平成31年3月13日
<20首>
石蕗(つわぶき)や 嫩葉の叢や 開きおり
お多福南天 緑葉に 紅落としぬ 春日影
岩苦菜 嫩葉 嫩葉の敷き尽くし
花腐(くた)り 嫩芽盛(さか)りの 木瓜(ぼけ)の春
木通(あけび) 漸う 嫩芽の 御出座(おでま)しらし
落ち椿 一輪静か 石段に
白梅の八重 素朴な風姿 春日影
紫陽花(しようばな) 嫩葉 咲きたる花の如
葉括られ 水仙 待つらむ 来春を
水仙果てり 一輪残りぬ ひょっこりと
見つけたり 遅れ咲き 水仙の叢
水仙嫩葉 花の見頃は 何時のこと
花芽 横向きぬ 水仙の 遅れ花も
すらりすらり 水仙嫩葉 小さき木立ち
躑躅(つつじ)下 茸(きのこ) 彼(あ)は 幻か
野薊や 未だ 籠るるは 春 寒し
--他処で野薊のロゼットを見つけ
一 二 三 (ひい ふう みい)
野薊のロゼット 次々と
紅点点 落ち椿や 地上の華
白菫 石垣に生いぬ 蔟蔟〔/続々〕と
もう三株(みかぶ) 白菫の小さきが 路の縁
平成31年3月14日
<12首>
雪柳 花芽開きぬ 雪化粧
土筆や土筆 土筆や何処 もう 終わりたる?
杉菜 も見ぬ もう終わり? まだこれから?
目に付くは 蓬の嫩葉 ’我が世’を愛でる
水流る 春の溝底 音も無く
梅の八重 零れ初みぬ 一片(ひとひら) 二(ふた)
彼(か)の枯れ蔓 何(な)ぞ リョウゼンカズラ の冬姿
落ち椿 紅の絞りや そのままに
蔓桔梗 紫が そっと 顔を見せ
山葡萄 また 嫩葉見ぬ 枯蔓のまま
花韮 二輪 春草の蔭に寄り添いぬ
平成31年3月 14日
<8首>
尉鶲(じょうびたき) 飛び去り戻りぬ 風姿愛らし
アスファルトに生う 春の野芥子や 野辺恋うらむ
ポーズとりぬ 春の野芥子 白壁背に
白木蘭 花芽開きぬ 空春かす
玉椿 実総に下りぬ 鵯鳥(ひよどり)あり
要黐(かなめもち) 暗紅の嫩葉 すいすいと
珠菜(たまな)*の葉 剥がせば 蛞蝓(なめくじ)の幼きが
--* キャベツの別称
葉重なる 奥の隅 彼(か)や潜みおり
平成31年3月16日
<9首>
初雷(はつらい)の轟き 驚きぬ 朝ぼらけ
轟きぬ 雷鳴 春の目醒め哉
横臥して 雷鳴過ごしぬ 朝ぼらけ
朝ぼらけ 突く 雷(いかづち) 電(いなづま)や
稲妻 フラッシュ フラッシュ 雷鳴と
鎮まれり と思きや 猶 雷電
鎮まれり 否 雷(かみなり) 唸り 吠えり
冷たき哉 雷の後の 春の雨
春雷の後に 春風駘蕩には〔なかなか〕
平成31年3月17日
<13首>
我(あ)が庭の 春の芽生えは 蔦葉海蘭
今 蓬の 嫩葉盛り 我(あ)が庭は
薄(すすき) 源平小菊 未だ 枯れ草のまま
白花藪蘭* 紫黒の果実 未だ残りぬ
ーー*漢字一語扱い
夏蔦の 小さく芽生えぬ 春日影
八重葎 薺(なずな) 仏の座 春の寄せ植え
姫踊り子草 葱 繁縷(はこべ)窮屈そうな プランター
砂防壁 吹き寄せの落葉 冬の景
次々と 石垣に黄花 春の野芥子
石垣の 隙間の〔蔦葉〕海蘭 花や何時
俄か雨 帰路急かるる 春逍遙
急いで 急いで 春の疾風 追いかける
帰り来れば 青空にっこり 如何思わむ
平成31年3月18日
<16首>
春の野芥子 首傾げて ご挨拶
黄水仙 俯き 横向き 気儘な春
紫陽花 嫩芽 もう 嫩葉 時速し
春日影 姫踊り子草 春の踊りは 〔如何〕
なかなかに 花茎の伸びぬ 水仙叢
のんびりと 待つや 水仙 咲く時を
遅れ馳せや 水仙小叢 未だ咲かぬ
葱畑の如 水仙小叢 春日影
水仙や 挙りて咲きぬ 春麗ら
春陽強し もう日傘の候と なりにけり
フェンズ下 何のロゼット 点点と
この辺り 長実雛罌粟 咲き乱れおり
今はもう 姫踊り子草 野豌豆も 隅っこに
白木蘭 花芽膨らみぬ 空碧き
咲き遊(すさ)ぶ 大黄花酢漿草*や 春風に
ーー* 漢字一語扱い
もう 春ね もう春ですよ たんぼぼが
春山や 少し笑いぬ 弥生半ば
平成31年3月 19日
<17首>
鬼田平子 日蔭にひっそり ロゼットのまま
もっと多く 蒲公英萌え出を 待つらむや
葉牡丹の 円錐形や 春のオブジェ
黄花マーガレット 春陽に映えぬ 少逍遙
ペチュニア 萎れり 真冬の華〔なりしが〕
冬最中(もなか) 健気に咲きし花(か) いと愛し
葉許りの 繁るる 何(な)の草 仏の座
野辺に生う ヒヤシンスや 素朴な風趣
豪華咲き 水栽培の ヒヤシンス
ヒヤシンス 窓辺で微酔 春陽射し
寒白菊 華苗 勢揃い 花冠もまた
飛び来たりぬ 紅き実総* 啄み頃
-* 梅擬きの
ーー 今年の啓蟄の節気ももう
終わりと知り
啓蟄や 這い出づる虫や 外如何
啓蟄や 虫も悴む 冷雨あり
啓蟄や 土より出づる虫や 誰ぞ
啓蟄や 蓬の嫩葉 少し揺れ
もしかして 土出づる虫の 所業かも
平成31年3月20日
<16首>
ヒヤシンス か細きが 独り 春日影
ヒヤシンス 独りひっそり 春草蔭
冬コート 脱げば 日傘の 春日影
杉木立 小鳥やちらり 尉鶲?
アスファルト 割れ目の 春草へ エールを
枯れ小萱(おがや) 続きぬ小径 春未(いま)だ
辺りあたり 春草 浮島の如 枯れ小径
蔓桔梗 一輪 淡紫が 此んな処に
今可愛い 蓬 幼なの 嫩葉許り
何時の日か 蓬生の叢に なりぬるか
下 枯れ草 上 桜木の芽吹き哉
姫椿 緑許り 咲き遅れもなし
春空の雫 キャッツアイ*の 小花
-*和称 犬のふぐり
冷たきも甘き 春風 吹き過ぎる
ヒヤシンス 何処 水仙の春咲き ばかり
昨年(こぞ)の春 此処に出会えり ヒヤシンス
薹立ちぬ 葉牡丹の景 春のアート
平成31年3月21日
<10首>
チューリップ 花茎 独り 枯れプランター
忽然と 現れたり 彼(か)の花茎
何色の花 咲かせるらむ チューリップ
紅紫色 胡蝶花 舞う哉 豌豆の
葉 葉 繁し 紅紫の胡蝶や 花豌豆
籠るる間 豌豆の蔓 我(あれ)超えぬ
赤豌豆* 白豌豆 想えば 春時雨
⋆赤豌豆は紅紫の花豌豆
曇り空 花豌豆も 曇り顔
春昼 一転 梅雨連想の 鬱
如何に過ごさむ 霞籠む 春の宵
平成31年3月22日
<5首>
枯れ草より 愈よ 春草 我(あ)が庭も
陽と冷 春の移り気 合わせ難(がた)
昨日 卯月〔の陽気〕 今日 弥生始め〔の冷気〕
桜 如何
膨らみて 且つ 固まるる 桜花芽(かが)
籠るる間 白木蘭や 花盛り
平成31年3月23日
<17首>
燃え立ちぬ 白木蘭の 花 花(か か) 香し
春一日(はるひとひ) 一気に開花 白木蘭
白木蘭下 青草 青青 青き空
春雨に 光るる 草草 萌黄色
震えたり 寒の戻りや 此は如何に
おぉ 寒! 寒の戻りか 福良雀
寒きかな 今日(けふ) 弥生の下旬なり
朝より昼 昼より夜冷え かんの戻り
思い立ち 木鋏 片手に 春庭へ
何処から 手をば着けむや 庭弄り(いじり)
嫩芽 かりぬ 要黐垣 春日影
要黐(かなめもち) 葉のトリミング 心地よく気(げ)
あら 嬉し 万両の実 生垣側(見つけたり〕
静やかに 万両の実 垂れおりぬ
枯れ木となりぬ 米栴檀草(アメリカせんだんぐさ)*も
手折りけり
ーー*漢字一語扱い
我(あ)が庭も 少しすっきり 春が景
平成31年3月24日
<8首>
チョン チョン 跳び歩きぬ 小鳥 何啄むや
彼(か)の小鳥 昨日も チラッと 垣根蔭
何鳥や サイズは 鵯(ひよどり) 雀より大
そういえば 雀一羽見ぬ ここ数日
遠慮や 畏怖や 雀隠るる 心(うら)寂し
番(つがい)らしと見みは 葉と葉と 影絵なり
出そびれぬ やはり 寒の戻り おぉ 寒い
出そびれぬ 今日(けふ)は 朝から炬燵守り
寒の戻り 春寒(はるさむ)や 実に滲みるる
寒の戻り 去りぬ 温か 春の戻り
心做す 寒さ覚えぬ 春の陽気
平成31年3月25日
<20首>
もしかして このロゼット 春の野芥子
このロゼット 春車菊*や 金鶏菊や
--*別称、波斯菊 孔雀相
鷹の爪の 小さき小さき 白き花芽
鷹の爪 白きが 一杯 今咲かむ
鬼田平子 小鬼田平子も 春風に〔戦ぎ〕
苔生しぬ テリトリー広げぬ 春模様
どんよりと 曇りぬ春空 犬の遠吠え
花椿 白に薄紅絞り 春の綾
水仙百輪 豪華 予期せぬ邂逅
烏野豌豆 未だ嫩葉ばかり 春柔らか
何(な)の野草 花 薺(なずな)似 葉野豌豆
花椿 愈よ 紅や濃き 落椿
今に生う 芝草 詠まれり 万葉集に
永らえぬ 芝草 路傍に存えぬ
プリムラ シクラメン 黄水仙 桜草 春の門前
木瓜の花 花芽鈴なり 生垣の
生垣に 紅 三つ 二つ 姫椿の
もう咲きぬ 花韮 あちこち 春の庭
まあっ 咲きぬ チューリップの花 二輪半
チューリップ黄色が二輪 一輪 花芽
彼(か)の花芽(かが)や 咲き出ずらむ 一日待てば
平成31年3月26日
<24首>
風強し 春一番とは 聞かぬれど
また 出そびれぬ 春風 いと寒し
水仙や 春風の寒きを 知るや 〔知らずや〕
水仙咲かぬ 細葉ばかり 葱ばかり*ばかり
--*花茎無き 水仙の葉 葱と謂うを 聞き
漸うに木通(あけび)芽吹きぬ 春や来ぬ
桜咲く山里 初の花見かな
此処にも 一樹 桜美し 麗し
--人為に依らず花壇に生う花韮を眺めつ
彼方此方に 花韮自生 無為の妙
水仙何処 鈴蘭水仙*に 隠れたり
*スノウフレークの和名
スノウフレーク 水仙に代わり 花やぎぬ
春花壇 水仙葉ばかり 休眠中?
濡れて行こう 否 引き返しぬ 春時雨
雪柳 小米雪被り 小米花*
--*雪柳の別称
雪柳 枝垂(しだ)れの長枝に 小米雪
小米花 一気に開花 実(げ)に 噴雪花*
--*雪柳の漢名
風に流る 雪柳の 枝垂れの 長枝
雪柳 枝垂れの長枝 揺れ揺れぬ
狂おし気 雪柳の長枝 乱れ揺れ
手に負えぬ 自然生いの 雪柳
雪柳 丸く短く 刈り込まれ
慎ましく 可憐に咲きぬ 雪柳
雪柳 あの狂おしき〔風姿〕や 忍ばるる
荒れ荒ぶ 長枝 また見まほしく
平成31年3月27日
<19首>
チューリップ狩り*近隣巡り 昼下がり
ーー* 桜狩りを捩って
見つけたり チューリップの嫩芽 尖がり形の
瑠璃ムスカリ 二輪 小公園の隅
心細気 何処から逸出 遠出のし過ぎ?
喇叭水仙 白花 破顔一笑
蒲公英(たんぽぽ) 黄花鮮やか 路傍の華
ひらひらら 胡蝶や いえ 木の葉の舞い
花韮(はなにら)の青紫に 春日影
大小の 花茎 花芽の チューリップ
チューリップ 花壇一段 埋め尽くしぬ
花鉢に 溢るる許りの 葉チューリップ
チューリップの隣り 石垣に二輪 源平小菊
チュー⁻リップ 此処にも咲くきぬ 黄と白朱
雪柳 無為のまま 揺れ揺れり
思わぬ処 崖に自生や 雪柳
水仙小叢 鈴蘭水仙 微笑
喇叭水仙 色々 白花に 黄花
チューリップ 未だまだ 花芽あり 少逍遙
帰り来て チューリップの小苑 数えれば・・・
五ヶ処も 想い出しぬ 春の喜び
平成31年3月28日
<11首>
蓬萌えぬ いずれ刈らるる を知らずや
ムスカリ無数 瑠璃青花茎 背比べ
見つけたり また一つ チューリップの小苑
消ぬたりと 嘆きの〔関西〕蒲公英 七株も
雪柳 此処にも 長枝 枝垂れおり
また出会えり 狂おし気な 枝雪柳
春風に 揺れ乱れる 風姿 狂おし気
躑躅(つつじ)に白花 いえ 白花の喇叭水仙
赤 白 黄色 チューリップ咲きぬ 春速し
春や暫し〔留まれ〕 チューリップの咲きぬ間(ま)は
綿毛未だ 飛び行かぬ 嬉し 蒲公英の
彼(あ)の花は? 崖に生いぬ 花韮の小叢
平成31年3月29日
<14首>
菫草 菫色に咲きぬ 路の縁
菫草 一株七輪 春日影
白木蘭 花弁散りぬ 命 泡沫(うたかた)
散りても暫し 花弁(はなびら)妖艶 白木蘭
掃き寄せらるる 花弁(はなびら)哀れ 白木蘭
ムスカリ独り 花壇の片隅 春寂し
雀の槍 一番槍なり この野辺の
胡瓜草 姫踊り子草 耳菜草 野豌豆*
春の賑わい
ーー*漢字一語扱い
渋紅に 萌葱 扱き混ぜ 万年草の春
木通(あけび) もう嫩芽 嫩芽(どんが どんが)
ぐんぐんと
春の野芥子 海蘭 鬼田平子 溝の小苑
春の野芥子 黄花にっこり 溝の底
烏や雀や 未だ分かぬ 野豌豆嫩芽
藤の蔓 芽吹くを見上げば 卯の花も
平成31年3月30日
<17首>
彼岸桜 眺むりおれば 小鳥一羽
誰(た)にあらむ 桜花の蜜吸う 彼(あ)の小鳥
目白あrし 鶯ぞと 時めきぬ
目の当たり 目白の花蜜吸うを 見ゆ
初見(はつみ)なり 桜花に嘴(くちばし)
蜜吸う目白
眺むる我(あ)に 我知らすの目白哉
枝移り 目白桜花に嘴差し
花から花 目白の春や 楽し気な
目白去り 桜花もわれ(あ)も 託(かこ)ち顔
淡紅の花や 寂しき 彼岸桜
ひっそりと 咲く 山桜 君想う
山桜 白花匂いぬ 遠見には
近づけば 嫩葉や 寄り添う 山桜花
白と渋紅 花と嫩葉 山桜の綾
春陰 しだらなく過ごす 春昼
春陰 山桜花 満る日 また鬱に
玻璃の窓 雨粒残るる 春時雨
平成31年3月31日
<17首>
隠れ隠れ 枝移りせり 春 鳥影
生垣を 啄(つい) 啄(つい) 啄む 小鳥あり
嘴(くちばし)にだらりの芋虫 飛び去りぬ
枇杷嫩葉 白銀色に 朱直に
彼岸桜 暫し足止む 目白待ちつ
彼岸桜 〔散り初む〕花弁(はなびら)
路上に春意匠
桜木の幼な木も 花つけおりぬ 大輪の
紅紫の 小蝶咲き舞いぬ 野豌豆
行き路 帰り路 春の片時雨(かたしぐれ)
花大根 花 大根似 葉も少し
紫花菜(むらさきはなな)* 花菜の花似 色淡紫
--*漢字一語扱い
久し振り 紫花菜 春の邂逅
紫花菜 休眠中? 突如出現
生命力の健(したた)かさに 乾杯
平成31年4月1日
<11首>
漸うに 咲き揃いたり ダイアンサス*
―― 和称 姫撫子
姫撫子 咲くや 窄むや 春や 悪戯(いたずら)
芝桜野 花色 白 紅 紫
花冷えや 纏うや 否や もう一衣ひとい)
ゴロゴロ ゴロォ~ 春の大空 大騒ぎ
春雷(しゅんらい) 春雨(しゅんう) もう晴れ間
春 忙し
まだ ポつポつ 射干(しゃが)の花や 木の下闇
射干の花芽 ほの字に伸びつ 咲き出づる
風無きに 雪柳の枝 揺れ 且 揺れ
丸刈りの雪柳朝日の枝垂れ
平成31年4月2日
<10首>
雨垂れに光る 菫や 花も葉も
蓬嫩葉 朝日映え 春雨に濡れ
花冷え 花曇り 花 如何あらむ
花冷え 花曇り 花見や 暫し待つらむ
花冷え 強し 諦めり お花見を
木瓜(ぼけ)の花 撓(たわわ)なるに 浅い映え
蔓木通(あけび) 嫩芽 嫩葉の 盛りなり
チューリップ 命永きに 朝日影
半月も 咲き続きぬ チューリップ 賛
清々し 朝日や映ゆる 春の苑
花冷えに 蔓桔梗の紫花 三輪も
平成31年4月3日
<15首>
遅れ咲き 黄水仙 一輪 葉隠れに
野豌豆 葉閉じたまま 花冷えや
雀の槍 花冷え突いたか 野辺長閑(のどか)
雀の槍 槍 槍 槍の 春の野辺
落ち椿 絨毯ほどに 枯れおれど
花韮咲きぬ 驚きぬや 我独りと
小手翳しぬ 夕日の向こう 花椿
桜並木 頃は未だ 一分咲き
遠見には 桜並木や 一部咲き
三日後には 花見に行かむ 時めきぬ
射干(しゃが)の花 まだ これからの花盛り
雪柳 飛び去る小鳥 やはり目白や
桜木や 花芽(かが) 開きぬ 漸うに
姫撫子 嫩葉 ぐんぐん 花隠るほど
彼(か)の嫩葉 二番生えらしき 花芽抱きおりぬ
芝桜 まだ 震えおり 花冷えに
花冷えの 打ち続きぬ 日日 何時までか
平成31年4月4日
<13首>
菫 咲き続きぬ 春闌の景
ご近所 桜花三分咲き 他所や如何
木通(あけび)花芽(かが) 今方(いまがた)嫩芽許りなり
もう咲きぬ 木通の春や 急ぎ過ぎ
見上げれば 桜色見ぬ 五分咲きの
蒲公英(たんぽぽ)見ぬ 花見ぬ前に 消えぬとは
もう一度 見れば たんぽぽ 皆元気
薹立ちぬ 何処まで伸ぶや 茎葉牡丹
遠回り 梅花探しの 昼下がり
佇(たたず)みぬ 春日影や 長閑やか哉
飛び去りぬ 雪柳の陰 彼(あ)は目白?
また見たり 目白 如何や 春*の今
ーー⁂目白の季語は、秋
枯枝に目白 花蜜探しも 一休み?
平成31年4月5日
<15首>
紋白蝶 寒白菊へ 白色ご縁?
然に非ず 花粉に惹かれ 蜜吸いに
パンジーにも 紋白蝶 花から花へ
別の蝶 パンジー似が パンジーへ
パンジー似 黄 紫 白の 胡蝶舞い
紋白蝶 大きも 小さきも 舞い舞いぬ
二匹舞 睦み離れ 且 睦み
この根生葉 蛍袋や ひょっとして
チューリップ 赤一輪 一番 咲き
チューリップ 七輪 赤 赤橙 淡桃も
チューリップ 披針形葉 ポーズ色々
花茎 tかく低く チューリップの小苑
胡蝶 舞う ほんに楽し気 春花壇
キョッ キョッ ケッ 声すれど姿みぬ 鶯らし
久方ぶり 鶯の初音 聞くは
白花 黄花 水仙 彼方此方 独り咲き
平成31年4月6日
<13首>
低く 小さく たんぽぽ 咲きぬ 路の縁
春風の 未だ寒きに 備えてか
チューリップ 一弁(ひとひら)散るも チューリップ
豌豆や 胡蝶花盛りも もう 莢や見ぬ
真っ黄色 たんぽぽの色 春の色
碧空を 透かす桜や 今花盛り
春の誘われぬ 射干(しゃが) 一面 淡紫花
射干 一際映えるる 木下闇
野豌豆 立ち上がりおり 絡まずに
紅酢漿草 桃花色の笑顔 椿下
大黄花酢漿草 繚乱 春風に
花韮も 路へ迫(せ)り出で 春を愛で
平成31年4月7日
<12首>
花明かり 見たし仄か 明るむを
ブ ブ ブッ〰ン 姿無き羽音 不気味な音
鳴く方を 探せば 一匹 汝(な)や誰ぞ
願わくば 雀蜂では 非(あら)むことを
虻らしき 何故に飛び込む 我(あ)が庵(いお)へ
花霞 匂い立つ哉 桜花
ーー 桜並木に沿って走行するバスから
窓外の 桜花(おうか) 惜(お)し哉 早や送り
花曇り また 興やあり 桜並木
桜並木 花色 花香 麗しき
桜並木 に優る 花垣のなし
平成31年4月8日
<17首>
夜来の嵐(らん) 花の行方や 如何にあらむ
寝付かれぬ 嵐の行方に 惑わされ
今朝 碧空 花や如何 見に行かむ
ベンチに 独り 花見や 静か長閑やかな
匂い立つ 桜並木や 噎(むせ)ぶほど
香しい¥き 桜花や 花見酔い
花霞 晴るかす 碧空 茅渟(ちぬ)の海
桜花 満開 満開 満開哉
桜色匂い立ちたる 散歩路
山笑う 桜仄かな 山笑う
一弁(ひとほら)も 桜花や プライムタイム
残照に 映えるる 桜並木
下るにつけ 花弁(はなびら)の路 坂の路
音もなく 風もなく 桜花 ひらひらり
桜並木 逍遙 我(あ)独り 夕日影
もう少し もう少しと 歩む 花見哉
若木や健気 か細い気に咲く 桜木(おうき)
蘖(ひこばえ) 無残 折られぬ 桜古株の
風のまだ 寒きに 桜花 微動だにせず
満開の並木 延々 花霞
麗しき 何に喩えむ 桜花(さくらばな)
桜花(さくらばな) 美(うま)し 他に喩うものなく
静かや静か 一弁 二(ひとひら ふた) 花散りぬ
入日沈みぬ 花霞沈む 桜並木
平成31年4月9日
<14首>
蔦葉海蘭*も 薄紫の花盛り
ーー* 漢字一語扱い
蔓桔梗 三輪笑みおり フェンス下
木通(あけび)もう 花 花 花や 地味なれど
石垣の 蔦葉海蘭 亀甲模様
山桜 もう 葉桜となりぬ 時速し
石垣に 生う春草 数えれば
姫烏頭 姫踊り子草 野豌豆 繁縷 蒲公英
また散りぬ 桜花弁(はなびら) 一弁 二(ひとひら ふた)
蒲公英たんぽぽ)や 三つ四つ 微笑む 真っ黄色に
桜並木 暫し足止む 見惚(みと)れおれ
紅葉葉や 萌葱に燃えぬ 山路かな
若木生う 蘖(ひこばえ)も 切り株も 消え
生命(いのち)のバトンパス 成るや 若〔木〕と老〔木〕
葱畑 葱坊主独り 見得を切り
平成31年4月10日
<5首>
花冷えや また戻りきたり おぉ 寒!
