛らし 小パンジー
姫苧環(ひめおだまき) もう姿見ぬ また来春
風露草 小花 愛らし 今日は
何時見ても 不思議な花形 雪の下
鮮緑色 光る飛行体 彼(か) 金蚉(かなぶん)
緑から緑 飛び回るる 金蚉 千草の上
日毎膨らみぬや 紫陽花の蕾
浅緑り 紫陽花の蕾 昼下がり
ゆらゆらと 燃え*上がるが如 若葉椿
ーー* ’萌え’にも懸けて
今年見ぬ 要黐(かなめもち)の花(か)
昨年(こぞ)見たに
令和2年 5月26日
<11首>
ひらひらと 紋基調舞いぬ 初夏の野や
春の野は もう彼方にぞ 紋黄蝶
漆黒に 白小紋の羽 蝶や 蛾や
蝶や垂直 蛾や水平 羽の休め方
彼(か)の胡蝶 羽斜めに ちょっと気取りぬ
白と黒 だんだら意匠 揚羽蝶
揚羽蝶 突然 ホバリング* 何故に
ーー*hovering
花や見ぬ 青葉ばkりの庭なるに
茶色系 迷彩色の羽 蛾らし
白壁に 迷彩色や 保護色には
忽然と 盗人萩や 蓬叢
令和2年 5月27日
<5首>
微風(そよかぜ)に 青葉さんざめく 青き空
枯れ草 枯れ葉 白化せり 陽射し濃し
昨夜(きそ)の雨 青草萌えぬ 彼方此方
庭石菖(にわせきしょう) 花やと見れば
実結びおり
朱夏の庭の如 もう青葉繁るる
令和2年 5月28日
<21首>
主や誰(た)ぞ この甘酸っぱき 香や放つ
白薔薇(はくそうび) 咲き乱れおりぬ 初夏の夕
塀の傍 ベゴニアの小苑 淡紅の
淡紅の ベゴニアの花花(かか)の
さんざめき
路の縁 綺麗に払われぬ 蛍袋*は?**
ーー*漢字一語扱い
** 毎年初夏の 路傍に
出会うが 我(あ)が習い
お引越し? こんな処に 蛍袋
暗紅色 蛍袋や 山際に
白花見ぬ 初夏の黄昏 心(うら)寂し
壁に影 紅薔薇 一輪 夕日影
ミニ白薔薇 零れむばかりの 笑顔哉
蕺(どくだみ)花 白四片 まったり 緑中
蕺花 可憐 甘美や 臭わねば
卯の花や 咲き溢れるる 水路底
小判草 花穂垂れ伸びぬ 長く長く
色姿 小判に似たる ほんに小判草
枯れぬれば 小判草や 小判色
兎菊花 黄橙映え 夕日影
リズミカルに ランダムに 兎菊揺れ
兎菊 黄橙色盛り* 帰り路
ーー*’花さかり’ に倣って
石垣の 上にも下にも 兎菊
黄へ変化(へんげ) 忍冬(すいかずら)や
もう 終焉か
令和2年 5月29日
<10首>
何(な)の木ぞ 訝しおれば 卯木(うつぎ)の雛形
独り舞い 紋白蝶 卯の花影を
紋白蝶 卯の花影に 見え隠れ
紋黄蝶 離れ 近づきつ デュエットの舞い
楽し気哉 離れては寄りぬ 紋黄蝶
白花四片 何(な)の花ぞ 忍冬隣り
長実雛罌粟 枯れ実 そっと ポケットに
願わくば 来週の出会い 我(あ)が庭で
折鶴蘭 白斑入り 夕日影
野薊消ぬ 今やもう 盗人萩*の青葉
ーー*漢字花 一語扱い
遅れ咲き シャスタ―デージー 終焉の野
枯れるる野 シャスタデージー 小寂しき夕
令和2年 5月30日
<6首>
白き蛾や 輩ともがら) 否 羽化の抜け殻
羽化 仄か紫勝つも 優美な蛾
淡黄色 薹(とう)立ちぬ 葉牡丹の花
早々(はやばや)と 咲きぬ 柏葉紫陽花 五月晴れ