花冷えや 三日と続かぬ 花見哉
小雨降り 花冷え 愈よ 増しにけり
花冷えに 花見や悲し 終わるかも
花日和 戻り来たりよ 疾く速く
平成31年4月11日
<15首>
吹き寄せらるるも 花びら 猶 桜色
花弁を 踏み締め歩む 桜並木
花嵐 桜木触れぬ 萌黄紅葉も
花筏(はないかだ) 流るる先や 春闌
桜木に鳥影 目白や 雲雀や 空高く
散りおりぬ 苔にも 桜花 一弁 二(ひとひら ふた)
蒲公英黄花 桜花びら 彩を添え
―― 蒲公英の花が黄金色に輝くを眺め
たんぽぽは 卯月の花と 覚えたり
今朝は晴れ 三度目のお花見 行かむとぞ
もう一度 お花見せむ 桜並木
花衣 あれかこれかと 着惑いぬ
遠目には まだ花盛り 咽ぶほど
有り難き 昨日(きそ)の花冷え 大事ならず
花冷えに 色こそ増せり 桜並木
平成31年4月12日
<17首>
赤芽柏(あかめかしわ) 紅嫩芽(くれないどんが) 其処此処に
チッ チッ チ 目白 枝移り 桜木の
目白番〔つがい) 何を語るや 桜の枝(え)
薹立ちぬ 葉牡丹咲きぬ 葉牡丹 咲きぬ 菜の花似の
葉牡丹や 薹姿 違えど 花姿同じ
もう一度出会いぬ 土鳩 春闌
鳩と烏 出会いに驚き 飛び立ちぬ
土鳩 首傾げ びっくり眼(まな)こ) 真ん丸の
フェンス上 土鳩独り 残りぬ 春長閑(のどか)
平成31年4月13日
<10首>
鬼田平子 三日見ぬ間に 黄花盛(さか)り
散りぬるも 桜花 まだまだ 枝(え)に 梢に
遠見には 花霞 四度目のお花見*
ーー*近くの桜並木での
蘖(ひこばえ)や 願わくば 存えむことを
石垣や 春草尽くし 鬼田平子*
ーー*他は、源平小菊 蔦葉海蘭 蒲公英
万年草 姫踊り子草 姫
柴桜 咲き零るるや 花壇の縁
濃紅 白 薄青紫 芝桜 真っ盛り
野豌豆 雀の槍 胡瓜草 春草伸び延び 野辺の華
--源平小菊を眺めつつ
花の色は 移ろいにけり 淡紅から濃
ー
蔓ゆらゆら 木通(あけび)の花や ブランコ遊ぶ
平成31年4月14日
<5首>
春雨や 滴り伝いぬ 花水木
春雨や 花木通 腐りてしどけなき
春雨や 花吹雪見ぬに 終わるかや
春雨の冷たき 草木 知らぬ顔
春雨慈雨 草木 潤いぬ 嬉し気な
平成31年4月15日
<15首>
姫苧環(ひめおだまき) 出会えぬ春や 如何あらむ
姫苧環 何処 此処 此処よと 春の野辺
姫苧環(おだまき)
いと愛らしき いと小さいきが
華奢 可憐 猶 強靭 姫苧環
姫苧環 戦ぎぬ僅か 春昼(しゅんちゅう)
春の空 絹空揺蕩う 長閑(のど)やかに
鬼田平子 花花(かか) 黄色(/気色)に 満6ち満ちぬ
遠見には まだお花見が 桜 白木蘭
決め兼ねおり胡蝶 蔓桔梗どの花(/蜜 )に
チューリップ 咲き腐(くた)りぬも これからも
白木蘭 花弁散り 腐り そままも
散りても 猶 花弁そのまま 誇りあり
胡瓜草 たんぽぽ 繁縷(はこべ)と 路の縁(へり)
平成31年4月16日
<16首>
水仙枯れぬ 烏野豌豆* 茂るる野辺
ーー*漢字一語扱い
八重桜 未だ二分咲きなるも 色鮮やか
舗装路や 花弁模様 春深し
水仙や 笑顔 笑顔の 花パレード
蒲公英(たんぽぽ)や 50余輪 路の縁
菫 蒲公英 蓮華や見ぬ 久しけれ
代わりけり 蔦葉海蘭(つたばうんらん)仲間入り
花大根*再会 昨年 一昨年(おととし)見ぬ
ーー* 漢字一語扱い
花大根 小さきが咲き居り 水仙蔭
何方(いずち)迄 葉牡丹 伸びぬ 行く末や
こんなにも 背高き葉牡丹 他処では見ぬ
チューリップ 30余輪 赤 紫 白 桃 黄朱
パンジー絢爛 咲き乱るる 花壇かな
三色菫 黄紫白 絞りもあり
チューリップ 一輪 咲き迷いぬか パンジー花壇
オキザリス 三つ葉見つけり 四つ葉数多重(あまたえ)中
平成31年4月17日
<15首>
ひらり 舞い来 一弁(ひとひら) 庭へ 何方(いずち)から
蜆蝶 舞うと見しや 花弁の舞い
花弁 一弁 また舞い散りぬ 庭
三色菫 黄 橙 白 これでも 三色*
ーー* 紫 黄 白が定番
木香薔薇(もっこうばら) 浅緑の蕾 風に揺る
春の野辺 出会うは 烏* 雀*や何処
—— *どちらも 野豌豆
睦み合いぬ 姫踊り子草* 風露草* 路の縁(へり)
ーー 共に 漢字一語扱い
若紅葉 目白や 独り 枝移り
平成31年4月18日
<7首>
春の庭 もう草毟り 春光*
――*春の気色
長閑(のど)けき哉 草毟りの庭 春昼
春昼 春草 ほっこり 春日影
春昼 長閑(のど)けき庭や 春日向
春昼 草木 のんびり 微睡(まどろ)みぬ
願いおれど 花嵐(はなあらし)なく 花冷えばかり
願わくば 花吹雪下の 逍遙を
平成31年4月19日
<7首>
花曇り 過ぐれば 唯の春曇り
庭歩む 鵯(ひよどり) 独り 餌(え)探しおり
花弁(はなびら)舞わぬ 春昼 などか 心(うら)侘し
庭の草木 愈よ 青青 春昼
ふんわりと 明る春昼 春野芥子
柔らかな 長閑やかな 春光 春愁あり
春愁(はるうれい) 一日(ひとひ)や過ぐる 虚しさよ
平成31年4月20日
<10首>
白雪の積りたる如 寒小菊
長実雛罌粟 蕾も実も 春闌
菫草 花花花(かかか) 数えば、数多あり
菫草 一花繚乱* 百余輪
ーー⋆百花繚乱を捩って
へばりつきぬ 胡瓜草や 春楽し気
胡瓜草 花茎巻き伸ぶ 巻子(まかご)⋆の如
ーー*薇(ぜんまい)の別称
空色の 小花 次々 胡瓜草
消(け)ぬそうで 消(け)ぬ 胡瓜草 汝(な)や強し
臥し立ちぬ 繁縷(はこべ)ら白花(はっか) 屈託なく
平成31年4月21日
<11首>
酸葉(すいば) 花茎伸びぬ 葉数多重(あまたえ)中
酸葉 花芽(かが)塊り 時待つ咲くや何時
すらり伸びぬ 花茎 彼(か)や 姫酸葉
春麗らにも などか春愁 我(あ)襲い来
春風に 未だ寒風の名残あり
黄から赤 チューリップ花(か)咲き継ぎぬ
子持ち撫子 何時の間にやら 子沢山
たんぽぽや もう 綿毛となりぬ 真ん丸の
射干(しゃが)の花 絢爛 山辺に 谷間に
射干 咲き揃いぬ 薄紫(はくし)の春祭り
漸うに 黄胡蝶舞い出づ 金雀枝(えにしだ)花(か)
平成31年 4月23日
<19首>
野豌豆 今や 烏(野豌豆)の花盛り
紫露草* もう咲きぬ 未だ 春というに
ーー *この草花 初夏に咲く筈
春陽 紫露草 早咲き 二輪
酢漿草(かたばみ)花 未だ そっと咲きぬ 春の野辺
紅酢漿草 濃紅に笑みぬ 生垣下
寒小菊 此処も 彼処(かしこ)も 花盛り
名実とも 春小菊や 寒小菊
サルトリイバラ小さくも 早や 花 珠系の
彼(か)の野草 大きく成るらし 如何ほど迄
垣間見ゆ 万両朱実 生垣に
青木 花疾くに 零れたらし 青き実に
見る度に スペアミントや 勢 増しぬ
縮緬葉 数多幾重に スペアミント
溝の縁 菫にこやか 蒲公英と
八重桜 満開の艶あり 遠見にも
のろのろと揺蕩う 春昼 気怠き哉
春愁に襲われぬ 我(あ) 遣る瀬なき
横になり 縦になりつ 凌ぎぬ 春愁
平成31年4月23日
<17首>
藤 嫩葉 もう 藤藤色花 見え隠れ
姫金魚草 淡桃 淡朱 檸檬 皆 我(あ)が好み
姫金魚草 淡桃 淡朱 檸檬 皆 我(あ)が好み
欄干に這う 夏蔦葉* 萌黄色
ーー* ’葉’は名詞のは、’は(発音ワ)’は
係助詞、2つを重ね使い
谷間 万緑に笑いぬ 春の色
枇杷の実 青き 拳突き出し 春や知る
白花蒲公英* もう 綿毛の末 いえ 未だ蕾
ーー* 漢字一語扱い(5語)
大地縛り(おおじしばり) 蒲公英(たんぽぽ)に優りぬ 春謳歌
宵待ち草 待ちたる後(のち)に また待つや
葉詰め草似 黄花すっかり 春のお馴染み
落ち椿 花弁 腐しぬ 春哀し
立ち酢漿草(かたばみ) 石垣背(せな)に 背(せい)伸びし
野豌豆 烏(野豌豆) 雀《野豌豆) 扱き混ぜぬ 春の苑
長実雛罌粟 朱花 開きぬ 宵備え
帰り路 長実雛罌粟 次次と
姫小判草 触れれば 春の鈴の音(ね)が
平成31年4月24日
<9首>
都忘れ 淡紫の花冠 小花壇
アスパラガス 細き針枝(しんし)や 萌葱立ちぬ
彼(あ)の赤橙 蓮華躑躅花(か) 緑中
三つ葉躑躅 もう 咲き零るる 山辺哉
花躑躅 淡桃色に 溢れおりぬ
釣鐘形(つりがねがた)の 花姿(はなすがた)
汝(な)や何(な)の樹
玉簾(たますだれ) 白花群れおりぬ 木陰下
俯き加減 姫女苑や 咲くを待ちぬ
フリージア* 3輪 などか 野草中
ーー*フリージアは多く園芸品種、
花壇に咲く
平成31年4月25日
<11首>
たんぽぽや もう綿毛 飛ばしぬ 春寂し
菫草 花散りおりぬ 路の縁(へり)
昨日まで 裸蔓(らまん)の木通(あけび) 嫩葉萌えぬ
辺り辺り 楓の芽生え 春如何
蔦葉海蘭*(つたばうんらん)源平小菊*に代わりぬ
石垣に屏風絵
ーー*漢字一語扱い(各4語)
淡紫(うすむらさき) 小花 小花 や 蔦葉海蘭
淡紫(たんし)の宴 蔦葉海蘭 石垣に
葱坊主 結んで 開いて ぷらんたー
次々と 続きぬ 葱の小坊主等
消えたかと思うに 蔓茱萸 此処にあり
葱坊主 苞裂けぬ 白花にっこり
平成31年4月26日
<13首>
射干(しゃが) 群れ咲きぬ
淡紫(たんし)の花莚(はなむしろ)
野茨も 蔓枝 嫩葉 辺り辺り
楽し気に 黄小花揺れぬ 鬼田平子(おにたびらこ)
卯の花や 蘖(ひこばえ) ぐんぐん 春の勢
蘖に 花や咲くのは 何時のこと
大や小の 暗橙色花 咲きぬ 長実雛罌粟
鬼田平子 黄小花 爛漫 春の溝
まあっ 凄い 杉菜の群れ生い 大の付く程
こんなにも 沢山な杉菜 初見なり
早春は 土筆 土筆の 土筆の野
チッチチ また 声やすれども 汝(な)誰(たれ)ぞ
疾く過る 小鳥や 獲物嘴(くちばし)に
大きな餌(え)咥え パフォーマンス 彼や雄
雄鳥や 力見せつけり 我(あ)に 人類(ヒト)の雌
平成31年4月27日
<13首>
立ち酢漿草(かたばみ) 彼方此方 立ちぬ 春闌(たけなわ)
立ち酢漿草 群れ立ち伸びぬ 背比べ
高く低く立つ 立ち酢漿草の 黄花笑む
此の酢漿草 紅紫(こうし)の葉葉ら 目一杯
紅葉の木下 白花躑躅 小さく咲きぬ
落ち椿 紅も淡紅も 落ち椿
野豌豆 躑躅突き抜け 未だ伸ぶや
木の舗装路 ロマンティックな路 四季問わず
春や楽し 木路(もくろ)歩めば 花また花
木路沿い 春草の オンパレード
蒲公英(たんぽぽ) 鬼田平子 春紫苑
源平小菊 白詰め草
その他にも シャスタ―デージーも 未だ蕾の
向こうには シャスタ―デ―ジー野 白花の
ポロッポッポー 遠く雉鳩の声 木路行けば
平成31年4月28日
<12首>
蟻 忙し 出たり入ったり 小米詰め草
蟻 次々 何(な)運ぶ 春野過ぎ
紋黄蝶 舞い舞いぬ 黄酢漿草
蜆蝶のような 紋黄蝶 まだ幼な?
クローバー 群れ咲く 見たり 春闌
不図探しぬ 四つ葉ありや クローバー
野豌豆 漸う 雀《野豌豆)に出会えたり
今春は 雀や 何処(いずこ)と探しおりぬ
かすま*も亦 蝶形花も 柄先に揺るる
ーー*’かすま’は、からす《野豌豆)と
すずめの間(あいだ)つまり’ま’
位のサイズだから
烏野豌豆 少し離れて 姉(兄)様気取り
姫酸葉(すいば)のような酸葉 華奢な風姿
春昼 少しづつ づつの 草毟り
平成31年4月29日
<29首>
飾りたく 紅落ち椿 卓上
春紫苑 花冠 晴れやか 頭上げ
春紫苑 蕾の間 くっつきおりぬ
はみ出しぬ クローバーの群れ 花一輪
辺り一面 暗紅色の萼 萼 萼
見上げれば 桜木 最早(もはや) 萌葱(もえぎ)嫩葉
見渡せば 春野や 花いろいおrの 興宴哉
大地縛り 源平小菊 黄酢漿草
立ち酢漿草 小米詰め草 黄の共演
鐘(とう)形の小白花 多(た) 垂るる木 誰(た)ぞ
名や 灯台躑躅(どうだんつつじ) 咲くは三つ葉〔躑躅)の候
小米詰め草 小花や 黄黄〔/喜喜)の黄盛りなり
平成31年4月30日
<7首>
花曇り 去りぬ 青葉曇り*哉
ーー⋆ 花曇りを捩って
小苑の 草草 青青 青葉曇り
芽吹き見ぬ ライラック 我(あ)が庭 寂し
他の草木 それぞれ萌えぬ と言うに
ライラック 根元に 蘖(ひこばえ) 健やかに
ライラック 虫食いにか 樹勢 愈々 衰えり
ミント 茂りぬ こんもり こもり 小森の如
令和元年 5月1日
<12首>
蔓茱萸(つるぐみ)や 実生え三年 我(あ)庭に
銀色映え 蔓茱萸の葉や 春日影
目に鮮やか 浅緑(あさみどり) 葉紫陽花
浅緑の 草茎 立錐の如 鈴萱(すずがや)や
輪になって 白小花ひらひら 箆大葉子(へらおおばこ)
酸葉(すいば) すらり すらり美の 立ち姿
姫酸葉 花茎やすらり 猶すらり
春愁 知らぬ気 紫陽花 生き生きと
昨年(こぞ)の春 あの辺りにや 姫酸葉
菜種梅雨 三日も降れば もう十分
菜の花の散りぬるも まだ菜種梅雨
もう皐月 まだ菜種梅雨 鳥渡 しつこい
令和元年 5月2日
<13首>
あっ 黒影 黒揚羽舞いぬ 皐月空
虻 ホバリング 撫子のうえ 空皐月
子持ち撫子 桃花色花(か) 溢れむばかり
葛(くず)の蔓 蔓蔓(まんまん)蔓延る(はびこる)
自由奔放
薔薇一輪 真紅戦ぎぬ 皐月風
黄と緋色 暈し染め ラナンキュラス
子持ち撫子 大盃に盛らるる如 桃花色(とうかいろ)
花幾重 桃花色映え 子持ち撫子
黄小花や 可憐 繊細 小鬼田平子
小花 小花 小鬼田平子や 黄色尽し
溝 石垣 小鬼田平子や 黄花盛り
黄花 黄花 小小野田平子 春気色
岩苦菜 立ち身の風姿 蒲公英に
岩苦菜 此処でも葉数重 松の木陰
令和元年 5月3日
<18首>
頭(こうべ)垂れぬ 春惜しむや チューリップ
ビオラ ラナンキュラス 咲揃いぬ 皐月かな
石垣に 屏風絵 源平小菊
紋白蝶 独り ひらひら 都忘れ
源平小菊 立ち酢漿草 と向かい合いぬ
すかんぽ* にゅうにゅう 食(は)む童見ぬば
ーー* 板取(いたどり)の別称
髭絡ませ伸ぶ 野豌豆 夕日影
紅と白 フリージヤ や やはり 黄
胡瓜草 嗅げば やっぱり 胡瓜草*
ーー⋆勿忘草との違い、
葉を揉めば、胡瓜の匂い
ーー近年 勿忘草に出会わなく
なっているを傷んで
勿忘草(わすれなぐさ) な忘れそ 汝(な)が山里
春紫苑 花冠擡げぬ 春愛でぬ
姫金魚草 白花連ぬる 椿下
蘇りぬ 初見の記憶 シラーの水色*
ーー* 紫色の花を眺めて
邂逅したり 紫に咲きぬ シラーの花
水色のシラー 恋しき 紫にも
蛍袋 例年(いつも)の処 例年(いつも)のように
ーー山藤の花房を眺めつつ
藤の花 咲き始む間もなく 散り始む
藤の花 たった三日の 花盛り
令和元年 5月4日
<11首>
あっ あの小鳥 尾二裂ぴんと 燕らし
昨日まで 空き巣のまま ガレージ軒
帰り来ぬや 古素の元へ 燕(つばくらめ)
水流る 溝 落ち椿の三つ 二つ
遠目には 花盛りなり 花水木
花水木背高く 聳えぬ 花見ず木
花水木 もう 嫩葉萌ゆ 花や見ず
青紅葉 青より萌黄 妖艶かな
クリスマスローズ 未だ咲き続きぬ クリスマスまで?
花躑躅 紅 白 淡紅 辺り辺り
彼(か)や 山帽子〔/法師〕 虫に問う 辺り飛ぶ
令和元年 5月5日
<9首>
自然生(しぜんう)の藤 蔓絡ませ 藤棚を
坂下り 見上げれば 藤色 満ち満ちぬ
藤蔓の半アーチの下 潜り抜け
歩むほど 垂るると知りぬ 藤花房
次々と 迫り来ぬ 藤の花あ
山藤や 行く春惜しむ 情趣あり
葱坊主 じっと佇む 夕日影
蔓葉枯れぬ 実採られぬまま 豌豆 侘
豌豆や 一生終えたり 自然のまま
初夏ならぬ 朱夏の暑きや 耐え難き
令和元年 5月6日
<12首>
皐月の空 陽射しや 強し 濃し 暑し
あな哀し とうとう リラの花咲くを見ぬ
リラ 芽吹くも そのまま 花や見ぬ
リラの花 待つ間に 春は過ぎにけり
他〔処〕のリラも 紅紫の花見ぬ 何故(なにゆえ)に
去年(こぞ)の春 花見ぬ彼(か)の花(か) 今年こそ〔と〕
〔今春は〕 我(あ)が庭の 白花リラの 咲くも見ぬ
リラ樹や 枯れ色となりぬ 枯死の景
つとの別れ 春との別れや 憂愁あり
万年草 黄花きらきら 初夏の情
まだ雪柳と見しや 小手毬の白花かな
雪柳 花盛り過ぎぬ いま 実盛
行く春を 惜しむ我(あ)あり 菫草
令和元年 5月7日
<19首>
雪の下 蕾茎くるり伸びぬ 薇(ぜんまい)の如
勿忘草 出会えたり 寒小菊の隣り
矢車草 独り 抜きんでぬ 初夏の風
日入らば 山辺や 沈みぬ 黒影に
長実雛罌粟 笑顔 日没 なんのその
卯の花つるや 蘖(ひこばえ)盛ん 花見ぬとも
野茨(のいばら)や 新蔓(にいまん)新葉(にば)
這い出しぬ
射干(しゃが)散りぬ 辺り一面 木下闇
虎杖(いたどり)延ぶ 若木の如 逞しき
金雀枝(エニシダ) まだ 黄金(こがね)の胡蝶花(か)舞い
宵待ち草 君待つらむや 宵待ちぬ
宵待ち草 待ち人ありや 今宵にや
宵待ち草 辺り辺りに 石垣の 幼な木卯の花 蕾持ちぬ
t
待ち遠し 卯の花もう直ぐ 花咲くや
立ち上がりぬ 立ち酢漿草(かたばみ) 高見の見物?
立ち酢漿草 何を 高みの見物に
段々に 雛壇に咲くが如 立ち酢漿草
長実雛罌粟(ながみひなげし)
花芽(かが)朱さしぬ 咲くや明日や
色 脱(ぬ)くるとも 猶咲きぬるや 仏の座
ーー5月7日の宵の空を
思い出しつつ
三日月 冴えたり 山際やシルエット
イベリスや 〔頭茎に〕白小花集めぬ 重たげに
と見れば 笑みぬ 楽し気 イベリア花(か)
嫩葉 愈(いよ)茂りぬ 木通(あけび)の花 落下
石蕗(つわぶき)の 嫩葉勢(いきお)い 古葉を抜き
要黐(かなめもち) 昨日(きそ)迄蕾
今日(けふ) 花盛り
半円に 白小花 散らしぬ 要黐
遠くに咲く 木香薔薇(もっこうばら)*や 香や如何
ーー*芳香放つ薔薇の木
あっ 気を付けて 五月蠅(さばえや) 玻璃に
も〔う〕少しで〔衝突〕
珍し気 蠅 飛び込みぬ 玻璃の窓
驚きぬ 五月蠅の訪ない 朱夏に見ぬ
令和元年 5月9日
<10首>
イベリスや 大きな白色花頭 薺(なずな)似の
イベリスの花 甘美 初夏の誘惑
イベリス 此処にも 甘き笑顔の群れのあり
淡紅朱の 躑躅満開 皐月晴れ
皐月躑躅 満ち満ち咲きぬ 皐月空
花水木 山法師とぞ見ぬ 真なり
ーー 花水木の別称 アメリカ山法師
四片(よひら)の苞葉 花水木 山法師 欲似たり
鈴萱(すずがや)*や 鈴の音 清き 五月晴れ
—ー* 姫小判草の別称
ひらひらひら 小穂戦ぎぬ 鈴萱の
黄 黄 重ね咲く 木香薔薇や 香しき
令和元年 5月10日
<14首>
夏蔦や 用水路の壁 青葉飾り
忍冬(すいかずら) 忍冬(ふゆしのぶ)から
醒めた〔か〕花芽(かが)
忍冬 唇形花 を そっと出しぬ
石蕗(つわぶき)や 葉茎にゅうと 鉄柵下
小手毬や 白き毬 毬 花盛り
春紫苑 花花(かか)睦みぬ 優し初夏
繁縷(はこべら)や 浅緑の実 鈴萱(すずかや)かとぞ
大葉子(おおばこ)や細長の筆〔/花穂〕立てぬ
春野芥子 もう綿毛かな 春逝きぬ
この花芽 太く逞し 何(な)の苗木(なえき)
名札や ジャンボレモン 実(げ)に ジャンボ
庭石菖(にわせきしょう) 独り 路の縁 初夏の風
すいすい〔/紫酢漿草〕も 姫女苑(ひめじょおん)も
独り 生いぬ
小判草 緑の花穂 未だ 愛らし
ーー 成長すると、おどろし姿に
令和元年 5月11日
<11首>
ペチュニア花(か) 咲き続きぬ 花壇の隅
四季咲きや ペチュニア いつも 笑顔笑顔
真夏 真冬 いつも 笑顔のペチュニア哉
世話されぬ それでいいの とペチュニア笑みぬ
自然に生う ペチュニアの生命(いのち)に 感嘆
五月晴れ 目を射る若葉の 青きかな
野蒜(のびる)らし 白色の花茎 すらりと伸びる
苞破れぬ 野蒜 白花一弁(ひとひら)見せぬ
葱坊主 揃いも揃って 白小毬
萵苣(ちしゃ)嫩葉 愈(いよ)埋め尽くしぬ プランター
見上げれば 青空 青青 夏萌しぬ
令和元年 5月12日
<10首>
ぽつぽつに ポツポツと 皐月〔躑躅〕の花芽の
桃花色 五月躑躅の青葉蔭
枝払い 青空 くっきり 皐月の庭
水遣りぬ 杉菜の様子 如何かと
芙蓉の幼木 狭き窪みに 忍冬(にんどう)と
源平小菊 何処も 彼処も 花盛り
もう 真夏日! 思わず確かめぬ 寒暖計
24度摂氏 我(あ)が庵(いおり) 朱夏隣り
日落ちぬ 四方(よも)清々し 初夏の風
令和元年5月13日
<22首>
日中 日差し 強し 未だ皐月と言うに
日落ちぬ いざ行かむ 花逍遙
此処彼処 源平小菊の小園 見ゆ
兎菊(うさぎぎく) 卯の花(うのはな) もまだ 蕾
今は 最早(もや)桜木 青葉 春惜
野蒜(のびる) のびのび ゆらゆら 枯れ木下
姫柘榴 枯れ実 枯れ枝 そのままに
姫檜扇(ひめひおうぎ) 黄橙色花 初夏の情
姫金魚草 此処にも 5輪 肩寄せ合いぬ
姫金魚草 蕾花(か) 僅か 石垣下(か)
風露草 立ち上がり 戦ぐや 初夏の風
長実雛罌粟(ながみひなげし)実長く結びぬ 花散りぬ
野豌豆 実膨らみぬ 初夏の空
青葉映えぬ 柿の蘖(ひこばえ) 見上げれば
一八(いちはつ)や 白花 最早や 枯れ姿どは
黄菖蒲 黄色〔/喜色〕 晴れやか 池の畔
池に小島 黄菖蒲の咲く 小叢
野薔薇生う 木(ぼく)の如生いぬ 白花百花
何(な)の青菜 丸葉大きく 繰り広げりぬ
ペチュニア 鮮赤 咲き揃いぬ 門扉前
懐かしき 緋色のガーベラ フェンス際
令和元年元年 5月14日
<10首>
まぁ 胡蝶の群舞 いえ 木の葉の舞い
切り古株 寄り添いて生う 野草優し
小島 二つ 更地野〔原〕に クローバーの叢
クローバー また 出会いぬ 更地の野
木香薔薇 花(か)と香(か) 噎(むせ)ぶほど
初夏の路
花大根 実 淡紅紫緑の 団扇となりぬ
源平小菊 一面海原(うなばら) 白花の
白から紅 移ろいぬ 源平こぎく
白き月 仄か 皐月の 黄昏時
ーー黄昏時 急に気温下がりて
黄昏時 夏衣(なつぎぬ)に 衣 襲(かさね)たり
令和元年 5月15日
<23首>
紫蘭(しらん) 俯き加減 紅紫の花冠
矢車草 二輪静か 花壇向こう
シャスタ―デージー 白花冠 揺れぬ 初夏の空
黄花も 此処に と顔出しぬ
彼(あれ)は きっと トルコ桔梗 紫の
ノースポール? カモミール? 良く似た風姿
戸惑いぬ
知らぬ間に 姫ストック 莢に 初夏駆け足
雪の下 岩陰から 虎の耳*
ーー* 雪ノ下の漢名は 虎の耳
花 蕾 立ち上がりぬ ユニークな風姿
都忘れ 花紫から 今 白枯色
西洋撫子 色取り取り ゲット‐トウギャザー*
ーー get-together
こんな風姿なの ムスカリの果実 浅緑
卯の花 や 崖の中程 真白に咲きぬ
もう 紅躑躅腐(くた)り 初夏や侘し
藤 新蔓新芽や 今こそ 盛りなり
イベリス 一輪 凛と 野辺の縁
蔓茱萸(つるぐみ)や 蔓四方(よも)伸ぶも 花や未だ
尺取りつ 歩む 黄長虫 汝(な)や誰(たれ)ぞ
葉水仙の 黄枯れ色 哀れあり
長実雛罌粟(ながみひなげし) 実茎 戦ぎぬ 花茎もまた
金雀枝(えにしだ)や 豌豆似の莢 結びおり
令和元年 5月16日
<9首>
白壁に 木通(あけび)の蔓葉 影落としぬ
卯の花や 暫く待たむ 花咲くを
桜 若木 蘖(ひこばえ) 青葉や繁し
根こそぎを免れぬ 桜木の蘖 青青と
幹に小枝 桜の老樹 生命(いのち) 強
蔓桔梗 斑入りの葉に 薄紫花(か)
花壇一面 斑入りの葉 亦の景
長実雛罌粟(ながみひなげし) 朱赤 朱赤花(か) 夕日影
目くるめく 窓外 万緑の谷間
令和元年 5月17日
<10首>
春紫苑に代わりぬ 姫女苑や 彼方此方に
柳葉姫女苑* すらりの 姫の風姿 あり
ーー* 漢字一語扱い
シャスタ―デージー 出会えぬ庭こそ 寂しけれ
代わりぬ 今や 源平小菊の花盛り
源平小菊 小さき 小さくも 愛らしき
茎 紅紫〔いろ〕 紫苦菜らし 数年振り
数年潜む つと現わるる 自然の妙
紫蘭 白花 名に抗いぬ 白さ哉
ーー 紫蘭には 紫と白の花色あり
令和元年 5月18日
<8首>
彼(か)*や何処(いずこ) 記憶辿りぬ 山里の
ーー*白花の紫蘭
白花紫蘭 想い出せぬる もどかしき
サワサワと戦ぎぬ 青葉や縫う 小蜂
曇り空 紫陽花の花芽 晴れやかな
空崩れぬ 辺り薄墨 霞籠みぬ
五月晴れ 俄か どんより 曇り空
桃花色 青葉に透けぬ 皐月躑躅
咲き揃えば 皐月〔躑躅)全像 桃花色
令和元年 5月19日
<7首>
卯の花 の花枝 挿頭(かざ)しつ 踊るらむ
姫女苑 辺り 辺りに すらりすらり
晴れ間去りぬ また 曇り空 鬱陶しい
見渡せど 皐月の空や 見当たらぬ
また晴れ間 な〔ん〕と 目まぐるし 初夏の空
酸葉(すいば) 雌雄 咲き乱るる景
す〔っ〕かり初夏
薄日差しぬ 初夏の昼下がり 清々
令和元年 5月20日
<20首>
卯の花 花撓(たわ)わ 用水路の華
蕾も花も 白 白 白や 卯の花撓(たわわ)
忍冬(にんどう) 用水路にや 華華しく 〔登場〕
枯れ百合の 莢にも絡みぬ 忍冬
野生蘭 と見しや 黄枯れ葉の 重ね生り
苧環(おだまき)や 早や 果実 上向きの
--苧環の花は、上向き
小白花 万年青(おもと)に混ざりむ 何(な)の草花
蛍袋 紅の鐘形 路の縁
燕(つばくらめ) 裂尾 翻しぬ 夕空を
枇杷の実 黄橙映え 谷間 緑中
オギザリス 払われむも 残りぬ 小株三つ
橙(だいだい)のダイアンサス*も 亦 面白
ーー*西洋撫子の洋名、花色は ピンク系
クレマチス 一輪 門扉飾りおりぬ
令和元年 5月21日
<8首>
卯の花の芳香 遣しぬ 初夏の風
野蒜(のびる) 一輪残りぬ 草毟り
チロリアン・ランプ アーチ造りぬ 誰(た)迎うる
此れや 韮(にら) 野蒜(のびる)に非ず 風戦ぐ
カラ(calla) 白花 大輪 君の想い出
淡橙黄の 薔薇もう 赤へと移ろいぬ
ふと 見れば 長実雛罌粟(ながみひなげし)
も〔う〕長実ばかり
長実雛罌粟 独り咲きたる 亦楽し
緑に白 野薔薇や映えぬ 木下蔭
蕺草(どくだみ)花穂 まだ浅緑 黄花〔/化〕や 何時
蕺草 十輪 匂いなくば 可憐な花
令和元年 5月22日
<22首>
蜆蝶 影とデュエット 皐月風
二人舞い 源平小菊の上 蜆蝶
此処に引越し 切れ葉野葡萄 新蔓延(の)ぶ
蕾や実や 野葡萄散らしぬ 初夏楽し
苗代苺 淡紅の花 蕾もあり
毛虫 誰(た)ぞ 苺の上 睨み効かせぬ
すくっと立ちぬ 野薊 大きな 花芽載せ
野薊よ そのまま 咲くまで 存えよ
卯の花や 咲くほど枝垂るる 奥ゆかし
花イベリス 初夏の純白 見事なり
海桐(とべら)もや 花満ちおりぬ 木下闇
薮蝨(やぶしらみ) 花見ぬ間にや 実ぞ見せり
不粋な名 の通り 不粋な実姿 藪蝨
姫女苑 鄙の昔や 想い出ず
姫女苑 素朴 優し気 鄙の情
桜ん坊 小粒 色々 淡黄から深紅まで
桜ん坊 然(さ)に 多く垂れるる 初見なり
自然生(しぜんう)の桜木なれば 実の小さき
実小さくも 凛々し 可愛い 桜ん坊
山桜桃(ゆすらうめ) 実結びおり 夏や来ぬ
出でにけり シャスターデージー野辺 咲き乱るる
白花の 点描画 見たり シャスターデージー
広々と 咲き渡るる野 シャスターデージーの
令和元年5月 23日
<17首>
地上這う 蟻には 鈴萱(すずかや) 林かや
待ちおりしぬ 鈴萱 咲きぬ 皐月晴れ
立ち並ぶ 幟(のぼり)のような 花酸葉(すいば)
初夏(はつなつ)や もう気怠き 暑さ哉
野茨や 白花映えぬ 我(あれ)が庭
アマリリス 橙赤色に 大輪咲きぬ
青菜(あおな)虫食いに〔会いぬ〕 レース編みのように
牡丹八重? それとも芍薬 大輪美花
何処からか 芳香漂いぬ 初夏逍遙
見渡せば 忍冬の花 頷きぬ
紅花増しぬ 蛍袋や 白花は?
石垣に 夏蔦 青青 夏や来ぬ
虫取り撫子 涼風戦ぎぬ 花やぎぬ
一輪生いぬ いずれ 菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)
小手毬や 花散りぬ後も 一つの景
褐色の萼 花咲くが如く 小手毬の
令和元年 5月24日
<9首>
葉牡丹の実 薹立ち果てぬ 菜の花の似
向かい側 一輪咲きぬ 虫取り撫子
兎菊 黄金花 百輪 初夏の野辺
初夏の夕 黄金に映えぬ 兎菊
姫女苑 兎菊*に混じりぬ 黄と白の共演
ーー* 漢字一語扱い
定家葛(ていかかずら) 五弁(いつひら)の風車 初夏の景
アマリリス 赤色に燃ゆる 花鉢の
定家葛 大樹覆いぬ 初夏白く
小公園 此処にや ひっそり 定家葛
令和元年 5月25日
<9首>
朝逍遙 忍冬(すいかずら)匂い来 山辺
帰り来ぬ カモミール匂い籠む 我(あ)が庵(いお)へ
玻璃の外 目を射ぬ許りの 陽射しかな
桃花色 日毎に増しぬ 花皐月〔躑躅〕
照り付けぬ 熱気の我(あ)が庭 まだ皐月
真っ赤っ赤 畑(はた)のトマトも こ熱暑
もう暑い!熱中症 隣りおり
午前 初夏 午後 朱夏の 一日(ひとひ)や
耐え難き
夏日入りぬ 戻り来たりぬ 冷と静
令和元年 5月26日
<9首>
皐月なれど この気怠さ 何とせむ
青葉風 冷ましに来たるや この熱暑
青葉風 このまま このまま 今宵(こよい)迄
青葉風 涼しさ齎(もたら)しぬ 清涼剤
青薄 枯れ尾花に 混ざり生いぬ
蚊蜻蛉(かとんぼ)や 双翅 六脚 踏ん張りぬ
ーー ひたすらに 熱暑に耐えるが如く
ーー瓶から出しておいた
梅干しを眺めつつ
梅干しも 汗かき居りぬ 熱暑かな
塩吹きぬ 窓辺に置きぬ 梅干しが
熱暑去りぬ ほっとひと息 皐月躑躅
令和元年 5月27日
<16首>
穏やかに 清々しきや 戻り来ぬ
ーー 昼下がり 亦熱暑や戻りたり
初夏一日(ひとひ) のたりのたりの 我(あれ)のあり
枯れたるか 否 酸葉や 花再び
野茨や 青葉の蔓枝(まんし) ゆらり垂れぬ
皐月〔躑躅〕 紅に咲き初む 卯の花白く
凌霄花(のうぜんかずら) 青葉と共に 顔見せぬ
紅娘* 止まり来たりぬ 姫女苑**
ーー*紅娘は 天道虫の漢名
**姫女苑は、白花
石蕗(いしぶき)や 大敗の如 葉を広げおりぬ
何(な)を受くや 慈雨か御酒か 葉石蕗
実金柑 独り残りぬ 木守柑(木守間)*
ーー⋆木守柿を捩って
蕺草(どくだみ)や 今咲かむとす 白四弁(よひら)
藤紫 果てぬ 卯の花の白花
燕(つばくらめ) 飛び交う姿や 大空の舞い
轟きぬ 雷(いかずち)〔飛行〕機音 夕辺の空
蕺草(どくだみ)や 白花一杯 辺り辺り
蕺草(どくだみ)や 十字 十字の白花四弁(よひら)
令和元年 5月28日
<11首>
葱坊主 弥よ 大きく 驚かし*
ーー ’驚く’ と’おどろおどろし’を
合わせ使い
青菜もや 筋(すじ)のみとなりぬ 食(は)むや誰(た)ぞ
青菜蔭 探せど 見えぬ 汝(な)や誰(たれ)ぞ
万年草 黄小花 一杯 手広げぬ
万年草 黄小花 無邪気な気色 かな
ダイアンサス* 色取り取りに 鮮やかに
ーー*西洋撫子
際立ちぬ ダイアンサスの朱赤花
緑浅く 深く 萌え燃えぬ 小公園
一転せり 熱暑から 肌寒の 小雨朝
青葉時雨 梅の枝より ぽとり ぽとり
南天や 青葉時雨の光る朝
令和元年 5月29日
<8首>
清々し 初夏の香りや 額紫陽花
姫女苑 咲く 野辺を行きぬ 姫女苑 咲く
突き出しぬ 柏葉紫陽花 円錐形花穂
すいすい*や 花びら 巻きぬ また明日(あした)
ーー⋆紫酢漿草の別称
胡瓜草 空色の花茎 葉牡丹果てぬ
万両 まだ赤実 垂るる 生垣奥
紅蛍袋 ひょっこり一輪 イベリス白花壇
アベリア* 忘れ花 垣根の其処此処
ーー* 衝く羽根空木の洋名
金雀枝(えにしだ) 莢 弥よ膨らみぬ 莢豌豆
令和元年 5月30日
<10首>
犬鬼灯(いぬほうずき) 黒紫の実 白花の隣り
犬鬼灯 冬に果て 春に再び 一年草
早春 黒紫実 落ちぬ 惜別の時
新たなる実生り 毎春の 習い
初夏に 白小花 咲きぬ また 楽し
いと 優し 可憐な白小花 いと楽し
風に戦ぎぬ 源平小菊 青薄も
青木の青き実 三つ二つ 残りぬ
青木の実 青きのまま 落ちぬ 初夏侘し
洗い髪 庭へ出でれば 初夏の風
令和元年 5月31日
<5首>
夏日 真夏日 去りぬ 辺り 涼風(りょうふう)
初夏戻りぬ 夏炬燵* オン〔on〕にオフ〔off〕に
ーー*春炬燵を捩って
鈴萱(すずかや)や もう枯れ色の 実となりぬ
青時雨 山里の草木 勢増しぬ
青時雨 濡れつ 過ぎるる 青〔葉〕木立
紅葉初む 時知らずや 彼(か)の夏草
令和元年 6月1日
<16首>
兎菊 七輪 黄色 映えおりぬ
見合いおりぬ 上から下から 兎菊
兎菊 花びら 散りぬ 路上絵
ひらひらと 散る花弁(はなびら)や 不意を突きぬ
万年草の 黄色に優れり 花 兎菊
ブラシの木 赤穂 突き上げ 空刷くや
漸うに 出会えり 蛍袋の白花
蜆蝶 舞う 白黒斑(まだら) 色 色々
揚羽蝶 紋白蝶 舞いぬ 蜆蝶も
卯の花や こんもり 小森の如 咲きぬ
紅酢漿草(べにかたばみ) 涼風に揺れ 小さく揺れぬ
紋白蝶 舞い 舞い 迷いぬ 兎菊
おどろおどろし’ 毛虫 熊篠の嫩葉上
蜆蝶 群舞乱舞 影と共
薔薇咲きぬ 熱苦しい程の 真紅かな
令和元年 6月2日
<10首>
月見草 もう萎れおり 初夏の宵
月見草 白から薄紅 一夜花
薄紅の花弁 すい〔粋/酔〕な 月見草
イベリス 白花 風と戯れ 皐月〔躑躅〕の下
イベリス繚乱 花壇や 白花の森の如
イベリス 花 あちこち 散り生う 花壇の外
プラタナスの樹元も イベリスのサイト〔site〕
フェンス から にこやかな笑顔 白薔薇の
坂上がれば 薔薇の香や 追い上がり来
しっとりと濡れぬ 青青 夏草かな
令和元年 6月3日
<7首>
陽光濃き 胡蝶や舞いぬ 涼し気に
翅ひらひら 優雅な扇 紋白蝶
姫女苑花(か) 白く佇みぬ 陽光に
陽光 白く光りぬ 庭の青葉
夏日来ぬ 草木や 唯 佇みぬ
紋白蝶 ミントの葉蔭 憩いおりぬ
陽影 濃し 肌にひしひし 朱夏や来ぬ
額紫陽花 装飾花開くも まだ浅緑
令和元年 6月4日
<11首>
胡蝶来ぬ 喉潤すや 青葉蔭
揚羽蝶 求むは何方’どちら) 水や蜜や
また 真夏日 姫女苑や 耐えおりぬ
水遣りもせぬに 姫女苑 優しの風情
庭石菖 紫 星の六弁(むひら) 路の縁
庭石菖 明日には会えぬ 一日花
葉水仙 とうとう果てぬ 花や見ぬ
韮 花茎 また毟られぬ 哀しき路縁
こじんまり ヴィオラ 納まるる 花ポット
此の蔓草 十字草かと 時めきぬ
藪蝨 彼方此方 白花 今や時
令和元年 6月5日
紅葉の実 翼や二つ 開げおりぬ
双翼の実 竹とんぼや 想わるる
紅葉の実 双翼 震わせ 空見上げぬ
何方へ 飛んで行くやら 紅葉の実
蒴果枯れ 夏葉や繁し 菫草
玉椿 白小花の花梗 彼方此方へ
実生いの 枇杷の実 今や実りの時
枇杷の実や 淡橙色 猿や知るや
枇杷の実 撓わ 手伸べれば 触れるほど
栗の白花 すらりの長尾の 房垂れり
令和元年 6月6日
<10首>
アガパンサス 苞雷 一茎 すいっと立ちぬ
淡紫 透かしぬ 苞雷 アガパンサス
亦 毛虫 禍々しき色 毒蛾かも
ちちいさき イベリスの実 ふっくらの藪蝨の実
綿t毛飛び 薹立ちぬ 鬼田平子* 哀れ
ーー*漢字一語扱い
パァ~と散りぬ 居に田平子の 小さき枯実
差し出しぬ 柏葉紫陽花(かしわばあじさい) 円錐形花を
黒揚羽舞いぬ 〔姫女苑の〕 白花に影落としつ
鬼田平子 姫女苑 いずれも 路縁の物語
梅雨の入り* 頷けるる 今朝の小雨
--*今季の梅雨の入りは、未だ未だらし
令和元年 6月7日
<9首>
水無月寒(さむ)? 庭の皐月〔躑躅〕も 萎みおりぬ
梅雨の入りか 胡蝶や飛ぶを とんと見ぬ
昨日まで 胡蝶ひらひら 陽気な舞い
蛞蝓(なめくじら) 小さき小さきが 角出しぬ
角を振りつ 幼蛞蝓 出づ 何方へ
驟雨続きぬ 南瓜芽生えぬ 今朝の庭
一 二・・・五 南瓜や 双葉開きぬ
驟雨の朝 紫陽花(しようばな)花(か) 艶なる笑顔
梅雨来ぬも 紫立ちたる 紫陽花(あじさい)花(か)
令和元年 6月8日
<7首>
小糠雨 降りたる朝(あした)や 夏日なり
昨夜(きそ)や 雨 今日(けふ)や からりの夏の空
草毟り 梅雨の晴れ間の 庭仕事
ーーイネ科の野草の花粉には
アレルギー症状が出るので
草毟り ご免なさい アレルギーなの
燕飛びぬ 雨雲振り切るが如 高く
燕 飛びぬ 束の間の 晴れ間の 餌探し
雨雲や 飽くまでも桃花色 皐月躑躅花
令和元年 6月9日
<14首>
皐月晴れ まだ梅雨は見ぬ 今朝の景
清々し 水無月の 晴れ間かな
甘酸っぱき 皐月躑躅の 殻(がら)摘めば
殻摘みぬ 皐月躑躅の 残り香(のこりが)が
紋白蝶 蜆蝶 鬼ごっこや いずれが鬼や
若葉 青葉 あちらもこちらも 青葉 若葉
実や何処(いずこ) 青葉ばかりの 梅の樹よ
やっと見つけり 梅の実一つ 葉隠れに
目の前の青葉に宿るや 天道虫?
紅娘* 紅色見ぬ**も紅娘?
ーー* 紅娘は天道虫の漢名。
’べにむすめ’は、日本語読み
ーー**見たは、黒色甲虫の小さき
紅娘 斑紋無くも 紅娘?