突き出でぬ 円錐形の花穂 柏葉紫陽花
白蝶草 まだ直立のまま まだ蕾茎
令和2年 5月31日
<9首>
兎菊 黄橙花揺るる 青葉風
鈴萱も 揺るる 我(あ)が庭 風優し
風露草 掌状葉 大小開きぬ 重ね重ね
風露草 葉 パァと開きぬ パッと パァと
意図愛らし 梅花似の小花 風露草
冬忍(すいかずら)の 唇形花や 夕日映え
忍冬花 それぞれが 夫々向きぬ
あっ 彼(あ)や スターチス白花 花壇に咲く
紫色 いつも見るは 切り花の
令和2年 6月1日
<13首>
兎菊 虫喰い花弁(はなびら) 誰(た)が仕業
虫喰いも 喰わるるも 揺るる 兎菊
梅雨前や 卯の花 盛り過ぎにけり
早々と 卯の花枯れ初みぬ 卯の花腐し前
今朝の小雨 卯の花腐しの 序曲かも
卯の花や 三日ばかりの 栄華哉
咲きぬれば もう散 り初むる 卯の花よ
アマリリス 朱花咲きぬ もう朱夏の庭か
野芥子 黄花 綿毛となりぬ悉く
卯の花や 躑躅扱き混ぜるる 垣根哉
玉椿 花 雪冠りの如 遠見には
近見には 緑陰の下 風通るる
蛍袋 独り花壇の 花叢*に
--*草叢に倣って
花夫々 塊りて咲きぬ その真中
令和2年 6月2日
<10首>
梅雨芽きぬ どんよりな空 託(かこ)ち顔
甘やかな 姫女苑の 白花の笑み
姫女苑 白花一声 今朝の庭
南天の 白花房 映えぬ 庭の隅
皐月躑躅 桃紅色映え 朝日影
ポつポつと 咲き出づ 皐月 桃紅色の
春紫苑 消えぬとみれば 春女苑
悲が喜に 女苑 春*と姫との 入れ替わり
ーー*春紫苑の別称は 春女苑
姫女苑 戦(そよ)ぎぬ優し 微風(そよかぜ)に
時に非ずや 額紫陽花の花 浅緑
令和2年 6月3日
<12首>
蔓桔梗花 紫の風車(かざぐるま) 独り揺れ
如何なりや 万年草消えり 黄花も葉も
晴れやかに 姫女苑白花 梅雨空に
菫草 青青シャープ 夏姿
アマリリス此処にも 朱赤 艶然と
韮の白花 十(とう)花菊 溝お底
黄菖蒲 一輪 水面(みなも)に 猶 一輪
いと 愛らし ヴィオラ段々 石段に
切られおりぬ 古伐り株の蘖(ひこばえ) あぁ
山葡萄葉 緑の濃淡 幾重にも
薄曇り 猶 日傘手に 少逍遙
歩ゆめども 汗や出ぬ 我(あれ)が身 哀し
令和2年 6月4日
<8首>
伸び伸びて 虎杖(いたどり)の葉先 納屋越えぬ
紅勝ちになりぬ 源平小菊の 白色花
茫々や 何処まで伸ぶる ミント叢
葉揉めば 香しき哉 ミントの香
降るか 降るまいか 梅雨空 思案顔
薄も萩も 青葉戦ぎぬ 梅雨空に
藪蝨(やぶしらみ) 可憐可愛い 花頭)かとう)哉
白小花 塊りて 優しい 藪蝨(やぶじらみ)
令和3年 2月22日
<13首>
今日(けふ)ヤ 亦 卯月の気温 温かな
紅梅花 梢に 連連 艶然と
淡紅も 小振りの梅花 愛らしき
白梅や 紅梅の奥 見え隠れ
梅の木三つ 揃いて笑顔 春麗し
春陽 溝底も 晴れやかに萌え
溝底や 若草の宴 タンポポ 薺(なずな)
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