天道虫 翅浮かしぬ 飛ぶや 何方(いずち)へ
菖蒲(あやめ) 咲きぬ 雛なるも 逞しの景
令和元年 6月10日
<11首>
紋白蝶に 行ってらっしゃいと 見送られぬ
ーー 鳥渡 外出しようとした時に
蜆〔蝶〕 いえ 小蛾 玄関ドアに静止
淡紫 増しおりぬ 額紫陽花
苗代苺(なわしろいちご)刈り取られぬ 噫 未だ 実〔苺〕見ぬに
地縛り 若葉 一面敷いぬ グランドカヴァー
小梔子(こくちなし) 一弁(ひとひら)開きぬ
芳香 散〔さん/ちらしぬ〕
雨空に 星煌めくが如 花紫陽花
星形の八重 花紫陽花 鮮やかに
色取り取り 姿取り取り 花紫陽花
路歩めば 花紫陽花 色々な
もう3茎 アガパンサス 花芽(かが)宝珠(ぼうし)
令和元年 6月11日
<8首>
小糠雨 降られ ふらふら 我(あ)が身かな
水無月寒(さむ) 春衣へ 戻りたり
ーー 衣替えで 夏衣に替えたばかり
はくしょん 夏日にはせぬ くしゃみせり
俄か雨 晴れ間や呼んだり 葉葉光り
大 中 小の 胡蝶舞い舞いぬ 梅雨空に
一陽射し 淡紫(たんし)になりたる 額紫陽花
紋白蝶 黄昏の庭 ひらひらら
迷い込みぬ 慌て 窓外 幼揚羽〔蝶〕
令和元年 6月12日
<11首>
白蝶花 甘く 清楚な 舞い姿
オキザリス 黒紅紫の葉 仰々し
花や優し すいすいと 同じ風姿
団扇形の莢 枯れ色に初みぬ 花大根
彼処此処の 紫陽花 色付きぬ 七色に
もう出でぬ 淡き白き月 夏や来ぬ
丈高き 花 蛍袋 紅と白
クローバー花 裾枯れ上がるも まだ白色
柿蘖(ひこばえ) 伐(ばつ) それでも
半分 残(ざん) 喜(いろれし)
凌霄花(のうぜんかずら) 雛形 勇まし 濃橙花
山牛蒡 幼な木 最早 枝垂れの白花穂
令和元年 6月13日
<10首>
燕 十羽 悠然 旋回 夕暮空
巣や何処方(いずち) 夕空の燕に 問いぬ
去年(こぞ)の空巣 如何なるやと 見渡せば
彼(か)の空き巣 修繕(つくろ)われ 塞がれおりぬ
谷間の 青葉煌めきぬ 夕日差し
憂鬱なる アーチとなりぬ 木香薔薇(もっこうばら)の
卯の花腐し* 無くも 卯の花枯れ色に
ーー*梅雨の前の長雨
皐月躑躅 腐す 水無月の晴れ間
白花蛍袋* 見ぬと憂いぬ 彼方此方で
ーー*漢字一語扱い(2語)
玉椿 白花房も もう枯れ色に
令和元年 6月14日
<20首>
韮花茎 伸ばしぬこれで 三番目生い
花咲かす度 毟らるる韮 哀れ
毟られても 毟られても 咲く韮 健気
韮 此処は もう 実の束となりぬ 梅雨の空
見上げれば 燕飛び交う 巣の真上
チチッチチッチ 小鳥のラヴコール 汝(な)や誰(た)ぞ
サワサワと 静心(しずこころ)なく戦ぐや 鼬萩(いたちはぎ)
紋白蝶 〔鼬萩の〕 新芽の間 縫い舞いぬ
遅かりし 蛍袋花(か) 萎れ 枯れぬ
ミニ薔薇 ちいさっく咲き寄りぬ いと愛しい
山奥や 通じる小径や 蛍袋
萱草(かんぞう)や 甘き黄色に 匂いたちぬ
見惚れる哉 萱草の甘き 黄の輝き
忘れ草*その甘美な花色 人忘るか
ーー*萱草の別称
サルヴィア*や 緋色の花穂や 立ち続きぬ
ーー* 別称は緋衣草(ひごろもぐさ)
山牛蒡 すいすい伸びぬ 梅雨の空
谷向こう 枇杷の実熟しぬ 樹に撓わ
花菖蒲 妖し気な風姿 花壇の奥
桔梗草* もう 実 段々に 連れおりぬ
ーー*桔梗草の別称は 段々桔梗
今年や此処 毎年潜り生う 一年草〔の桔梗草〕
令和元年 6月15日
<11首>
南天の 白花の雫 水無月の庭
風に枝 大揺れ 小揺れ 六月の乱
万緑に 南天の白花 絣(かすり)織
雨雫 曇るる玻璃戸 額紫陽花
蝸牛(かたつむり)角出し 紫陽花の花見
紫陽花の 花見に這い来や 蝸牛
七変化(しちへんげ) 青 紫 紅 淡より濃
遣る瀬なし この鬱陶しき 梅雨気色
驟雨払い* 姫女苑の白小花揺れぬ
--*’暑気払い’を捩って
どっぷり たっぷり 鬱陶しき梅雨気色
木通(あけび)の青実 丸く小さく 葉蔭下
令和元年 6月16日
<16首>
檸檬の実 未だ青き 小指の先程
卯の花も 実結び 初む 水無月かな
紫陽花花(か) 濃紫に 淡緑残しぬ
鬱蒼の青葉の彼方 燕飛びぬ
日差し避け 雨傘差しぬ 水無月哉
梅雨未(いま)だ 青空広き 雲白き
水無月や 青実月と心得り
ーー梅の実の青きが芽滲みる候なれば
青空の 広がるる梅雨晴れ 小梔子(こくちなし)
甘酸っぱき 匂い遣しぬ 小梔子
薔薇匂いぬ 見れば彼方に 小梔子
忽然と現るる 蛍袋花(か) 紅も白も
クローバー 三つ葉ばかりが 幾重にも
クローバー 白花三輪 残り幸(さち)?
葉クローバー 繁(はん/しげる) 三つ葉の丘とは
言えねども
崖の縁 塗装*されぬ 無機質 無情
ーー* コンクリートの塗装
草木何処 猪何処 崖の情は
--日当たりの良き崖の縁で
猪(しし) ごろり のんびり 昼寝しおりたり
令和元年 6月 17日
<5首>
水無月晴れ間 淡藍の空 青葉光(こう/ひかる)
ふんわり ぽっかり 白雲光る 六月晴れ間
長閑やかな 春や 戻りぬ 水無月晴れ間
水無月晴れ間 黄金に光るる 小判草
ひょっとリと すいすい姿を 水無月晴れ間
令和元年 6月18日
<6首>
穏やかに 曇るる空や 水無月晴れ間
長閑やかな 春の日の如 水無月晴れ間
晴るるでも 曇るるでもなき 水無月一日(ひとひ)
例年(いつも)より 濃き色映え 額紫陽花
ミント咲きぬ 長雨好き それとも 晴れ間縫い
次次と ミント淡紫(たんし)の 唇形花
令和元年 6月19日
<10首>
額紫陽花 三十余輪 笑顔見ゆ
お米の磨ぎ汁 上げるる成果かも
有難う 晴れやかな笑顔 額紫陽花
すくすくと 丈伸ぶ 青草 驟雨(しゅうう)慈雨
双葉の上 三つ目や 南瓜の葉らしき
二年目の 犬鬼灯 実青く生(な)りぬ
仄明る 驟雨の小苑 草雫
蝸牛 蛞蝓も 可愛い 小さきは
青薄 剣状 細葉 居丈高
令和元年 6月20日
<13首>
南天の花穂 四・五十も 見たことなし
見たことなき 花南天の 繚乱
花紫陽花 青紫に 今や時
姫向日葵 西日に惑わず 不動なり
アガパンサス まだ 蕾ばかり 花や何時
マリゴールド 橙と黄色 此方と彼方
久し振り 野辺の春草 悉皆消ぬ
姫女苑 すらり しなやか 夏姿
蒴果結ぶ 立ち酢漿草 真四角の柄
苗代苺 今年も 実見ぬ間に 新芽かな
長々と伸ぶ 樹木の影や 初夏日影
セコイヤや 梢に 小珠果 二つづと
夕日落ちぬ 森閑哉 公園の初夏
令和元年 6月21日
<9首>
木通(あけび)の 小実 独り下がりぬ 梅雨晴れ間
同じ色 木通の葉と実 浅緑
剪定されぬ 庭の木さっぱり 梅雨晴れ間
涼風の 吹き抜ける庭 梅雨晴れ間
姫女苑 戦ぐ夕暮れ 花白く
令和元年 6月22日
<12首>
すいすい*花(か)桃花色一面 夢見の世界
ーー*紫酢漿草
すいすいの咲き乱るる野辺や 夢や醒めぬ
ーー草木刈られ我(わ)が庭広く感じられ
鳥渡でも 広きが佳き哉 我(あれ)が庭
草木刈られぬ つとに 広がりぬ 我(あれ)が庭
俄か雨 涼やか哉 雷鳴なくば
通り雨 辺り 一瞬 梅雨らしく
ーー 今や もう空梅雨の気色あり
谷間に 咲き渡るる 白花 何の花樹
南天白花 残り咲きぬ 大樹蔭
高みから 垂り来 蔓茱萸 空梅雨の空
生垣の アベリア次々 残り咲きぬ
上下 左右 紫陽花(あじさい)大揺れ 嵐(あらし)らし
嵐去りぬ ほんの暫しの 通り風*
--* ’通り雨’を捩って
枇杷の実 落下 路上に残骸 哀
令和元年 6月23日
<7首>
鬱の入り* 我(あ)が身 げんなり 辺りどんより
ーー* ’梅雨の入り’ならぬ
気散じに 茫茫のミントを刈りに
ミント刈れば 辺り芳香 立ち込みぬ
ミントの香 弥よ 鬱にや追い込まれぬ
この気怠さ 天候や 明日や梅雨備え
梳(くしけず)る気力も失せりぬ 鬱怨めし
乱れ髪 そのまま 横臥 我(あれ) 哀れ
令和元年 6月24日
<8首>
夕焼けに 霞むる空や 明日や晴れ
茜色 紫陽花の花色 酔色に
燕飛ぶ 茜の迫りぬ 夕空を
おや 梅雨やと 想うほどのや 驟雨あり
潤いぬ 驟雨のお湿り 辺り辺り
新葉 青葉 しっとり湿りぬ 梅雨来ぬか
しっとりと湿りぬ 青草 驟雨の小夜
終日(ひもすがら) おおどかな夏空 水無月に
令和元年 6月25日
<15首>
冴え渡りぬ 真っ青な空 夏日なり
淡き月 青空の朝 水無月の
麗らかな朝 春の日の如 水無月に
水無月の 陽光 光輝 夏日なり
水無月の 夕べに 蜘蛛の巣 明日や晴れ
兎菊 忘れ花やも 晴れやかに
山葡萄 繁るる葉蔭 花芽(かが)緑
蕺草(どくだみ)花 白萼 見ぬ間に 枯るるとは
姫昔蓬(ひめむかしよもぎ) 叢現わるる 更地一面
刈らるると 知らずや姫昔蓬*大賑わい
--*漢字一語扱い(3語)
黄菖蒲の莢 重た気 茎垂れぬ
えっ もう 枯れぬ尾花 いえ 去年(こぞ)の枯姿(こし)
紫陽花の濃色 青紫から紅移り
蛍袋 白花独り 残りおりぬ
令和元年 6月26日
<12首>
擬宝珠(ぎぼし)葉 長楕円形 数多重(あまたえ)*に
ーー* 七重 八重に倣って
擬宝珠の花芽 まだ 苞葉に 抱かれしまま
薄紫(はくし)の花 僅か覗きぬ 擬宝珠かな
薮蝨 半円の白花手毬 未だ盛り
太藺(ふとい)のはな 大手毬の如 淡黄褐色の
大手毬 突き出し 揺れ揺れ 花太藺
痛っ 刺草(いらくさ)なのね 触らぬように
ゼラニュウム 出窓飾りの 緋色花
瀟洒かな 出窓飾りの 緋花ゼラニュウム
紫陽花(あじさい)花(か) 色淡きまま
紫(し)から紅(こう)
藪萱草 黄橙の八重花 繁みから
すらり伸びぬ 忘れ草*や 忘れ難がた)ー
--*藪萱草の別称
令和>元年6月 27日
<9首>
今日(けふ)漸く 梅雨の入り* 十九日遅れの
ーー* 6月26日の夕
近畿の梅雨入り発表
どんよりの雨雲 実(げ)に 梅雨の入り
小糠雨 音も無く降りぬ 梅雨の入り
小糠雨 集めて雫 ぽとりぽとり
轟きぬ 放水路の流水(るすい) 梅雨の入り
雨上がり 燕飛び去りぬ 縦横に
また降りぬ 窓の雨滴や 弥よ 梅雨
迸(ほとばし)る 流水 奔流 梅雨の入り
梅雨の入り 辺りしっとり ひんやりと
令和元年 6月28日
<10首>
烏二羽 大急ぎ 過ぐる 梅雨の朝
烏より小さき 雀より大きが 梅雨空を
大雨予報 お湿り程の 優しさに
夜半静か 風音も 雨音も無く
一夜(ひとよ)雨 庭の草草 一夜 繁(はん/しげり)
台風も 掠めるもなく 立ち去りぬ
嵐外れ 安らに過ぎぬ 青き空
梅雨空に 弥よ 晴れやか 花紫陽花
梅雨寒や クシャミ 一回 もう一回
花紫陽花 青紫やしっとり 梅雨雫
令和元年 6月29日
<14首>
まぁ 蛞蝓(なめくじ) 野菜屑の蔭 のったりと
珍しき 蛞蝓 広間のキッチンに
蛞蝓(なめくじら) 湿潤暗所に棲むと聞きぬ
彼(か)の幼蛞蝓 一か月前は 5ミリほど
今 2センチ ぷっくり ふっくら 子蛞蝓
子蛞蝓 もう大きくなったよ と 挨拶に?
或るは 子蛞蝓 梅雨に浮かれ 踊り出しぬか
子蛞蝓 そっと戻しぬ 草葉蔭
蛞蝓(なめくじら) 角出し背伸ばしぬ 梅雨晴れ間
ひらひらら 梅雨の晴れ間に 胡蝶舞いぬ
餌(え)探しや 燕飛び来 梅雨の庭
ーー胡蝶と雀が空中衝突しそうなを
目撃して
梅雨の椿事 胡蝶と雀のニャーミス
もの皆 勘狂わせるや 梅雨の入り
87% 室内湿度 もう限界 顰め顔
ーー空調は、体調不良の元なので
令和元年 6月30日
<18首>
小夜更けて 聞こゆ せせらぎ 梅雨の声
立ち葵 咲けば告げぬや 梅雨の入り
立ち葵 佇み映えぬ 梅雨の晴れ間
下 花冠 上まだ蕾 立ち葵
立ち葵 咲き上がりぬ また一輪
もう一輪 もう一輪 立ち葵
立ち葵 花茎 屹立 君が苑
白壁背に 立ち葵 はい ポーズ
花逍遙 立ち葵の花姿 何方(いずかた)へ
恋おりぬ 淡桃の花姿や 立ち葵
霞籠む 梅雨の朝(あした)や 涼風吹きぬ
涼風よ 吹き散らし給(たも) 梅雨の湿
慈雨 霊雨 額紫陽花や 昨夜(きそ)の雨
梅雨空に せっせと啄む 雀等よ
バサッ 蜆蝶似の我 キッチンの窓
緊急事態? 大冒険? 梅雨空に
明日や晴れに てるてる坊主 造らむと
令和元年 7月1日
<10首>
予報外れぬ* 静か静かの 小夜更けぬ
ーー* 近畿圏の大雨予報は外れぬ
寝覚めれば 辺り静けし 大雨何方(いずち)
静かこそ 優るものなし 大雨逸れぬ
霞籠む 梅雨の朝(あした)や 濃し 厚し
てるてる坊主 頭垂れぬ 窓の下
鬱陶しいき 梅雨や続きぬ 噫 無情
霞籠む 辺り山荘の 朝の如
霞籠む 梅雨の朝(あした)から 午下までも
霞籠む 山々霞みぬ 草木滴りぬ
ひっそり 独り 残り咲きおりぬ 皐月躑躅
令和元年 7月2日
<13首>
花紫陽花 色匂い立ちぬ 梅雨の晴れ間
匂い立ちぬ 紫陽花や 梅雨の華
紫陽花 花(か) 今盛りなり 艶のあり
大雨も 嵐も 外れぬ 梅雨晴れ 来ぬ
花咲かねば 実も生りはせぬ 夏茱萸や
凌霄花(のうぜんかずら)暗橙花 咲き寄りぬ
梅雨一色 玉椿 花腐りぬ 谷間の
薔薇が香や振り向けば彼方 梔子の花
此処はもう すっかり盗人萩の 若葉の野
歩止まりぬ 夾竹桃の 淡桃花
花玉椿 白黄色に烟(けぶ)りぬ 梅雨の空
アベリア花(か) 淡桃色が 三つ二つ
アベリアの 白花の落花 雪気色
令和元年 7月3日
静か哉 大雨のの前の*静けさか
ーー*’嵐の前の静けさ’を捩って
不穏な朝 犬の遠吠え 大雨予報?
大雨警報 迎える身の 置き処無し
不気味 不安 大雨 唯 待つ身には
外るるこそ 大喜び哉 大雨予報
外れたり と言えども 今や梅雨最中
令和元年 7月4日
<18首>
静かな朝 静かな梅雨 辺り辺り
外(はず)るるも 外れるも 幸いなり 大雨嵐
ピースマークを てるてる坊主に 梅雨晴れ来ぬ
久し振り 梅雨空から 青空が
眩しき哉 梅雨の晴れ間の 青き空
陽光に 映えぬ草草 梅雨の晴れ間
夕化粧 もう咲きぬ 何処へお出掛け
青き空 涼やかな風 梅雨の晴れ間
梅雨空に 青きが見え隠れ 一喜一憂
いざ 小逍遙 心弾みぬ 梅雨の晴れ間
他の谷間 玉椿の花花(かか) 白く燃えぬ
切れ葉野葡萄 幼きに 蔓と花芽(かが)
梅雨晴れや 見渡し逍遙 至福の時
アガパンサス 六弁(むひら)反りぬ 淡紫
アガパンサス 花芽(かが) 花散らすや 梅雨の花火
銀毛の長穂の 白茅(ちがや) 梅雨の土手
じっとりな 我(あ)が身の虫干し黴雨(つゆ)の晴れ間
令和元年 7月5日
<8首>
薄雲 薄二藍(ふたあい)* 梅雨晴れの朝
--*二藍は、紅と藍で染めた色
草木の揺れて 駘蕩 梅雨の晴れ間
梅雨最中 と言うに青空 歓の感
梅雨の晴れ間 この青空こそ 我(あ)には 喜
軽やかに 梅雨晴れの庭 紋白蝶
まっ! 南瓜*に黴 梅雨や黴雨と書く 実(げ)に
ーー*去年の夏 我(あ)が庭で収穫した唯一つの
南瓜 置物として飾り棚に
梅雨過ごしぬ 終日(ひねもす) ベッド ベッド 哉
段々と 仄(ほの)明るみぬ午下 梅雨の庭
しめやかに 更けぬ 梅雨の小夜 星影もなく
黒紫の実 犬鬼灯 二年目の梅雨
令和元年 7月6日
<10首>
彼(あれ)は誰(た)ぞ 萩の葉に似たる 梅雨の庭
盗人萩 ひょっこり 御出座し 我(あれ)が庭
実生えらし 昨秋 撒きぬ 盗人萩の
広がりぬ 青き視界 梅雨の晴れ間
梅雨晴れや 燕 七・八羽 羽繕い
実紫*(みむらさき) 花芽(かが)紫勝ちに 梅雨の空
--*紫式部(クマツヅラ科)の別称
何方(いずち)から 零れ来たるや 実紫
梅雨の庭 触るる小枝や 実紫
いつの間にか むさ苦し許りの 実紫
実紫 気儘に枝垂るる 梅雨の庭
令和元年 7月7日
<16首>
梅雨晴れ間 朝顔仕立て 夏仕立て
木芙蓉 先ずは 葉盛り 幾重もの
アガパンサス 花 八輪 八方向き
欄干より 迫り出しぬ 凌霄花(のうぜんかずら)花(か)
朱橙色
梅雨晴れ間 北 夏空 南 春海
青紅葉 実翼二枚も 飛び立たぬ
梔子(くちなし)の花 真白きや 匂いたちぬ
木下蔭 真白の花姿や 姫女苑
黄昏や 盗人萩の影 濃ゆく
夕化粧 絞り一輪 我(あ)が好み
アベリア満開 梅雨晴れの路 楽し
令和元年 7月 8日
今朝も青空 空梅雨(からつゆ)か 梅雨明けか
涼しさの 吹き抜ける夕や 朱夏の香
戻りたり 梅雨空の 鬱陶しきが
また戻りぬ 三日と続かぬ 梅雨の晴れ間
空 どんより 庭の草木も どんよりと
あの青空 何方(いずち)へ消えぬ 梅雨怨めし
燕 雀 飛ばぬ梅雨空 噫 疎まし
ーー TVの映像(NHK百名山:御岳山)を
視つつ
ゆっくりと 木漏れ日の坂 トレッキング
苔生す岩 清流の潺 姫蓮華
朧げな 人影望みつ 山歩き
令和元年 7月9日
<8首>
シトシトが やがてジトジト 梅雨 鬱陶し
梅雨空に うっすら 青きが覗きおりぬ
羽繕い 軒下の燕 精出しぬ
燕 七・八羽 飛び立ちぬ 大空へ
二羽 残りぬ 何を望むや 親燕
雛やもう 巣立ちの時らし 感慨あり
片時雨 梅雨のこの時期 冬に非ず
降ったり止んだり 振り回さるる 我(あ)が身あり
令和元年 7月10日
<11首>
青き空 朱夏の輝き 梅雨の晴れ間
蛞蝓(なめくじら)這いぬ 南瓜の葉の上
薄日差す 庭に燕(つばくらめ) 一羽 二羽
葉刈りされぬ 樹木 さっぱり 夕涼み
雨上がり 蛙(かわず)鳴くなり クワッ クワッ クワ
哀れあり 花紫陽花の 枯れ姿
哀愁あり 寂びるる風姿 花紫陽花
夕化粧 淡紅 白絞り 一つの株
遅れ咲き 花紫陽花の 小さきが
枯らさないで 藪枯(やぶからし)や アベリア垣
雷(いかずち)の轟く前に 急いで急いで 〔帰り路〕
令和元年 7月11日
<14首>
雨なくも ほんに 梅雨らし 今朝の空
凌霄花(のうぜんかずら) 大輪群がり 展(ひろ)がりぬ
未だ枯れぬ 白雲の如 玉椿
早乙女花 可憐な小花 夕べの空
ベゴニア花(か) 淡紅の小花 彼方此方に
此は何(な)の花 垂(しだ)れの花弁 厚物咲き*似
ーー*菊の園芸品種の一種
山際や 未だ花紫陽花 七種類
黄花マーガレット 少し遠慮気 姫向日葵に
藪萱草 花茎一輪 見上げるほど
燕 飛び交う 今年も知れぬ 巣や何処
草叢に 薔薇一輪 花壇の面〔影〕
桔梗花 白と紫 秋〔まだ〕彼方
木立ちベゴニア 大きな葉蔭 小さな花芽(かが)
莢葉牡丹 伸びぬ四尺 別の花姿(かし)
令和元年 7月12日
<15首>
紫蘭(しらん) 知らん間に もう 緑の莢
白蝶花 涼しげに 揺るる 朱夏の夕
花探訪 漸う出会えり凌霄花(のうぜんかずら)
立ち葵 とうとう 出会えぬ 夢見るも
ガーベラ ミニ 彼方(あちら)向きおり
恥ずかしいの?
瑠璃虎の尾 枝枝(ええ)彼方此方 夏や呼ぶ
クローバーの叢 再び梅雨や慈雨
葉分けるも 芙蓉の花芽(かが)見ぬ 浅緑の
夥(おびただ)し凌霄花 迫り出しぬ
万緑の 朱夏の谷間 小鳥の囀り
玉椿 白花に霞む 谷間の
万緑の谷間 浅く 濃く 深く
谷間森閑 唯 紫陽花の笑み
池の面 映えるるや 逆さ紫陽花
アガパンサス 濃紫(こむらさき)や 妖しの花姿(かし)
彼(あ)の紅色 近づけば 紫陽花花(か)
令和元年 7月13日
<8首>
アガパンサス 梅雨の輝き 淡紫の
苞裂けぬ パアッと開きぬ 花アガパンサス
マリーゴールド 黄花 風と戯れ 嬉嬉 黄黄と
マリーゴールド 嬉嬉と咲き継ぬ 黄花かな
兎菊 儚きに揺るる 梅の夕
果敢無げに 黄花コスモス 涼風に〔戦ぎ〕
明くるると想うに しとしとと 梅雨長し
令和元年 7月13日
<12首>
真っ黄色 南瓜の大輪 梅雨の朝
まだまだね と思うに 南瓜大輪を
目を射りぬ 南瓜の黄花の 鮮やかさ
何(な)に 浮かるる 南瓜の大輪 梅雨空に
もう 萎るるか 一日花や 南瓜花(か)
気早かも 南瓜の実〔生るを〕 見ま欲しきとは
南瓜の実 虫媒花とぞ 知りにけり
花南瓜 一輪なれば 実も生り難
南瓜花 雌雄揃いて 咲くは 何時
梅雨霞 刻々 籠(こみ)ぬ 夕間暮れ
枯れるるも また数多(あまた)咲きぬ 姫女苑
ゴキブリの親子や チョロチョロ 夕べの庵
令和元年 7月15日
<18首>
ジニア* 一重 咲きぬ 百日咲き続くや
--*和名は百日草
白 橙 朱 赤 紅 ジニア一重〔で〕も 華やかな
蛍袋 渋紅花 消(け)ぬ 白 咲き続き
紫陽花 幼木(おさなき) 今 花抱きぬ
苗代苺 実 粒 三つ 見たり 始めてなり
幾年も 葉と花ばかり 実や知らぬ
花弁(はなびら) 枯れぬ 萼残りぬ 実これから
ーー TVの山歩きの映像を視つつ
一休み 木漏れ日背(せな)に 食(じき)食みぬ
ーーTVの映像から、
万緑に浮かぶ山荘の屋根の赤きを
山荘の屋根 夏木立 透し 赤く映えぬ
日落つるまで 朱夏の暑気 もう 酷い!
朝 梅雨空 夕べ 夏空 〔もう〕 梅雨明けか
橙花コスモス 独り 哀れ 奥向こう
姫女苑 白小花 揺れる 夕べの野
朱夏 の空 夕涼みがてら 花逍遙
蕺草(どくだみ)や 新芽揃いぬ 渋茶紅色
苦瓜の花芽(かが) 彼方此方(あちこち) 可愛らし
実のおどろおどろしきや 如何なること
令和元年 7月16日
<16首>
南瓜花(か) 一輪だけの朝 哀れ 無念
南瓜花 雌雄咲かずば 実や生らぬ
なんとまあ 美麗な黄色 南瓜花
真白き雪 積もるるが如 姫女苑花
今や梅雨 雪積もりたるに 出会うとは
はくしょん 梅雨寒(さむ)にも 暑気のあり
梅雨寒や 夏衣(なつぎぬ)出したり 納ったり
梅雨寒を 春と見紛いぬ 花 すいすい*
ーー⋆紫酢漿草の別称
藪枯(やぶがらし) 小花散状 橙黄色
箆大葉子(へらおおばこ) 植え込みの脇 ひっそりと
狗尾草(えのころぐさ) 花穂緑が 草間より
令和元年 7月17日
<12首>
まぁ 久し振り 捩花(ねじはな) 見つけり 庭の隅
何時のこと 捩花見たは 我(あれ)が庭
淡桃の蘭似の小花 昔のまま
花穂螺旋 に捩じるも 昔のまま
梅雨の鬱 晴れたり 捩花との再会
アベリア 枝枝(ええ) 縦横無尽 梅雨寒に
アベリアに絡みぬ 藪枯らし 野放図に
執拗に巻き延ぶ 巻き髭 藪枯らし
早乙女花 巻き乱るる蔓や 悍ましき
屁糞葛* 貧乏葛* と呼ばるるも 宜(むべ)なるかな
ーー* 両者とも 早乙女葛の別称
漢字一語扱い
如何なこと 両葛 小花可憐
令和元年 7月18日
<7首>
夏野芥子 ほっそり 涼やの佇まい
戸惑いぬ 蒲公英(たんぽぽ)花茎 低く生いぬ
今朝は亦 梅雨の最中に戻りけり
ーー昨日や 夏日の空だったのに
じめじめじめ 蛞蝓(なめくじ)には 好日(こうじつ)
我(あ)には曠日(こうじつ)
青蛙 飛び乗りぬ 揺るる青葉雫
花南瓜 もう窄みぬ 真昼前(まえ)
胡蝶舞わぬ 白蝶草垂る 梅雨の朝
令和元年 7月19日
<8首>
まぁ 沢山 実南瓜 見つけり 寝覚めたり
南瓜の実 膨らむ姿 夢の畑
--TVで打ち上げ花火を視
枝垂れ菊 朱夏の夜空や また散りぬ
ーー幼い日の夏の夜を思い出しつ
何処からか 火薬の匂い 朱夏の宵
パッ パッ パ 線香花火や 懐かしき
手花火と戯れたる宵や 懐かしき
昨日(きそ)やまた夏日と言うに 今日(けぐ)梅雨日
梅雨寒や 大嵐*来たるや 我(あ)が身や 噫
--*台風5号
令和元年 7月20日
<11首>
咲き遅れぬ 此処にも独り 額紫陽花
台風外れぬ 晴れ間も外れぬ 梅雨どっぷり
露枯れせり 藪蝨の葉 梅雨日中
外壁の夏蔦 除きぬ 心ならずも
彼(あ)や誰れぞ さっと飛び来ぬ 鳥影あり
烏より 小 雀より 大 鵯(ひよどり)らし
鵯は 春弥生に出会うが 慣い
彼(か)の鵯 ’忘れ鳥’*の 風趣あり
--*’忘れ花’に倣って
梅雨寒に 鵯(ひよどり) 独り のんびりと
鵯よ また 楽しからずや 独り居は
鵯や 気楽 歓楽 シングル・ライフ
令和元年 7月21日
<8首>
要黐(かなめもち) 朱紅花と見紛いぬ 嫩葉萌えぬ
-- 梅雨の朝に萌え見ゆ
燕飛ぶ 淡藍の空 梅雨の果て*
--* ’春の果て’に倣って
涼やかな 微風(そよかぜ)吹き込む 梅雨の暮れ
梅雨の果て 晴天消えぬ 颱風五号
置き去られぬ 薔薇のブーケや 結末は
--夢を見 詠める
木製のベンチ 塗られぬ 白薔薇(そうび)
小紫* 枯れ紫陽花 見上げおりぬ
--*紫式部/実紫とは、近縁の別種
小式部* 長枝 枝垂れて 藤色小花
--*小紫の別称
令和元年 7月22日
<11首>
枯れ紫陽花 雪冠りの 夢見哉
夢世界 しんしんと降る雪 梅雨の小夜
雪の降る 夢や見たり 熱帯夜
降ったり 晴れたり 曇ったり 梅雨の業(ごう/わざ)
雨音の 遠退く辺り 梅雨明けや
後一日(あとひとひ) 梅雨明けの日や 待たるるよ
梅雨湿気 我(あ)が身 じっとり 黴や生う
もう嫩葉 葉狩り一か月後 空未だ薄墨
あらまほし 明日や 晴天 梅雨の果て
渇(かつ)えおりぬ 太陽の 輝く 朱夏の日を
無為に過ぎぬ 梅雨日や 虚や快や
令和元年 7月23日
<18首>
まあっ 銀水引き すらりの花茎 梅雨の明け
見上げれば 百日紅(さるすべり)の花 梅雨明けり
木通(あけび)の青実(あおみ) 姿消ぬ 梅雨の明け
去年(こぞ)の秋 淡紫の熟し実 垂れ下りぬ
カサブランカ 大輪静か 梅雨の空
伐られおりぬ 芙蓉に嫩芽 梅雨明けぬ
忍冬(にんどう) 蔓 伸ばしぬ 花や来春
藪萱草(やぶかんぞう) すらりの花茎 此な処に
橙紅色の 透し百合や 崖から此方を
くねくねと 白壁這いおりぬ 子蛞蝓
栗の花 もう毬毬(いがいが)の 青き実に
アガパンサスも もう青莢 数多 垂れ下りぬ
芙蓉花 白と淡紅 豪華咲き
ちょこなんと 日日花(にちにちか)鉢 門扉脇
雨一粒 歩めば 一粒 梅雨の末
畳背に ゴキブリ 動かぬ梅雨の末
もう 死んでるの ゴキブリ 仮眠 梅雨眠*か
ーー*冬眠を捩って
ゴキブリ 梅雨眠から 醒めたか 姿消ぬ
令和元年 7月24日
<14首>
一輪 漸う 槿花(きんか)や 我(あ)が庭の
他処(よそ)では もう散りぬも 花木槿(はなむくげ)
淡紅紫の 槿花 例年(いつも)の優し風姿
底紅の白槿花 愛でし君 遠く
横合いに 崖から花茎 透かし百合
透かし百合 崖に生う は 好みらし
透かし百合 里〔花壇〕から山へ ’里帰り’
梅雨明けや 湿気 暑気なり 我(あ)が身攻めぬ
梅雨明けば 太陽じりじり 皮膚 ひりひり
洗い髪 擽(くすぐ)る微風(そよかぜ)
梅雨の明け
--数年前の ご近所のお庭での
会話を思い出し
純白の蘭似の 四弁(よひら) 花の名は
ちょっと待って 明日想い出すヮ と君は言い
ジンジャーと 君晴れやかに 告げぬ名を
令和元年 7月25日
<8首>
葉隠れに 南瓜の黄花 二(ふた)か処に
二輪〔なれば〕 受粉 実結ぶ期待 弥 増せり
南瓜の 黄花に飛び来ぬ 蜂何処*
ーー*南瓜は 虫媒花
見渡せど 蜂飛ぶを見ぬ なんてこと
我(あ)が庭や 蜂の好みや 好く飛び来
槿 朝咲き 夕窄みぬ 又 明日〔/朝〕(あした)
藪蘭や 三日見ぬ間に 花茎かな
梅雨明けぬ 万両もう咲き 実結びぬ
令和元年 7月26日
<12首>
ランタナ花(か) 白 淡紅の 夏の夕
遠見の丘 茅渟の海碧き 朱夏の空
頬触るる 涼風仄か 朱夏の夕
朱夏の海 棚引きぬ白雲 春模様
山際の空 白雲ひろびろ 秋模様
向日葵 未だ幼きや 向き惑いおりぬ
瑠璃虎の尾* 花穂や枯れ穂に 涼風(すずかぜ)に
--*漢字一語扱い
蘖(ひこばえ)や 花芽見ぬども 新芽生生
伸ぶ荒地野菊 夏木立の如
紫陽花(あじさい)花(か) まだ青紫色 鮮やかな
艶めかし 池面の鯉や 朱夏の夕
狗尾草 夕涼みの様 日落ちぬ
美女桜 想い出づ花 あの頃を
令和元年 7月27日
<19首>
木の間(ま)から 洩れ輝きぬ 夏日かな
きらきらと さんざめく夏葉 夕日影
草いきれ 何方(いずち)から来(く) 夕逍遙
燕(つばくらめ) 彼(あ)の電線に 三十余羽
姫柘榴 朱橙の花冠 緑染む
玉簾(たますだれ) 早咲き独り 朱夏の夕
抜け殻*や 胡瓜の棚に しがみつきぬ
ーー*蝉の
抜け殻や 目玉 大きく光おりぬ
此の朱夏は 未だ 蝉の声 聞かぬれど
グラディオラス 夏咲き独り 花茎すらり
燕(つばくらめ) 八羽 巣近き 電線に
黄花 五弁(いつひら) 此処彼処 胡瓜棚
胡瓜の実 幼きは いといと愛し
颱風掠りぬ 梅雨戻りぬ 鬱陶し
花木槿 独り にっこり 梅雨の戻り
梅雨戻り 終日(ひねもす) しとしとしとりしと
明るみぬ 梅雨の戻りや 明けぬるや
令和元年 7月28日
<12首>
蜂よ来よ 南瓜二輪 今朝咲きぬ
待宵草 独りぼつねん 宵は未だ
--かつて 我(あ)が庭に
雌待宵草(めまつよいぐさ)の
姿を見せぬを思い出し
雌待宵草 茎五尺余 黄小花 次々
雌待宵草 朝(あした)も 黄花 日中にも
あれから幾年 待宵草見ぬ 我(あれ)が庭
久し振り 雌待宵草の訪れ 歓一入(ひとしお)
高く低く 夕空 乱舞 燕(つばくらめ)
子燕の 飛行稽古や 親 気忙し気
燕百羽 旋回 滑空 朱夏の夕
燕飛びぬ 優美 勇壮な風姿
令和元年 7月29日
<8首>
アベリア*の 咲き乱るる垣根 夕散歩
--*衝く羽根空木(つくばねうつぎ)の洋名
この辺り 春や満開 桜並木
伐採されぬ 姿見ぬ春ぞ 哀しけれ
満開の アベリア癒しぬ 我(あ)が傷心
捩花(ねじばな)も もう姿消しぬ 寂しき哉
捩花よ 暫しの邂逅 また何時か/何時の日か
紫陽花花(か) 薄緑に 褪せるぬまま
紅注(さ)しぬ 薄緑に 花(はな)紫陽花
令和元年 7月30日
<八首>
真夏日 猛暑日 熱帯夜 酷!
熱帯夜 明くるる朝や 猛暑日
猛暑日も まだ朝夕や 微風(そよかぜ)が
蝉も鳴かぬ 蜻蛉も飛ばぬ 猛暑日
猛暑日は ページ繰る指 止まりけり
窓辺に 蜂 避暑に来たの? 何方(いずち)から
待っててね 今直ぐ エアコン付けるから
ーー昔の日本の夏の情景を想像しつつ
洗い髪 掻き揚げ重ねつ 縁側へ
団扇 煽(あお)ぎぬ 浴衣姿の項(うなじ)哉
真夏の日 川辺遊びの 麦藁帽子
令和元年 7月31日
<10首>
すばしこく 隠れ込みぬ 虫 朱夏の朝
百足(むかで) 否 脚高の風姿 (げじげじ)らし
蝉時雨 未だ暑苦しくなき ほどの
通り過ぎぬ 止みぬ蝉時雨や 朝の声
雌待宵草(めまつよいぐさ) 黄色のまま 朱夏の朝
木通(あけび) 独り実も消(け)ぬ 梅雨の明け
実木通 不作? 今季 一つも垂れぬ
七つ 八つ 実木通 垂れおり 去年(きそ)の夏
木通の実 見る楽しみ 朱夏に奪わるる
だらりの実 秋には割れぬ 淡紫の
令和元年 8月1日
<11首>
南瓜また 二輪 蜂や何処(いずこ) 我(あ)が居室
避暑中と のんびりしないでと 蜂に乞いぬ
南瓜には 蜂立役者の虫媒花
貴方こそ 仲人 南瓜二輪 雌雄花の
ーー朝、木槿の花を眺めつつ
今日(けふ)一輪 昨日(きそ)一輪の楽しみ哉
ぽつり ぽつり 咲きぬ槿や 風趣あり
梅の枝先 蔓延ばしぬ 汝(な)や何(な)の野老(ところ)
ゆらゆらと 揺るる夏蔓 何の野老
花見ぬば 鬼〔野老〕か姫〔野老〕 分かぬところ〔処/野老〕
夏草の間(ま)に 淡紫映え 藪蘭の
中でも 一花茎 抜き出づる 藪蘭の
令和元年 8月2日
<8首>
電線に 燕(つばくらめ)八羽 夕涼み?
お宿や何処(いずこ) と問う我(あれ) 能く能く心配性
韮の花 刈られても 切られても 猶
菫 蒴果 枯れ色が 夏葉上
微風(そよかぜ)や 暑気払えぬ 猛暑の夕
すいすい*や 花弁巻きぬ 忍夏かな**
ーー*紫酢漿草の別称
** 忍冬を捩って
山牛蒡 花穂の小さきを 小さく見せぬ
兎菊 絶え絶えに生いぬ 息〔/生〕絶え絶え
令和元年 8月3日
<14首>
瑠璃虎の尾 花穂高く低く 揺るる荒れ野
目の当たり 飛び来(き)動かぬ 小形蜻蛉
なんとまあ 蝉の抜け殻 石畳み
間違えて 出(いで)来ぬや 樹や向こう
韮の花 木下蔭の 花盛り
マリゴールド 黄花ぐったり 夏疲れ?
藪萱草(やぶかんぞう) 花色褪せつも 艶のあり
むぁ~と迫りぬ 熱気や夏の 夕辺の匂い
何程か 懐かし気哉 夏の夕暮れ
ふんわりと 白花芙蓉 咲きにけり
白花大輪 一・二・三・四(ひい ふう みい よう)芙蓉
花芙蓉 笑顔向けおり 誰(たれ)にかや
伐られりと 諦めおりし 白花芙蓉
出会えたり 白花木槿(むくげ) 底紅の
令和元年 8月4日
<6首>
髭伸ばしぬ とうとう馬酔木(あせび) 蔓南瓜
南瓜蔓 伸びに伸びたり 馬酔木まで
五尺伸ぶ 蔓南瓜や 馬酔木まで
艶然かな 南瓜の花 朱夏の庭
南瓜黄花(きか) 艶然 向日葵の如
南瓜の一輪に蜂 噫 無情
令和元年 8月5日
<11首>
数年前 糸蜻蛉見たり 同じ場処
彼(あ)や 黒瑠璃色の 瀟洒な風姿
此は 小形 地味素朴 昔蜻蛉
糸蜻蛉 昔蜻蛉や 汝(な)や誰(たれ)そ
大古の昔 想うや 昔蜻蛉
ーー昔蜻蛉は、”生きた化石”
原初の姿留めるらし
翅閉じぬ 何を想うや 昔蜻蛉
鳳仙花 花重ねせ咲けば 鄙の風
赤 淡紅 昔馴染みの 鳳仙花
真っ青な空 真っ白な雲 朱夏気色
紺碧と深緑 朱夏の海と山
涼風に 暫し忘るる 茹だる暑気
令和元年 8月6日
<14首>
隣り合いぬ 南瓜花 二輪 蜂や何処
萎れたり 南瓜黄花 二輪共
--蜂来ぬ間に、南瓜は虫媒花
猛暑なり 蜂も飛ばぬや この猛暑
一輪 猶 槿花(きんか)の朝や 慎ましく
朱夏に咲きぬ 槿花一輪 朝の楽しみ
朝顔や 日暮れに出会えば 萎れ花
桔梗花 雛に咲きぬ いと愛らし
花サルビア* 緋色燃え尽きそうな 朱夏
ーー*ブラジル産の緋衣草(ひごろもそう)
向日葵 すらり立ちおりぬ 花弁反らせ
白百合 十輪 覗きぬ 石段から
谷間から 上り来(く) 鳴き声 蜩か
定家葛(ていかかずら) 暑気に狂いて 狂い咲き?
ーーこの葛 初夏に咲かしぬ 風車のような花
谷間に 長く垂るる 白花の葛 君の名は
令和元年 8月7日
<7首>
小紫* もう青実付けぬ 明日立秋
ーー*草花、紫式部の近縁種
銀水引き 細っり花茎 明日立秋
疎らに付きぬ 白花 儚(はかな) 銀水引き
入道雲 割れたような 鱗雲
入道雲 雷鳴もなく 明日立秋
打ち続きぬ 日中猛暑も 明日立秋
涼風も 吹き散ぜぬ 猛暑かな
令和元年 8月8日
<12首>
二輪 いえ 一輪 南瓜 糠喜び
喜びも束の間 南瓜花 一輪
金水引き 黄小花茎 直立 今日(けふ)立秋
金水引き 秋引き寄せたや 今日(けふ) 立秋
一番生り 苦瓜(にがうり)ありき 他や黄花
実苦瓜 橙黄に染みぬ 上半分
葉苦瓜 葉屏風の如 朱夏の宴
ゼラニュウム 色取り取り 緋 白 紫 紅 淡紅
--初生りの実胡瓜と枯れ実を
眺めつつ
まぁ 立派 金太郎の如 胡瓜の実
可哀想 他〔の胡瓜〕は 小さきまま 枯れ行きぬ
一身に 皆の命や 預かりぬか
千日紅 小花毬の茎 次々と
千日紅 小さきポンポン* ぽんぽんと
--* 原語は、pompom
令和元年 8月9日
<11首>
炎暑の空 涼し気に エアコン〔除湿〕の窓
夕涼み 探せど何処(ぜらみゅうむいずこ)も 炎暑の夕
向日葵(ひまわり)ぐったり 花頭 垂れおり 重く 重く
野老(ところ) 雌なり 疎らに花茎 すらり独り
月淡き 西の夕空 未だ明るきに
蝉時雨 高く低く 遠く近く 帰り路
探すれど 木通(あけび)の実見ぬ 蝉時雨
百日紅(さるすべり) 花頭 突き上ぐ 空青く
犬鬼灯(いぬほうずき)小さきが 小さき花付けぬ
野葡萄の 花芽(かが) 一斉 一杯に
犬鬼灯 野葡萄 狗尾草 野老 栴檀草
朱夏の五種(いつくさ)*
--*秋の七種を倣って
令和元年 8月10月
<10首>
淡き月 朝焼け 昨夜(きそ)や 御湿り あり
茜 淡き 朝空に 涼風(りょうふう)
(げじげじ)と出会いぬ 蟷螂(かまきり)とはご無沙汰
ーー久しき前 我(あ)が庵(いお)で
蟷螂と出会いぬを想い出し
お久し振り 蟷螂 大きな鎌〔肢〕上げぬ
淡緑 細身の蟷螂 まだ幼な?
昼炎暑 夏草萎れり 哀れあり
日落ちれば 夏草 蘇りぬ 逞しき
朝焼けも夕焼けも 朱夏の一日(ひとひ)
朝霞*(ちょうか) 晩霞*(ばんか) 山際茜 朱夏の一日
ーー*漢字一語扱い
令和元年 8月11日
<13首>
今朝に乱舞 夕べに乱舞 燕(つばくらめ)
翼広げぬ 旋回 滑空 空 燕(つばくらめ)
翻しぬ 燕の勇姿 朝日映え
燕(つばくらめ) 電線から電線 ”枝移り”
白タイル 茶迷彩の 蛾一匹
目立ち過ぎ カモフラージュなら 白色よ
此処はキッチン 枯れ葉色の庭に非ず
金水引き 一・二輪 晩夏の気色
炎暑にも ベゴニア笑顔 植え込み下
植え込みは 防暑林*かな ベゴニアの
--*防風林に倣って
それにしても 何時まで続くや この炎暑
向日葵(ひまわり)も ぐったり ぐたり 萎れおり
哀れあり 向日葵 五輪皆 萎れり
令和元年 8月12日
<12首>
窓開けると 毎朝見ゆる 南瓜黄花
花南瓜 朝顔ならぬ 朝の顔
平盆のような葉 大きい 葉南瓜
葉南瓜の大きな平盆 御湿り待ち
干天続きぬ 庭の草草 枯れ気色
長き影 長々延びぬ 向日葵の
姫椿 実色付き初みぬ 秋色に
マリゴールド 黄も 橙も 朱夏の色
黄と橙 花毬 毬 毬 万寿菊〔/マリゴールド〕
へばりつきぬ タイルに黒虫 納涼や
洗い髪 そのまま束ね 団扇 何処
パチン パチ 触れるや爆(は)ずる 実鳳仙花
令和元年 8月13日
<9首>
微風(そよかぜ)に靡(なび)く薄の 朝 涼風(すずかぜ)
風止めば 炎暑 むぁ~と 迫り来ぬ
芙蓉 白 淡紅紫も 萎れぬ 朝来む
涼風に 誘われゆるり 夕逍遙
アベリア*垣〔根〕 刈込まれぬ 青柴垣
ーー* 和名は、衝く羽根空木
茫茫のアベリア さっぱり さっぱりし過ぎ
韮(にら) 白小花毬 百茎 鉄柵沿い
日日花(にちにちか) 花色 色々 晩夏色
夕化粧 独り 艶あり 夕日影
令和元年 8月14日
<14首>
当て所なく 蔓ゆらゆら 伸びぬや 野老(ところ)
樹も 枝枝(ええ)も抜け 空へ延びぬ 鬼野老
絡み所探し 蔓 空(くう)に 揺れ揺れぬ
絡み合い 伸ぶ伸ぶ 蔓蔓 鬼処
蝉時雨 いえ 耳障り 響きぬ 老いの朝
青薄 猶 青青と 夕日影
青薄 すいすいすらり 細葉立てぬ
青薄 揺れ撓りぬ 白銀に
水引きの 紅に咲きぬ 白*知らずや
ーー*銀水引きのこと
白*と黄**に 水引きや 紅添えぬ
--*源平小菊の白花
** 金水引きの小黄花
庭に咲きぬ 源平小菊 金水引きと隣合いぬ
夏草や 熱気も渇きも 何の其の
夕凪や 夏草 それぞれ 息潜めぬ
日影色 弱まりぬるる 晩夏の庭
伐られし芙蓉 今やもう 葉盛りなり
満月の 淡きの浮かびぬ 夕逍遙
待ち侘びぬ 君の面影 朧影
令和元年 8月15日
<15首>
不気味な物音 彼(か)や 颱風の声や
一夜明くれば 御湿り許りの昨夜(きそ)
颱風の未だ来ぬ 朝や 沈沈沈
しとしとしと 四方一転 梅雨気色
花南瓜 五輪も 今朝や 黄色映え
電線に 朝から燕 二十余羽
昼日中 同じ電線 同じ燕
何を待つ 燕 颱風 未だ来ぬ
落ち着かぬ 次々襲いぬ 颱風情報
令和元年 8月16日
<12首>
颱風の 猛々しき夜や 約二時間
潺(せせらぎ)が 奔流となりぬ 颱風に
時折に 響く物音 名残りの嵐
颱風一過 とは言えねど 今朝静か
亦戻りぬ 熱唱 熱気の 朱夏の暮れ
南瓜黄花 二輪咲きぬ 嵐の朝
南瓜や 茎倒さるるも 葉 擡(もた)げるる
残り椿花 葉蔭に 紅一輪が
清々な 白百合咲きぬ 石垣途中
待宵草 もう一茎 我(あれ)が庭
鬼野老 雌花 許り 不思議な晩夏
プラタナス 落葉一葉 街路占めぬ
令和元年 8月17日
<7首>
颱風一過 旱天の暑きや むあ~とす
蝶も虫も 葉蔭に潜むや 姿見せぬ
〔窓際に〕 佇めば 何処からか 涼風
涼風に 弥よ 戯れぬ 乱れ髪
熟れに熟れ 真っ赤なトマト 太陽の子
枯れ葉 茎に だらりのトマト 夏の暮れ
令和元年 8月18日
<10首>
燕飛びぬ 颱風一過 青き空
微風(そよかぜ)の 吹き入る我(あ)が庵(いお)
初秋の香
微風に 金水引きや 涼し気に
秋日傘 揺れ揺れ遠く 去り行きぬ
掠め去る 飛行物体 彼(あれ)や 蝉
蝉の飛びぬ 珍しきかな 初秋の庭
嵐去りぬ 蝉 嬉嬉とし 浮かれ飛ぶや
微風に 夏去り行くを すこし見ゆ
天半分 鱗雲もう 秋景色
後半分 青空冴える 夏の空
令和元年 8月19日
<7首>
彼方此方の夏草揺るる 雨雫
ぽとりぽとり 夏草の雫 小雨降る
颱風過ぎぬ 晴れ後曇り 雨もあり
白百合 此処に彼処(あすこ)に 崖の上
出し抜けに 姿見せたり 白百合花
白百合の 処構わず咲くは 怪し
谷間に 咲くを夢見ぬや 白百合よ
令和元年 8月20日
<9首>
霧立ちぬ 初秋の景や 朧げな
淡紅槿花(きんか) 彼方此方向きぬ 朝の庭
金水引き 小黄花の茎 茎 初秋の庭
葱の鉢 狗尾草や 四方八方
燃え立ちぬ 鶏頭の花 紅(くれない)の
筆立てぬ が如くの花姿(かし) 此の鶏頭
見つけたり 南瓜の雌花 まだ蕾
南瓜花 丸々小毬 花冠下
よく見れば 雌花と見しは 皆 雄花
令和元年 8月21日
<7首>
入道雲 雷もなく 夏終わりらし
轟くは 唯颱風接近の 予報ばかり
梅雨のような 湿っぽさ 颱風明け
湿っぽく 肌に纏わるる 小糠雨
肌に纏わりつきぬ湿気 颱風後
槿花 萎みぬ 淡紅紫 夕日映え
小糠雨 濡れるる 木槿の淡紅紫花
令和元年 8月22日
<8首>
月光の零るる 小苑 青薄
白銀に 戦ぎぬ薄 美しき
紅(あか)と青(あお) 朝顔の花 朝の顔
朝顔棚 夫々巻き付き 背比べ
何処(いずこ)にも 絡みぬ蔓南瓜 何(な)や想う
高みまで 伸び当て所得ず 垂るる 蔓南瓜
小紫 実 濃紫(こむらさき)に 生るは何時
蔓揺らしぬ サルトリイバラ 秋探すや
令和元年 8月23日
<19首>
この芳香 晩夏の庭の何処(何処)から
金水引き 花穂其処此処に 戦ぎおり
初秋の庭 花穂 花穂 花穂 金水引きの
宜(むべ)なるかな 金水引き 今盛り
南瓜の 雌花雄花や 今朝咲きぬ
蜂何処 昨日(きそ)姿を 現しが
雷鳴轟き渡りぬ 夏お仕舞や
ーー雷は、今夏初めての事
雷(いかずち) 電(いなずま) 今夏 最初で最後かも
雷電にも 南瓜雌雄花 蜂や待ちぬ
蜂来ぬ間 花南瓜雌雄 萎れけり
お皿の上 蚊蜻蛉の小さき 小さきが
汝(な)や 姫蚊蜻蛉か 約1.5センチ
尾も翅も 濡らし 足搔きぬ お皿の水
そっと掬いぬ 窓際に 移したり
暫く後 蚊蜻蛉 戻りおりぬ 元のお皿
余計な気遣い 御免なさいね と我(あ)
次の朝 小さき黒影 掠め飛び来
あっ 彼(か)の蚊蜻蛉 元気よく去りぬ 窓の外
もう 大丈夫 蚊蜻蛉 ぐるり 飛び去りぬ
令和元年 8月24日
<11首>
くしゃん 一つ 不意に 辺りや 秋めきぬ
朝寒に 慌てぬ 秋衣 探りだしぬ
しとしとしと 秋霖の候となりにけり
しとしとしと 秋の長雨(ながめ)の眺め哉
旱天 一転 秋入梅(あきついり)の雨天かな
霖霖たる 小夜秋さるとぞ 想わるる
秋さる小夜 なれど 聞こえぬ虫の声
蟋蟀の 声聞かぬ小夜こそ 侘しけれ
秋さるや 物や想いぬ 小夜の月影
静静と 静まりぬ小夜 秋やさる
令和元年 8月25日
<12首>
覗く度 小毬〔脂肪〕膨らみぬ 南瓜雌花
南瓜の 髭に捲かれぬ 金水引き
金水引*茎より 更更太き 蔓南瓜
ーー*漢字一語扱い
金水引き 踏ん張りぬ 髭に捲かれ
南瓜の 雄花に紅一点 雌花あり
今も猶 十中九輪 南瓜雄花
槿花(きんか) 十八輪の 満樹飾*
ーー*満艦飾を捩って
槿 百輪 淡紅色の花盛り
秋空を 愛でるや槿花 花やかな
暗雲の垂れ籠めるる 秋空 ぽとりぽとり
秋日傘 一転 雨傘 秋の空
誰(た)が心 移ろい易き 秋の空
令和元年8月26日
<8首>
ほんに秋 冷気 頬触る 秋の風
幾年も 雄花ばかりの南瓜 我(あ)が庭の
我(あ)が庭の 実生えの南瓜 花咲かぬ
今一輪 小毬付けたり 南瓜花
受粉には 自然のまま 南瓜雌雄花
南瓜雌雄花 風媒花かな 蜂や見ぬ
覚えるたり 南瓜雌花には お米の磨ぎ汁
令和元年 8月27日
<20首>
処暑過ぎぬ 秋忍び込みぬ 我(あ)が庵
秋雨や 炎暑の喧噪 鎮静せり
冷ややかな 一陣の風 秋の香かな
晴れや曇りや 移ろい易き 秋の空
南瓜の実 三日見ぬ間に 斑模様
ーー青き実から 南瓜らしくなるを見て
すくすくと 丸々育ちぬ 実南瓜
金水引き 彼(か)の芳香や 咲き初む時
今愛でるは 黄小花の 咲き揃いぬ
まあっ 白百合 とうとう引越し来 我(あれ)が庭
昨日まで 夏草茫茫の 真最中に
白と緑 鮮やかな対照 小さき秋
秋雨 小雨 いざ 行かむ 白百合刈り*
--*紅葉刈りに倣って
白百合の 次々微笑む 秋逍遙
昨年(きぞ)ほどに 出会えぬ白百合
心(うら)寂し
昨年よりも 花数 寡(すく)な 白百合よ
白百合やよ 返り咲くなむ 来季には
カンナ 彼(か)の 燃え立ちぬ 朱赤色 今何処(いずこ)
打ち萎るる カンナの黄花も 物哀し
百日紅(さるすべり) 淡紅 紅紫や 見目麗しき
百日紅 花枝 四方八方 空に舞いぬ
令和元年 8月28日
<6首>
梅雨よりも 梅雨らしき 秋雨入り(あきついり)
しとしと じめじめ 淡墨の景 秋黴入り(あきついり)
鶏頭花 真紅の扇 花壇の華
鶏頭と韮ばかり 辺りの飾り
玻璃の窓 雨の滴り 愁思あり
雨粒打つ 玻璃窓に揺蕩(たゆた)う 秋気色
令和元年 8月29日
<10首>
爽やかな 朝風 槿花(きんか) 十一輪
何処までも 延び行く 蔓草 秋知るや
ゆらゆらと 秋空に揺るる 蔓草 誰(た)ぞ
白百合や もう萎るるとは いと哀れ
萎れつも 猶 香しき哉 白百合花(か)
白百合花 三日の命 妖しく果てぬ
儚くも 三日の命 華のあり
葉隠れぬ 南瓜 花も実も見ぬ
雪柳 枝垂れ垂れぬ 秋茫茫
小紫 見未だ青きまま 初秋の庭
令和元年 8月30日
<6首>
空一瞬 薄墨ぬ 夕立ちぬ
此度の夕立ち 晩夏と初秋の混成雨
驚愕せり 夕立ちの 大粒雨
雨脚烈し 大雨襲う かと 戦きぬ
秋さる と想うや 夏さる 空 暇なし
秋さるに 夕立ち烈し 夏模様
令和元年 8月31日
<16首>
まっ 凄い! 今 実南瓜 〔直径〕二寸余り
鳥渡触るるも 実南瓜 ずしり 存在感
予期せぬ喜び 実南瓜との邂逅
ーー と言うのも・・・ だったので
南瓜や 葉ばかり 成りぬ ぐんぐんと
実南瓜 小さきは そのまま いと可愛い
同じ蔓 南瓜雌花 小珠〔蕾〕 そのままに
ーー別の蔓では
南瓜蔓 雄花許リ 如何なりや
南瓜雄花 許りも 花冠美し 黄金色
花南瓜 半日花(はんにちはな)素こそ 口惜しき
花南瓜 朝咲き終わりぬ 儚き定め
花南瓜 黄色鮮やか 朝の花
花南瓜 黄色美し 朝の悦
花南瓜 朝咲き 終わりぬ 儚き定め
窓開蹴れば 爽やかな空 久し振り
秋梅入り(あきついり)散んじぬ
青空 広し 何処までも
晴れ 後 曇り 怨めしき哉 秋の空
南瓜小毬〔実〕 拳固出す如 元気あり
令和元年 9月1日
<19首>
白花の藪蘭 微笑む 鉄柵越し
今はもう 木芙蓉の実 木被いぬ候
木槿(むくげ)未だ 咲き続きぬ 底紅の
葛 葉覆いぬ谷間 蔓 狂おし気
秋明菊 淡紅紫 一輪 花芽(かが)が
切れ葉野葡萄 実の小さきが 丸々(つぶつぶ)と
毬栗 丸々(まるまる) 棘棘 秋ざれ哉
花酢漿草(はなかたばみ) 甦りぬ 濃桃色
玉簾 遠見にも際立ちぬ 花の白き
百日紅(さるすべり) もう果実か と蟻に問い
葉百日紅 蟻行ったり来たり 何(なに)忙し
百日紅 蕾か果実か 惑わされぬ
彼(あ)は何ぞ アガパンサスの 妖しの実茎
小さきまま 毬栗路上に 果ておりぬ
毬栗 枯褐色 数多 生垣奥
誰(た)の所為(せい)ぞ 晩夏の旱天 初秋の長雨
藤一房 淡紫の 忘れ咲き
ガガンボ(蚊蜻蛉)や 飛び行く夕空 茜色
もう窄みぬ 花酢漿草(はなかたばみ) 初秋の夕
令和元年 9月2日
<8首>
秋の蝶 舞い 舞い 舞いぬ 秋日和
秋蝶 舞い舞い楽し 日和かな
崖に独り 白百合咲きぬ あき日和
紋黄蝶 秋見たか 夕焼け空
戻り旱(ひでり)*亦 蒸し暑き熱気 朱夏の名残り
ーー* 戻り梅雨に倣って
哀れ南瓜 小珠のまま 枯れ行きぬ
唯独り 弥(いいよ)大玉 実南瓜
夕焼けに 秋茜飛びぬ 候となりにけり
崖に独り 白百合咲きぬ 秋日和
令和元年 9月3日
<9首>
待つ宵草 朝未だ 咲きぬ 誰(た)を待つや
珠簾 白花 五輪 菫の跡
紫苑(しおん) 秋告ぎぬ 花 薄紫の
ハイビスカス 真っ緋色に咲きぬ 秋の朝
木通(あけび) 幾度覗くも 実見ぬ 侘し
花酢漿草 朝日に映えぬ 秋の色
小鬼田平子 小黄花散らしぬ 秋の風
春野芥子 咲き驚きぬや 小鬼田平子の間
犬鬼灯* 狗尾草* 紫苦菜* 溝底の宴(うたげ)
ーー* 漢字一語扱い、 合計9語
令和元年 9月4日
<10首>
ちょろっちょろ 黒影素早 朝の庭
守宮(やもり)の子 寝惚け眼で* 飛び出したの?
ーー* 守宮は、夜行性
幼きは 誰でも可愛い 守宮すら
狗尾草 何処も 彼処も 狗尾草
胡瓜初生り まだ生りおりぬ 巨大振り
他の実の生(せい) 一身に受け 巨大化胡瓜
ーー初生りだけ残し 他や果てぬ
お化け胡瓜 思わず漏らしぬ その巨大さ
ズッキーニも驚くらむ 彼(か)の胡瓜
白小花 紅も混ざりぬ 誰(た)ぞ 彼は
まあっ 白萩 枝枝垂れつ咲きぬ 秋さる哉
令和元年 9月5日
<13首>
ぬるぬると 這い出づ 蛞蝓(なめくじ) 朝涼し
もうこんなに 大きくなりましたと 小蛞蝓
先月は 1センチ許りの 小さきが
ーー過日 用水路の壁に垂るる
仙人草を思い出しつ
仙人草 四片(よひら) 挙りて 夏草覆いぬ
仙人草 懸崖〔菊〕の如 花蔓絡み垂れぬ
悉く 刈り取らるる野草 哀れ
仙人草も 同じ運命 ああ 悲歎
ーー仙人草は 我(あれ)が好み
それから 一度 我(あ)が庭に ひょっこりと
それからは 仙人草見ぬ庭続きぬ 哀
もう出合うことなきか と諦めおりしが
仙人草 また 我(あ)が庭に 今秋の幸
疎らなり 藪蘭の実 濃紫の
大犬蓼 優し気な風情 初秋の庭
令和元年 9月6日
<11首>
水引きの花 此方に 紅 彼方に 白(/銀)
待つ宵草 一輪 黄色が 初秋の朝
何(な)の実生え 路縁溝底 初秋の朝
もしかして 合歓(ねむ)? 複葉羽状に開きおり
触(さわ)られど 眠らぬ合歓の葉 秋の朝
親の樹は? 見渡せど見ぬ 実や何方(いずち)から
一 二 三 (ひいふうみい)実生え 秋草に混じりおりぬ
万華鏡の如 映えぬ 白露 秋の朝
梅雨消えぬ 後 輝きぬ 秋の朝日
源平小菊* 小さき叢 三つ 懸崖**の如
ーー*漢字一語扱い(4語)
** 懸崖菊
白き月 夕空に淡き 茜雲
弦月の映えるる 秋の宵 未(いま)だ
輝きぬ 弦月の宵 今 秋の小夜
秋梅入(あきついり) 過ぐれば 炎暑 予報通り
熱暑 酷暑 残暑 何時まで続くやら
約三寸 実南瓜の 差し渡し
残暑にも 髭蔓伸ばしぬ 二羽の南瓜
蔓南瓜 南天に絡みぬ 実生りたり
実南瓜 涼しや 南天の葉叢影
我(あれ)が庭 やがて 南瓜の葉叢に
亦出会えり 大犬蓼の 優しき花穂
ーー今月5日 一輪見たり 久し振り
この度の 返り咲き* ひっそり優し
ーー*カムバックの意
先の年 大犬蓼* 席巻 我(あれ)が庭
ーー*漢字一語扱い
令和元年 9月8日
<11首>
ガーベラ 一輪 何方見遣るや 秋の夕暮れ
オキザリス 暗紅紫の葉 秋の夕暮れ
窓辺の灯 郷愁誘いぬ 何程は
垣の蘖(ひこばえ) 悉く伐られぬ あぁ悲歎
姫昔蓬(ひめむかしよもぎ)野
姫とは見えぬ 猛々し秋
仙人草 求めば黄昏 何処いらまで
仙人草 花叢消えぬ 小さきが疎ら
白花と見氏や 白銀に映えぬ 秋の葉叢
この熱暑 鶏頭(けいとう)*花頭 も 熱暑色
--*秋の草花の名
夕焼け空 野放図に揺れる枝 百日紅
未だ午下四時 もう迫り来ぬ 秋の夕
令和元年 9月9日
<20首>
燃えるような 鶏頭の花 弥(いよ) 燃えぬ
濃紅の 鶏頭も 喘ぐや この熱暑
瑠璃虎の尾 秋風に揺るる 定めなく
春見たり 見覚えのあり 実生えなり
盗人萩野 通り抜けるや 実くっつきぬ
昨年(こぞ)の秋 盗人萩果実 我(あれ)が庭
見たり 盗人萩の花(か) 我(あれ)が庭
七重八重 羽状の葉叢 秋優美
繊細 華奢 羽状複葉 汝(な)や誰(たれ)ぞ
何の秋草 首傾げつ 楽しみ一つ
小落胆*(こがっかり)栴檀草(せんだんぐさ)と 知りぬれば
ーー* 小寒い 小甘い 小急ぎ‥を捩って
仙人草 樫(かし)の樹の頭(かしら)に 花飾り
驚きぬ 仙人草や 木登りとは
仙人草 蔓草なれば 宜(むべ)なる哉
金水引き 仙人草 盗人萩 我(あ)が庭の三種*
ーー*秋の七種に倣って
痩果(そうか)彼(あ)の くっつき虫とは 異なる風姿
秋の野遊び くっつきむしの 三つや四つ
今は懐かし 秋衣を離れぬ くっつきむし
オナモミの果実と知れり 彼(か)のくっつきむし
彼(か)の果実 壺状 逆鉤 鏤め 強面
令和元年 9月10日
<10首>
薄の花穂 吹き越す秋風 爽やかな
尾花 もう三分小穂 袖振りぬ*
ーー*芒の別称:袖振り草
燕 軒下に糞も 巣もう空っぽ
夕空を飛び交う 燕等 見ぬ寂し
薄紅の虎杖(いたどり)の花穂 雄や雌や
虎杖 花穂 円錐形に 満(みつ)に付け
針槐(はりえんじゅ) 消滅 鼬萩(いたちはぎ)隆盛
どちらも豆科
ーー崖に生う樹木伐採され砂防壁に
鼬萩群生
日日花(にちにちか) 白花涼し 残暑中
秋茜 一匹 水平飛行 夕空を
また一匹 スライディングしつ 飛び去りぬ
令和元年 9月11日
<12首>
白百合 何処(いずこ) 暫く見ぬ 心(うら)寂し
クルッ クルルッ あの鳴き声 山鳩? 土鳩?
ポロッ ポロロォ~ あの鳴き声や ラヴ・コール?
米産山牛蒡 伸びに伸びぬ 丈二米
百日紅(さるすべり) 更地に蘖? 紅紫花
遠見には 白黄泡立つ 花房 房
何の花房 空地に鮮やか 白花房
白き 花房 夫々突き出し 垂(しだ)れおり
白膠木(ぬるで)とは 初耳 樹や彼方此方見(あちこちみ)
白膠木の葉 瘤瘤や 虫の宿とは
気触(かぶ)れそう 葉やおどろしや 瘤瘤の
紅葉せば 白膠木の錦 想わるる
令和元年 8月12日
<15首>
露草茎 節 折れ折れつ 伸ぶ不思議
津よ草や 臥し上りぬ 苞葉も
少しバカr 青藍花 覗きぬ 苞葉から
露草苞葉 二枚貝の如 きっちりと〔閉じぬ〕
見る度に 蝶形花 増しぬ 盗人萩
盗人萩 蝶形花揺れ 群舞かな
此方も彼方も 盗人萩の 淡紅花野
小灰蝶(しじみちょう) ひらひらひらら
残暑の舞い
何処からか 紋黄蝶も 秋の舞い
もう一匹 小灰蝶(しじみちょう)舞い来 秋のデュエット
波揚羽 我(あ)が目掠めぬ 秋の空
胡蝶らよ なんと覚えぬ この熱暑
山牛蒡 若きや 素朴 お茶花に
山牛蒡 闌ければ 黒紫実 おどろおどろ
山牛蒡 伸ぶ 縦横無尽 茎も葉も
令和元年 9月13日
<8首>
熱帯夜 終わりぬ 昨夜(きそ)や 秋漸うに
夜来の雨 熱暑冷ましぬ 秋梅入(あきついり)又
切れ葉野葡萄 浅緑の実塊 熟す待つや
月下美人 朝の姿やしどけ無き
柿の樹も見も見ぬ候ぞ 身に沁みぬ
小さき拳骨(げんこ)のまま 果てぬ 実南瓜
見つけたり 南瓜の実 我(あ)が錯覚?
いえ 実(まこと) 実や 葉蔭にちょこなんと
令和元年 9月14日
<11首>
秋桜 ぱぁ~と晴れやか 夢見の秋
甘酸っぱき この香(か)や 何処から 金水引き
紅紫の花穂 すきっと 群立 角虎の尾の
思いっきり 伐られぬ 芙蓉 もう蕾
小さき葉 小さき蕾 凛々しき哉 芙蓉
白花嫁菜?いえ 源平小菊 紛らわしき秋
御所水引き 出会えり 秋の小逍遙
刈り込まれり アベリア生垣 もう青青
白小花 二・三輪 アベリア青垣
紫露草 蕾一つ 擡げぬ 時知らず*
ーー*紫露草の花期は初夏
夕逍遙 帰路や 漸う秋の風
令和元年 9月15日
<14首>
蔓穂(つるほ)や此処に 先の出会い 夏花壇
姫昔蓬 すっかり枯れ色 綿毛までも
姫昔蓬 枯色の風姿 身に沁みぬ
詮方なき 秋の気怠さ 身に沁みぬ
名月に 月見ぬ空(むな)しき 尾花もや
名月や 無月や空(むな)し 尾花もや
仲秋の名月に 唯 星一つ
お供えもの 無くば 名月も 雲隠れぬ
令和元年 9月16日
<11首>
蔓草や 吹かれ絡みぬ 秋風に
秋逍遙 一陣の風も 爽やかな
吹き抜きぬ 秋風の 強きに 驚きぬ
日日花(にちにちか) 花弁散り 胡蝶の舞い
胡蝶舞いぬ 日日花の散り姿
折鶴蘭 新葉幾重も 垂れ垂れぬ
懐かしき 折り鶴蘭の 新葉姿
藪蘭斑入り 淡紫の花茎 幾つもが
帰り来れば 紅芙蓉 窄みおりぬ
十六夜(いざよい)や 月も星も見ぬ 身に沁みぬ
風の音 十六夜の宵 間歇音
」
令和元年 9月17日な
<14首>
紫苑 丈高々な 秋の空
丈高々 何を遠見の 紫苑花
一・二・三(ひい・ふう・みい)・・
花茎林立 紫苑群
丈高き 茎紫苑 我(あ)が丈越えぬ
茎丈高くも 小花の集まり 優美な紫苑
淡紫 野菊のような 紫苑の 茎頭
茫茫の 草野となりぬ 夏花壇
よく見れば 犬蓼 水引 狗尾草* 処処
ーー*漢字一語扱い(合計:7語)
サルヴィア 萎れ枯れ哀れ 夏の暮れ
燃え尽きたり サルヴィア 朱赤花 身に沁みぬ
向日葵(ひまわり)も ぐんにゃり 項垂うなだ)れおリぬ
白膠木(ぬるで)も もう枯れ花穂となりぬ 秋駆け足
紅芙蓉* もう凋みぬ 夕逍遙
ーー*芙蓉は 一日花なれば
唐胡麻(とうごま)の葉影 揺れ揺れぬ 秋風に
令和元年 9月18日
<12首>
昼残暑 朝夕涼しく なりぬれど
残暑 朝夕涼しくとも 酷!
ああ無念 南瓜の小珠〔実〕 果て落ちぬ
次々 咲きぬ 鮮黄色 皆雄花
次々と 枯れ黄色 葉南瓜
さわさわと 吹く渡る風 秋の野辺
大波 小波 揺れ揺れ渡る 秋の野辺
秋風に さんざめきぬ 野辺の千種
冷気知りぬ 一陣の風 秋の夕べ
無月過ぎぬ 漸うに 月煌煌
望月の欠きて 煌々 十八夜
肌と寒に 寝衣(ねい)掻き寄せぬ 朝まだき
令和元年 9月19日
<12首>
韮 もはや 実の塊となりぬ 秋
白銀色 葉蓬裏返えりの秋
秋桜 漸う 出会いぬ 秋というに
ぽっかりと 白花芙蓉 夕闇に
ぬっと浮かびぬ 白花芙蓉 夕間暮れ
午後五時過ぎぬ すとんとすっかり 秋の宵
柿また蘖(ひこばえ) 此度は存えむことを
ーー昨年伐採されり株に生いし蘖も
伐られし故
蘖の葉 産毛に覆われ 緑児(みどりご)の如
紫陽花枯花(こか) 暗紅の水玉 侘び寂びシック
花虎の尾 茜立ちたる 夕焼け雲
蒲公英や 窄み佇みむ 秋 寂し
令和元年 9月2日
<12首>
枯れ毬栗 ぼっかり 割れり 秋来たりぬ
他の毬(いが)や 未だ青きも 丸々大き
アベリアの白花 杉木立の奥に
紫陽花 花(か) 枯るるも紫陽花 色 色々(いろいろ)
暗紅 茶紅 浅緑 白* 皆 紫陽花の枯れ色
ーー*漢字一語扱い(合計7語)
早かりし 夕化粧 窄みたまま
此処(こちら)のは 真紅満面* 夕化粧
ーー⋆喜色満面を捩って
藪枯らし にゅうにゅ 巻き髭 アベリア垣根
藪枯らし 何処まで覆うや アベリア垣
静かなり 物皆 人も 秋の暮れ
静まれり 辺りや無音 秋夕暮れ
令和元年 9月21日
<10首>
実紫(みむらさき) 弥(いよ) 色付きぬ 秋闌
冷気沁む 身に沁むるる 今朝の秋
秋牡丹 三輪笑顔 蕾も亦
葉形 見れば 実(げ)に 孔雀草 マリゴールド
秋雨や 孔雀草の 侘び姿
マリゴールド あの輝く花色 今何処(いずこ)
驟雨(しゅうう)あり マリゴールド 色失えり
黄花コスモス 昨日(きそ)晴れやか 今日(けふ)如何
昨日(きそ)黄花コスモス 花茎 振り翳(かざ)ししが
夕闇に 沈み勝(がち)たる 黄花コスモス
令和元年 9月22日
<10首>
花南天 一・二・三(いち・にい・さん)輪 皆雄花
黒揚羽 大形優美 我(あ) 大好き
紋黄蝶 南瓜の黄花 栴檀草の黄花
寒(さぶ)! 冬衣探しぬ 彼岸の入り
驟雨あり 雫(しずく)滴りぬ 枇杷の葉の
辺り四方(よも) 薄墨の景 山里の秋
驟雨あり 秋の逍遙 阻まれり
ふと見れば 陽光煌々(こうこう) 秋の
なんとま 移り気な 秋の空
きらきらら 白露燦燦(さんさん) 秋千草
令和元年 9月23日
<19首>
栴檀草(せんだんぐさ) 手折られ きられぬ
ほんに哀れ
薄芙蓉 花色艶あり 青空映え
紅芙蓉 七輪 他は 咲き萎みぬ
蘖(ひこばえ)芙蓉 蕾ら まだそのまま
白萩花 もう散りぬるや 大風 怨(えん/うらめし)
月下美人 花散りぬれど 風姿 幽玄
花虎の尾 群生 愈(いよよ) 秋の勢
黄花コスモス 漣(さざなみ)の如 揺るる
秋風に
夏草も秋草も 混じりて繁し 山里は
曼珠沙華 黄白の花色 ネリネらし
血潮滾るが如 曼珠沙華赤花
恐れたるを忘れ 唯 懐かしき 彼岸花
吹き荒(すさ)ぶ 秋風や もう野分?
草薙ぎる 秋風 一陣 亦一陣
平伏しぬ 秋草に 猶 風一陣
大荒れの今朝 過ぐれば 秋空 莢やか
爽やかに澄み渡るる青空 秋麗ら
何処までも 青藍の空 秋日和
首ぐるり 何処まで広がる 鱗雲
令和元年 9月24日
<9首>
今朝」も亦 覗き窺う 南瓜果柄(かへい)
南瓜果柄 コルク化ひび割れ
収穫の時〔と知りぬ〕
久し振り 蟷螂(かまきり)蔦の葉蔭より
ゆっくりと 蟷螂 鎌上げ ご挨拶
この蟷螂 翅 瑠璃色 珍しき
今までの蟷螂 翅 浅緑ばかり
ひらひらと 秋蝶舞いぬ 庭の午下
枯れ紫陽花 花色 愈よ 秋色に
夏草の薹(とう)の立ちたる 我(あれ)が庭
令和元年 9月25日
<7首>
名上げれば 秋の花壇の 草花
ゼラニュウム 千日紅 ベゴニア 夕化粧
サルヴィア ジニア カンナ 黄花コスモス
サルヴィア 盛り過ぎたり 哀れあり
夕化粧花 黄から紅 粋や酔や
カンナ黄花二輪 集いぬ 笑顔あり
想い出しぬ 黄花カンナ 我(あ)が庭の
甘美か哉 ゼラニュウムの 濃桃花色
黄花コスモス 四方へ 花茎や 乱れ舞い
9月 26日から30日迄の句作を
喪失しました。
がっかり。。。
しょんぼり。。。
ご免なさい。
p。s。 室内 捜索中です。
令和元年 10月1日
<14首>
秋晴れや 行楽せむとて 半径200m
老いの身にや 行楽範囲も 縮こまりぬ
金木犀 芳香匂わぬ 秋侘し
金木犀 此処のも匂わぬ 老いのせい?
兎菊 ロゼット幾重も もう春備え
曼珠沙華 緋色 一輪 玉簾側(そば)
曼珠沙華十輪 芝生の隅
朝日映え 鶏頭花に 胡蝶の舞
朝顔や 大きく笑顔 朝日映え
楓の樹 色付き初むは 翼花らし
散り落ちぬ 白色槿花 朝日映え
淡べに芙蓉 大輪一声 朝日映え
花虎の尾 花から花へ 蜜蜂が
南瓜雄花 二輪 憂愁〔/有終〕の美?
令和元年 10月2日
<10首>
収穫の 南瓜食(は)むは 忍び難(がた)
実南瓜 御座布団(おざぶ)造りぬ 飾り棚
眺めては触れ 触れては 眺む 実南瓜
何時までも 南瓜の実や 愛でる我(あれ)
見た目より 重量あり 実南瓜
実南瓜 実りの秋の 一番乗り
淡紅芙蓉花 白萩の一弁(ひとひら)
白萩花 散り敷き詰りぬ 花絨毯
颱風逸れぬ されど 秋入梅(あきついり)
なんともはy 実の置き処無き 気怠さよ
令和元年 10月3日
<11首>
一夜明け 輝く許りの 秋の空
一夜一転 青空 煌々の秋
舞い去りぬ 胡蝶 爽やか秋の空
颱風逸れぬ 青空冴え冴え 朝の秋
秋の空 白雲浮きぬ 三つ 二つ
寂びれ行きぬ 我(あ)が庭の南瓜 もの寂し
南瓜の枯れ葉 レース模様の如
蔓や 未だ延び残るる 南瓜の
双葉もう 三つ葉となりぬ 南瓜実生え
二度目の秋 南瓜の実生え 我(あ)が庭の
紅葉し初む 彼方此方(おちこち)に 草木あり
令和元年 10月4日
<8首>
天高し 何処まで行けば 天の涯(はて)
蘖(ひこばえ) 芙蓉一輪 晴れやか 秋日和
露草花(か) 青色退色 秋寂し
盗人萩 淡紅花弁 鏤ばめるる野
縷紅草〔るこうそう) 橙黄花の野 秋野となりぬ
小菊鉢 千日紅に隣りて 秋の装い
植え込みの 向こう白花 曼珠沙華
小逍遙 青紅葉のまま 紅葉まだ
令和元年 10月5日
<11首>
また現れり 蛞蝓(なめくじら) 朝の窓辺
のったりと這う 蛞蝓 倍の大きさ
ーー先の出会いの
昼下がり 蛞蝓 何処 甘藍の珠の上
黄昏時 蛞蝓 ポリ袋に 身を置きぬ
ポリ袋 今夜のお宿? 蛞蝓
実紫(みむらさき) 紫の実 群れ熟しぬ
実紫 実や見事哉 色も艶
実紫 見るも麗し 紫の実
匂い立つ 実紫かな 庭の艶
夕日影 夕化粧には 午睡時
向日葵や 幽霊姿 秋の暮れ
令和元年 10月6日
<14首>
馬鈴薯 根を出しにけり 残暑中
白き根張る ジャガイモ 水栽培は 〔如何〕
残暑も 肌寒も 平気らし 馬鈴薯
栴檀草 葉姿繊細 秋庭の
栴檀草 葉複葉 幾重にも
もう一種 よく似たりが 独り 我(あれ)が庭
ーーアメリカ栴檀草らし
彼(か)の草花 よく見かけりぬ 秋の野辺
小黄花の 戦ぎぬ栴檀草* 秋闌(あきたけなわ)
ーー*漢字一語扱い(3語)
実や痩果 細長き線形 逆鉤付き
この痩果 くっつき虫なり 栴檀草の
昔のとは 似ても似つかぬ 落胆・・
彼(か)のくっつき虫 オナモミの実と知りぬ
くっつかれ 剥がすも痛し 幼き日
彼(あ)の日より 実くっつかぬ日 久しけれ
令和元年 10月7日
<19首>
毬栗(いがぐり)ぽっかり 開口 実や何処
毬栗 寂し気 巣立ち*の後の空巣の如
ーー*小鳥の巣立ち
落毬栗* 実の一つだに 無きぞ悲しき
ーー*落椿に倣って
点々なる 落毬栗の野 寂寂(せきせき)哉
盗人萩 もう莢果(きょうか)の秋 となりぬ
くっつき虫には 莢果 貧弱 この秋不作
何処(いずこ)のも 貧弱 貧相 莢盗人萩*
ーー*漢字一語扱い(3語)
姫女苑 春紫苑も 見たり 盗人萩の
胡蝶舞いぬ ひらひら何処へ 盗人萩野
此処もまた 盗人萩野となりぬ 秋逍遙
盗人萩 春 シャスター・デージー野なりき
野薊も果てぬ* 盗人萩や 秋の華
ーー*野薊の花期は5月~8月
彼(かれ)何ぞ 伐り株 白く塗りたてるる
茸らし 大きな伐り株 小さきが
紫苑の小苑 消ぬ今 小石の園
花床にニミニ宝石 藪枯らし
黄 桃花 橙も 藪枯らしの花色
落ち羽根 一本 ”落とし主” や誰(た)と 秋空を
咲き続きぬ アベリア垣根 秋の小径
令和元年 10月8日
<9首>
薄墨の空 不気味な 微風 颱風か
澄渡る 青空 颱風 来ぬ 安堵
廊下にや黒影 屈(こご)みたるままの
よく見れば 大形の蜂の亡骸なり
黄仮面着けりぬ きっと 黄色雀蜂
毎年初夏 彼(か)の大形 一匹 我(あれ)が庵(いお)に
暫く後 彼(か)の鉢 窓辺で 永遠の眠りに
去る年や 亡骸に添いぬ もう一匹
何故に 墓所に選びぬ 我(あれ)が庵(いお)
令和元年10月9日
<15首>
ぽっかりと 大口開きぬ空き巣 秋の空
燕(つばくらめ) 飛びぬゆっくり 巣立ちの飛行や
それとも 南へ旅立つ 名残のり旋回
金木犀 花も香(かおり)も 散りおりsぬ
金木犀 芳香来(こ)ぬは 花闌(たけなわ)*
ーー⋆闌には 盛りを過ぎたるの意味あり
古代紫 大輪の朝顔 圧巻かな
珍しき 雲一つ無き* 青き空 秋
ーー*秋空は 鱗雲鰯雲の賑わい
見渡せば 一片の 白雲無き 秋
谷間や 未だ深緑(ふかみどり) 夏の面影
手折られし 栴檀草伸ぶ 秋日影
欄干の元 菫の秋葉 少しばかり
花鉢に 秋蝶 舞いぬ ベゴニアの
胡蝶舞いぬ 何を求むや 秋の野辺
花酢漿草(はなかたばみ) 揺れるる 仄か 秋日和
柚子?橙? ネットの無きや 猿や来(こ)ぬ?
令和元年 10月10日
<10首>
想い出しぬ 緋色カンナ花 夕陽映え
花逍遙 草臥れるる先 花カンナ
大形の花弁(はなびら) 羽搏きぬ カンナ飛ぶ?
めらめらと 燃えるが」如 緋色カンナ
カンナ 咲き登りぬ 最後の花蓋(かがい)
カンナ花蓋 次々萎れぬ しどけなく
しどけなくも カンナ花(か) 何どか艶のあり
ーー カンナ 紫苑 背高泡立草を眺めつつ
秋の三種(みくさ)よ 七種に入らずとも
彼等(あれら)三種 大和の秋には 似合わねど
似合わねど 猶 麗しの 三種かな
令和元年 10月11日
<19首>
紫苑の小苑 淡紫の 夢世界
淡紫(たんし)の雲井 儚き淡紫(うすむらさき)
紫苑花 優美な風姿 高く高く
名や何ぞ 松葉牡丹似の 可愛い花
名や花滑莧*(はなすべりひゆ)〔=ポーチュラカ〕
何時見るも 笑顔愛らし
ーー*漢字一語扱い(3語)
秋空仰ぎぬ 花滑莧の無邪気さよ
赤 黄 橙 花滑莧 花色 色々
白 桃花 紅も それぞれ笑顔 花滑莧
花滑莧 松葉牡丹 何れも愛し 花姿
二番代目の 南瓜双葉 もう 縮み織
二代目の 南瓜蔓や もう 横這いに
尾花戦ぎぬ 七尺豊か 大空に
しなやかに 尾花の細身 風に揺れ
微風(そよかぜ)に 尾花群れ咲きぬ 野辺の景
睦み合い 戯れ戦ぎぬ 尾花の小穂
背高泡立草* 尾花と並びぬ 背比べ
ーー*漢字一語扱い(5語)
花観賞 紫苑の背高きに 背伸びつつ
令和元年 10月12日
<17首>
嵐 激し 閉め捲りぬ 我(あれ)が雨戸
寝覚めれば また 大嵐 真っ只中
微睡(まどろ)みて目醒めれば 朝 驚きぬ
朝ぼらけ と覚えるるは 我(あれ)の勘違い
見渡せば 辺り まだまだ 昼下がり
これも大嵐襲来のなせる業
ーー大嵐で自律神経症悪化
大嵐 此方 プレリュード(序曲) 上陸や東日本
止みたると想うや 猶 吹き荒びぬ 大嵐
降らず降り上がりぬ 雨脚 大嵐
吹き荒ぶ 大嵐 狂乱の舞い
弱りつも 嵐未だ 不気味な唸り
時折の不気味な唸り まだ まだ まだ
大嵐 余韻続きぬ 何時までや
大嵐去るるも 四方(よも) なかなか 鎮まらぬ
嵐去るも 夕焼け雲や 何処か不気味
嵐過ぎぬ 辺り静かな 秋の宵
颱風一過 四周沈沈 秋夜哉
令和元年 10月13日
<9首>
ーー大嵐の明くる朝の気色を詠める
それにしても 静かな 静かな 秋物語
穏やかな ほんに穏やかな 秋の庭
静穏な 秋の庭かな 尾花見得
打ち拉がれるる 庭の千草も 秋蝶も
微風(そよ)に 戦ぎぬ秋草 静やかに
嵐過ぎぬ 愈(いよよ) 侘しき 秋の庭
蓬生(よもぎう)の庭の蓬も 朽ち 腐(くた)りぬ
颱風一過 薙ぎ倒されり 千草哀れ
背高泡立草 頭垂るるも 黄花穂 鮮やか
令和元年 10月14日
<11首>
少しずつ 紅葉し初みむ 花水木
花水木 葉より雫(しずく) 嵐の名残
想い出しぬ コスモスの丘 君と二人
秋桜* やはりひっそり 鄙の景
ーー*コスモスの和称
秋桜 やはり秋野に 花壇より
年毎に 寂しくなりぬ コスモス花
コスモス何処(いずこ) 此処も彼処も 姿見ぬ
薄もや 年年 姿消し行きぬ 寂し
コスモスも尾花も 疎ら 山里侘し
黄金に揺るる 花穂かな 背高泡立草*
ーー*漢字一語扱い〔5語)
絢爛哉 黄花穂の群れるる
背高泡立草(せいたかあわだいそう)
令和元年 10月15日
<8首>
路の縁(へり) ころりん 何(な)の実 バされる
花梨(かりん)の実
まだ青きが 吹き飛ばされたか 花梨の実
ーー前日は大嵐
柿の実は 嵐にめげず 枝(え)離れず
柿の実や 薄っすら色付きぬ 山里の
花虎の尾 萼穂 青青 別の景
縷紅草(るこうそう)花 フェンスに一斉 久し振り
風一陣 慌て窄めぬ 秋日傘
ほろほろろ 吹かれ 落葉や 転(まろ)び行きぬ
桜蘖(ひこばえ) 紅葉 枯れつつも
令和元年 10月16日
<8首>
青団栗* 吹き飛ばしぬ 嵐 無情
ーー⋆団栗の未だ青き実
菫の葉蔭 青団栗 肩寄せおりぬ
盆の上 団栗 小さき秋の景
ーー 十五夜の前の月影を見上げつつ
満月や 煌々 十月十四日
真ん丸い これほどまでの 満月とは
満月 くっきり 兎や見えねども
満月 玄妙哉 秋の小夜
満月 未だ煌々 朝ぼらけの前
零羽元年 10月17日
<12首>
大嵐 幼な南瓜 打ち拉がるる
今朝の朝日 幼な南瓜への 鎮魂歌
初生りの君〔南瓜〕や 泰然 飾り棚上
戻り来(き)ぬ 残暑の如 黄花穂陽光
ーー背高泡立草への燃えるような黄花穂
下午の日影を眺めつつ
背高泡立草 黄花穂 寂し気 群小さきに
そう言えば 尾花も 何(など)か 寂し気な
願わくば 去年(こぞ)の秋や 今一度
背高泡立草* 尾花 追いつ追われつ 共倒れ?
ーー*漢字一語扱い(5語)
両者には 平和共存を 願わくば
あっ くっつき虫 上衣に五つ 秋の証し
切れ葉野葡萄 実見ぬに 落ちたるは
嵐の所為
溝の底 尾花が苑となりぬ 今
尾花 次々 揺れ続きぬ 溝の底
令和元年10月 18日
<14首>
青紫蘇や 蕾穂も 萼穂も 時知らず
半アーチ 背高泡立草描きぬ 秋の空
生垣向こう 何やら 橙色 実ピラカンサス
柿の実や 高き梢に 存えりぬ
一の手の届かぬ 柿の実 熟しぬ あかあかと
姫昔蓬 狗尾草 背高泡立草 整地に 勢揃い
姫昔蓬 白毛抱くも 屹然と
酢漿草(かたばみ)や 黄花散らしぬ 秋見るや
酢漿草黄花 春花と 知りおりぬll
酢漿草群 小苑の小島 浮かべ折りぬ
たんぽぽ一輪 時節違えりぬ 今や秋
驚きぬ たんぽぽ八輪 未だ蕾も
令和元年 10月18日
<20首>
飛び来たり 鵯(ひよどり) ちょっくり 柿の樹に
枝移り鵯 冠羽縦 首傾げぬ
柿の実何処 鵯すっかり 託ち(かこち)顔
柿の実 見当たらぬ 鵯(ひよ)見当はずれ
鵯汁や 実皆何れも 渋柿と
悉く 実や捥ぎ取らるる 人の手で
渋柿や 捥がれ 剥かれて 吊るし柿
干し柿は彼処 教えようか 教えまいか
干し柿に 気付かず 鵯(ひよ)飛び去りぬ
天高き 地ぶるると寒き これぞ秋
見渡せば 何処(いずこ)も静か 秋の情
夏草や あれ程の勢 今何処(いずこ)
枯れ行きぬ 夏草の園 物侘しき
黒影の 幽霊の如 枯栴檀草
登り来(き)ぬ 蟻も もう見ぬ 栴檀草
背高泡立草 尾花と共演 秋の苑(えん)
花滑莧 日日紅 万寿草* 秋の寄せ植え 三つ
ーー*漢字一語扱い(合計9語)
秋野歩めば 小さきお土産 くっつき虫
三角形の実 汝(な)の主(ぬし)や 盗人萩
くっつき虫 除きぬ 指の 痛き哉
令和元年 10月20日
<12首>
まっ 見事 日輪の如 南瓜黄花(きか)
この一輪 ほんに 有終の美 南瓜の
芙蓉一輪 咲き残りぬ 淡紅の
芙蓉の実 花盛りの如 結び揃いぬ
落葉」一葉 可笑しな動き 玩具の如
ぎこちなく 動きては 止まりぬ 彼(か)n枯れ葉
落葉被りたる 小虫の動きにも 似たり
秋風に 花酢漿草(はなかたばみ) 百輪
揺れぬ
嫁菜独り 秋の侘しさ 優りけり
露草も 一輪咲き残りぬ 溝の縁(へり)
あらっ 此処は 露草の小叢 花盛り
その真中 薄紅花茎 盗人萩の
令和元年 10月2日
<10首>
見つけたり 垣根の上下 毬栗を
毬栗や 点点 落ちるる 垣根上
青きまま 枯茶も 毬栗 垣根上
垣根下 毬栗枯茶 口ぽっかり
梢に塊り 生りぬ実 彼(あれ)や誰(た)ぞ
団栗を 樫の梢に見るとは まぁ
団栗は 拾うものと 覚えしが
団栗や 樹の上も好し 下も好し
団栗を少し拾いぬ 棚の上
団栗や 実りの秋の 棚飾り
令和元年 10月22日
<15首>
小さきが 亦 現れるる 蛞蝓(なめくじら)
間違いぬ 小麦粉 塗せり 蛞蝓
ぬるぬると 小麦粉外しぬ 蛞蝓
探すれど 姿や何処(いずこ) 蛞蝓
心配しぬ 三日前の 窓辺の出来事
まっ 大きくなりぬ 蛞蝓 先の倍*
ーー*三日前の姿より
安堵せり 立派な姿に 返り咲き
夏蔦や 一葉紅葉 崖に這いぬ
南天の照葉(てりは) 朱 赤 扱き混ぜぬ
朱赤映え 南天照葉 朝日の宴
ひらひら舞行きぬ 秋蝶 何方(いずかた) へ
遠見みには 紅葉まだ僅か 桜並木
桜紅葉 佇みぬ佳人 精霊
昨夜(きそ)の雨 夏草千草 蘇るる
秋の雨 草木(そうぼく) それそれ 生 生
令和元年 10月23日
<12首>
剪定の時機 逸せば 来春咲かじ 紫陽花 花(か)
何時までも愛でれば 枯紫陽花の 明日や無し
想い立ちぬ 枯紫陽花の 茎払いぬ
枯花茎払い すっきりするも 哀れあり
枯紫陽花 拾いぬ花瓶の 花と為しぬ
不思議な景 背高泡立草や アーチの姿形
また一輪 日輪のような 南瓜花
咲き残りぬ 花南瓜 三輪目
蜂一匹 南瓜雄花 知らぬ気な
蜂飛び来も 雄花や花粉 未だの様
公孫樹(いちょう)の葉 繁るも 未だ青葉のまま
鶴瓶落とし 黄昏と見しや 夜の帳(とばり)
令和元年 10月24日
<15首>
不思議の景 背高泡立草*の花茎 アーチの姿形
―-*漢字一語扱い
花茎のアーチ 潜るる 秋蝶 嵐の所為
背高泡立草 垂(しだ)れのアーチ 嵐の所為
金木犀 芳香仄か 此方にも
金木犀 樹下に佇む君 何(な)想うや
そこはかと 秋の芳香 何処から
膨(ふく)よかな香(かおり) 金木犀花 遅れ咲き
夏草枯れ 秋草 愈よ 山里は
黄花コスモス どこかそぐわぬ 大和〔日本〕の秋
辺り辺り 黄花コスモス許りや 花盛り
何処までも 冴え渡り静 秋の小夜
彼(か)や 蟋蟀(こおろぎ) 彼の音聴かぬは 久しけり
一声も 一音も聞かぬ 蟋蟀 寂し
昔日や 秋の夜長 聞きし 蟋蟀の音
ーー幾年も前 この山里へ引越しし折
蟋蟀の音 よく聞きしが
蟋蟀よ 何処(いずこ) 声聞かぬ夜の 寂しき哉
蟋蟀の声 聴かぬ小夜こそ 寂しけれ
令和元年 10月25日
<15日>
実南天 仄か色付きぬ 秋思色
肌寒哉 思わず 擦るる 掌(たなごごろ)
うらぶれし 我(あ)が庭 愛し 秋深し
明くるると 想えば 暮るる 秋深し
霧雨や 尾花垂(しだ)れぬ 雫や連
夏草枯れぬ 秋草 愈よ 山里は
尾花小穂 垂れ垂(しだ)れぬ 昨夜(きそ)や雨
馬酔木(ばすいぼく) 花穂 挿頭しぬ 愁思ありや
背高泡立草* 秋の向こうに 見え隠れ
ーー*漢字一語扱い
背高泡立草 などか悄然 秋愁い
秋燕 もう南国へか 今朝や見ぬ
彼(あれ)雀 素早く飛び行きぬ 秋の朝
どんよりな 空四周 薄墨 秋愁い
静やかな 秋の名が世や 静やかな
何処までも 冴え渡る静か 秋の小夜
令和元年 10月26日
<10首>
夜霧の残り 朝日映えや 秋の情
雨空や ぽとり滴る 秋苑(しゅうえん)
そぼ降る雨 秋蝶 宿りや何処に
実紫(みむらさき〕 葉枯れ落つるも 実紫
—-実の色が、秋 紫になるが
名づけの由来
実南天 愈よ 赤るる 山里かな
仄明るる昼下がり 明日や 秋晴れ
四方八方 白ね にゅうにゅう 窓辺のジャガイモ
茎すらり もう三寸余 幼葉五つ
昨日まで 一寸法師の茎 ジャガイモ
ぬらりぬら 蛞蝓(なめくしら)も 自然観察に
令和元年 10月27日
<12首>
秋蝶 秋日傘に舞いぬ 秋日和
嫁菜もう 多輪となりぬ 山際かな
秋牡丹 四十余輪 今盛り
花やかな 花酢漿草(はなかたばみ) 花盛り
西洋撫子*の植え替え 川原撫子も
ーー*漢字一字扱い
あな 哀し 咲かねば抜れり 万寿菊〔マリゴールド〕
何故に 咲かぬか万寿菊 葉許りに
ちらほらと 見え隠れ 野路菊の群れ
ーー草深い山際で
姫津垣〔山茶花〕 もう咲く候らし 紅八重の
古株に 這う夏蔦にも 紅葉一葉
咲き残りぬ 淡紅芙蓉 小さくとも
パラッパラ 驟雨や打ちぬ 尾花らを
令和元年 10月28日
<10首>
何処からか 焚火の匂い 懐かしき
掻き集むる程の 落葉見ぬ 山里に
もしかして火事? 辺り見回しぬ 無粋な話〔こと〕
焼き芋の こんがり黒焦げ 今や懐かし
ミントの実萼 暗紅付きぬ 秋闌
紅水引き 触らなば 散りぬ 秋闌
零れ来る 日差しや秋の 香の匂う
秋日和 海 山 野辺 へ 夢*行楽
ーー⋆または 白昼夢
晴天を 無為に過ごしぬ 秋一日(ひとひ)
空高し 今季一(いち)の 秋日和
令和0元年 10月29日
<8首>
秋日和 行楽日和 玻璃戸拭き
昨日(きそ)秋日和 と思えば
今日(けふ) 秋入梅(あきついり)
青空急転 じめじめ しとしと 梅雨の如
夏草千草 枯れ果ておりぬ 秋の野は
あんなにも 青青繁茂の 夏草が
日日寂れ 枯れ行きぬ 夏草や 哀悼
荒涼たる野 雄花残りぬ 一人天下
盗人萩も ぽつねん 荒れ野に 咲き残りぬ
令和元年 10月30日
<11首>
唐胡麻 葉や枯れ行きぬ 黄と緑の縞模様
石蕗(つわぶき)や 黄花映えぬ 草叢の
夏蔦や 段々に紅葉 秋深し
音も無く 流る溝水 落葉縫いつ
流るる水 光るる溝底 秋冷
草も木も 深深(しんしん)哉 秋深深
柿?柘榴? 彼(か)の朱赤の果実 崖の上
ミニ薔薇 揺れ震えるる 冬隣り
ベゴニア花 溢るる許り 白と薄紅
柿の実は付き 淡柿色のまま 路の縁
蜜柑も 一つ 淡蜜柑色が 溝底に
先日の大嵐の所為? 猿の仕業?
令和元年 10月31日
<13首>
彼(か)の烏瓜 何処へ此処崖に 実垂れぬ
烏瓜 赤橙色の実 崖の彼方此方(あちこち)
烏瓜 枯れ蔓にぶらり 朱橙の実
ぶらりゆらり 楕円の朱橙 烏瓜の実
種子(たね) 結び文のようよ と君の言う
ーー昔日 出会いし黄烏瓜を
想い出しつ
黄烏瓜 花冠フレアー 胡蝶の舞い
一見一瞬 夢の世界へ 黄烏瓜花
黄烏瓜 白花 幽玄 朱夏の宵
一夜花* 黄烏瓜の 儚きことよ
ーー* 宵から明日に咲く花故
一日花の倣って
繊細な 花冠の白糸 縁(へり)飾り
黄烏瓜 絡み乱るる 白糸 優美
令和元年 ⅰ1月1日
<12首>
巣 一畳 女郎蜘蛛の 朝日映え
蜘蛛の網 こんなに見事な 見たことの無く
朝蜘蛛や 吉兆と覚えぬ 何の前兆
御多福南天*紅葉の葉重ね 朝日映え
ーー*漢字一語扱い
長葱や すらり すらり 一文字(ひともじ)*書き
ーー* 一文字は 葱を指す
女房言葉
長葱 青青 長鉢の胡瓜 枯るるとも
韮 すらり 鉢の草叢 子鬼田平子*の
ーー*漢字一字扱い
韮と新月 神無月の 月見かな
新月に おいで おいでの 尾花かな
雲と月 神無月の 鬼ごっこ
新月と見しや 隠るる 神無月
秋の長夜 唯 新月や ひっそりと
令和元年 ⅰ1月2日
<10首>
韮の花 咲き継ぎおりぬ 春 夏 秋
韮小白花 小珠〔実〕造りや 朱夏の事
花冠寄りて韮 秋風にぞ揺るる
柿の実や 飛ばされ転び 轢かれ 哀れ
木漏れ日の 揺るる坂路 秋深し
小菊 古代紫 晩秋映え
露草の苞葉 いまや種子(たね)抱きぬ
懐かしき ヒマラヤ杉や 秋深し
桜紅葉や 未だらし 待ち遠し
令和元年 ⅰ1月3日
<18首>
柿紅葉 実と見紛いぬ 照葉かな
犬蓼や 花穂垂れ 鳥渡 物侘しげ
白芙蓉 独り残りぬ 晴れやかに
山牛蒡 しどけなき風姿 幽霊立ち
朱橙の実 野薔薇の実 晩秋の実
白壁や 夏蔦紅葉 一夜にて
柿蘖(ひこばえ) 瑞々しき 葉姿かな
一度(ひとたび)は 伐り取られぬ 柿の蘖が
白 紫 碧 瑠璃 野葡萄の果実色
異(い)な邂逅 白花縷紅草(るこうそう) 晩秋の野
あれは初秋 久し振りの邂逅 縷紅草との
山葡萄 紅葉と枯れ葉 冬隣り
山葡萄 熟し実残りぬ 三つ四つ
柄 朱赤 実 灰黒紫 山葡萄 妖気
朱黄の薔薇 胡蝶舞きぬ 秋深し
夏草枯れぬ 更地は今や 荒れ野かな
クローバー 小叢残りぬ 枯れ草叢
其処此処に クローバー叢 見たり 枯れ草叢
令和元年 11月4日
<8首>
明烏 二羽飛び去りぬ 初冬の朝
ひんやりとも 沈みぬ朝風 神無月
冬衣 もう一重(ひとかさね) 冬隣り
青青青 冬草 愈よ 生生生
哀れ 実紫(みむらさき) 実も葉も萎れ果てぬ
今秋や 花も草木も 萎れ顔
愈よ 寂寥 何処からか 初冬の調べ
紅葉せり 花水木が 我(あれ)が庭
令和元年 11月5日
<8首>
空見れば 青色一色 秋一色
春よりも 青き天空 白秋
白秋の 青空見るは 無上の贅(ぜい)
猶 匂いぬ 焚火の匂い 秋の匂い
木枯らしの声聞くや 身縮かみぬ おぉ 寒(さぶ)!
木枯らし茶* 紅葉とは異なるる 趣あり
--*橙色がかった焦げ茶色
べい水引き 散れば 愈 寂寂 我(あれ)が庭
一畳の巣も 女郎雲も消ぬ 今朝
昨夜)きそ)の風 飛ばされたらし もの哀し
ふと見れば 蜘蛛の巣新た ミント叢
小さくも 複雑な綾掛け 蜘蛛の網
前よりも こじんまりな巣 朝日映え
蜘蛛の巣も 小さくば 飛ばされまじ と
令和元年 11月7日
<11首>
其処此処に 小菊 お目見得 漸うに
小菊咲きぬ 白 黄 淡紅 色々に
南天実総 朱赤に映えぬ 冬隣り
照葉美し ともども 実総も 南天の
木枯らし一陣 スカーフ吹き飛ばされぬ
びゅう~びゅう 木枯らし あっ スカーフが
半月 煌々 花薄の穂映えぬ
半月や冷え冷え 映えぬ神無月
半割れの 煎餅のような 半月哉
半月に 兎の影無き 神無月
白雲の 闇夜明るる 叢雲かな
令和元年 11月8日
<10首>
野葡萄 愈よ 黄葉 黒紫実 の個室
石蕗(つわぶき) 黄花 もう見たかや 初冬景
枇杷の花 一房 蕾ちらほら
毬栗 ころりん 独り 路の縁(へり)
小菊咲きぬ 枯れ紫陽花 躑躅忘れ花
枯れ毬栗許り 山里の辺(ほと)り
松毬(まつかさ)は 空(くう)眺めぬ モアイ像
盗人萩 莢枯れ 枯色 広がりぬ
黄蔦伸びぬ 日溜まりの 石垣に
吹き寄せられう 団栗 皆んな 日向ぼこ
令和元年 11月10日
<15首>
晩秋の空 かくも青く高く とは
吹き寄せられぬ 落葉に 紅葉のままが
南天照葉 実総も亦 紅葉色
晩秋は 烏羽色(からすはいろ)も 紅葉色
柿葉(しよう)紅葉 愛でる間もなく 落葉せり
柿紅葉 暫く待たなむ 落葉を
実も葉も落ちぬ 枝(え)透かしぬ 柿の枯れ樹
—-花水木を眺めつつ
紅葉の 紫立ちたるや 冬隣り
鈴生りの 実早乙女花や 金茶色映え
早乙女花も 実総となりぬ 秋の暮れ
窓辺にや 灯一つ 秋の暮れ
虫の声も もう聞かぬ 今宵ぞ寂し
令和元年 ⅰ1月11日
<15首>
縦長の巣 亦 蜘蛛張りぬ 今朝
網に枯れ葉蛾 捕られたのと 見れば枯れ葉
蜘蛛の網 点点と 卵や塵や 何れ
巣の主を 見ぬば如何 誰に問わむ
物皆 などか鎮まりぬ 冬備えや
懸崖も 菊鉢も見ぬ 今秋
寂しき哉 菊見ぬ 菊ぞ 秋の華(か)
紅葉には 黄葉 橙葉 紫葉もあり
夏蔦や 浅緑 黄 橙 朱 暗紅* 五色蔦
ーー*漢字一字扱い
五色蔦 夏蔦の別称 宜(むべ)なるかな
裏山は 深緑のまま 紅葉まだ
亦拉(ひしゃ)げり 柿色果実 路の縁(へり)
この度は 蜜柑の実 拉げたは 誰ぞ
蜜柑咥え 且 落としぬとは 如何こと
遅咲きの 花薄 そっと 小穂揺らしぬ
令和元年 11月12日
<11首>
青葱 の太きが にゅうと 天を突き
拉げられ 飛び出しぬ 種子(たね) 柿の種子?
やはり 柿 翼見れば 柿 路上の種子
伐り払われぬ 別離の調べも 聴かぬ間に
ーー*家 敷地が更地となりて
見つけたり 白雪の叢 盛りやこれから?
また会えり 淡紫 の菊の叢
花水木 枯れ木にも蕾 冬越え如何
姫柘榴 橙黄色の実 艶のあり
姫柘榴 実開くも 鳥渡 御ちょぼ口
もう実の 枯れるるもあり 姫柘榴
令和元年 11月13日
<11首>
御多福南天 紅葉に 朝日映え
木通(あけび)枯蔓 若葉嫩葉や もう芽生え
何の実ぞ 梅に似たるも 葉や違(たが)いぬ
実や青き 熟せば何色 秋の暮れ
黄 橙 朱 赤 紫* 実や何れか 秋の趣
ーー*漢字一語扱い
筆先のような苞葉 抱くは 何の花
葉落ちぬ 柚子 でこぼく 熟し実見せぬ
石蕗(つわぶき)黄花 夫々咲き出づ 鉄柵抜き
野葡萄や 葉枯れ行くも 蔓猶伸びぬ
空青み 秋深み 趣(おもむき) 深む
ひんやりと しっとりと 秋深み行きぬ
令和元年 11月14日
<12首>
まぁ 昼顔の と見し花園や 夢世界
甘藍や 葉 ぱ~と広げぬ 夏以来
甘藍や 葉重ね捲くは 何時のこと
甘藍や 珠菜(たまな)と呼べるは 何時
葉蔭に 実 艶(つやや)な緋色 万両の
奥向こう 橙色の実 彼(あ)や千両
万両も 千両も 冬告果実(ふゆつげかじつ)*
ーー*鶯の別称 春告げ鳥 を
捩って
草刈れば ミントの香り 我(あれ)が庭
刈られても 猶 繁し哉 スペアミント
何処からか 何時からか ミント我(あ)が庭へ
煙(けぶり)立ちぬ 晩秋の庭 もの侘し
裏山も 彼方此方紅葉 目に付きぬ
令和元年 11月15日
<10首>
小菊 漸う 蕾綻びぬ 黄色仄か
此処はもう 水仙の小苑 未だ幼なの
嫁菜の叢 薄紫の小苑 山際に
痺れ切らし 抜かれし 葉許りの 黄花コスモス
咲かぬなら咲く迄待たむ とはいかぬかや
葉許も 一つの景 晩秋の
ホロホロと 転(まろ)びつ 舞いぬ 落葉かな
黄花マーガレット 咲き残るるも 晴れやかな
桜紅葉 石蕗(つわぶき) 晩秋と初冬
令和元年 11月16日
<9首>
石蕗の 黄花 愈よ 辺り 寒
冬隣り 思うや辺り 寒気あり
珠椿* 黒紫の珠実 欄干に
ーー*鼠黐の別称
夏蔦 紅葉 珠椿 黒紫 空紺碧
夏蔦や 濃色紅葉 冬隣り
紅葉(もみじ)並木 紅葉(こうよう)未だ 三分ほど
紅葉三分 見頃や 未だ もう少し先
木漏れ日の 煌めきぬ 紅葉並木哉
昼下がり 遠回りの 紅葉見狩り
キラッ キラ 照葉眩しき 紅葉狩り
令和元年 11月17日
<11首>
枯れ芒 垂(しだ)るる向こう 紅葉映え
明け烏 啼き声 空(むな)し 秋の暮れ
白き月 ぽっかり 晩秋の今朝
山里や 西 白き月 東 朝日
紅葉狩り 一樹 二樹 もうお仕舞いとは あぁ
茎すらり ジャガ芋 窓辺の水耕
一 二・・・七段 小葉 連連 茎ジャガイモ
八段目も ジャガイモの葉と成りぬ らしきが
羽状複葉 日日 大きく ジャガイモらしく
ジャガ芋 白根 伸び伸びぬ 芋や何処
背向けられぬ 心(うら)寂しき 窓辺のジャガ芋
ーー日の差す向こう側に 葉向けぬ
ジャガイモ 向日性
令和元年 11月18日
<9首>
枯れ尾花 綿毛ふわふわ 飛ぶ先は
揺れては 止まり 且つ揺るる 花薄
大揺れ尾花 木枯らしの戯れ
曇り行きぬ 朝空 侘し 秋の暮れ
暁烏 鳴きつ去る秋 何急ぐや
日の差すも 翳るも これぞ 小春日和
尾花戦ぐ 風のどやかな 小春日和
麗らかに 過ぐ昼下がり 小春日和
小春空 小鳥の声の 残響が
令和元年 11月19日
<13首>
キッチンのタイルに 蛞蝓(なめくじ) へばりつき
蛞蝓 小春日和 浮かれ出でぬ
前より 大きく渋色 大人のムード
小菊 未だ 蕾(らい) 小蜂待てぬか 飛び来
小菊やもう 葉紅紫色 花未だに
ハート形の 葉 幾重にも 何の花
紅葉見に 何時もの路を 遠回り
美しき哉 落葉の絨毯 桜紅葉の
紅〔葉〕 黄〔葉〕 橙〔葉〕 桜紅葉の グラデーション
拾いたり 桜紅葉の 紅 黄 橙
叢雲や 薄墨色に 秋夕焼け
秋宵闇 釣る瓶落とし も 最超速
秋宵闇 唯 灯の ぽつぽつと
令和元年 11月20日
<9首>
夏蔦や 青葉繁しも 今や惨
紅葉過ぎぬ 枯れ葉 垂(しだ)れる 夏蔦は
遠見は 燃ゆる紅 近見は 暗〔色〕紅葉
落ち紅葉 拾いぬ指先 冷たき哉
蔓 葛 愈よ 暗色 秋惜しむ
燃え上がる 火焔のような 紅葉の紅葉
落葉掻き するほどにも無き 落ち紅葉
無邪気かな 葉牡丹 幼な葉 鉢植えの
珠椿 実鈴生り 撓わわ 黒紫の
令和元年 11月21日
<9首>
白萩の 黄葉燃える 朝日影
槿 もまた 黄葉となりぬ 朝日影
咲き残りぬ 独り 背高泡立草* 黄色映え
ーー*漢字一語扱い
紅葉や 遠見にこそ 映え燃ゆるる
柿の枯木 最後の一葉 秋の名残
柿の色や 実も葉も 懐かし鄙の色
常磐なる木蔦 紅葉や見え隠れ
ミント嫩葉 もう緑の小叢 冬備え?
忍び込みぬ 木枯らし 身の縮み込みぬ
令和元年 11月22日
<8首>
蜜柑の実 独り下がりぬ 木守蜜柑*?
ーー*木守柿に倣って
金柑の実 未だ 青き哉 小春月
熟す日を 待ち侘びぬらむ 金柑の子
大きな実 椪柑(ぽんかん)? 文旦(ぶんたん)?
それとも・・・
此処は今 ミニミニ果樹園 小春日和
ひめ椿 二輪 愛らし 彼(か)の風姿
忘れ花 皐月躑躅や 淡紅一輪
常磐葛 愈よ 盛りぬ 初冬知らぬ
常磐葛 思わぬ方(かた)へ 延び放題
令和元年 11月23日
<24首>
紅葉や 満面映えり 木立奥
小春日和 一瞬 冷風 愈々 初冬
茶褐色 同色の蛾〔=枯れ葉蛾〕 枯れ葉の舞
姿見ぬ 声聞く方(かた)や 小春空
未だ青くも 姿たっぷり 檸檬かな
楕円形 枝に垂れるる 檸檬の実
枝に生りぬ 檸檬ぞ 初見 楽しけれ
合計 七つ 檸檬の実 ぶらぶらり
檸檬の実 後は 熟すを待つ許ばかり
消えにけり 韮の花 葉も 冬隣り
木守柿 高見から泰然 見下ろしぬ
欄干に 這う夏蔦や 紅葉映え
今季の 葛(くず)どうしたのかしら 花を見ぬ
待てども待てど 花見ぬ葛や 物侘し
逆さ藤の 花総見ぬ葛 いと侘し
よくみれば 葉蔭に葛莢 五つ六つ
莢萎れ葉枯れぬ 荒寥 晩秋
小菊の鉢 漸う揃いぬ 塀の外
小菊の鉢 少し寂し気 去年(こぞ)の秋より
雛菊 咲きぬ 春呼ぶには 早や過ぎかも
河原撫子 心細げな 小春日和
吹き寄せられぬ 団栗 百個 落葉下
路の縁 団栗 痛まし 労(いたわ)しき
路の縁 肩寄せ合いぬ 団栗 不憫
路の縁 ”団栗の背比べ” あり
令和元年 11月24日
<7首>
路上に散りぬ 桜紅葉や 落葉敷
白萩の 黄葉愈よ 黄金色
黄金に燃ゆる 黄葉や 白萩の
何処からか また匂い来ぬ 落ちb焚き
落葉焚き 焚きぬ落葉や 桜 楓
小春日和 草木閑か 枯〔れ草〕も 青〔草〕も
枯と青の織り成す 荒れ野や 冬来たる
令和元年 11月25日
<10首>
彼(か)や夢幻 草草静か 佇みぬ
昨夜(きそ)の木枯らし 音量音色 フォルテシモ
朝凪や そよとも揺れぬ 庭の草木
戦ぐ草木 小春日和や 戻りたり
昼凪や 紅葉 黄様 映え映えるる
薄絹のような 千切れ雲 小春月
彼(か)の鳥は? 尾羽 翻し飛び去りぬ
令和元年 11月27日
<10首>
鈍色なり 辺りすっかり 初冬の景
冬色の日影 差し込みぬ われ(あれ)が庵(いお)
逆光に浮かぶ 紅葉や シルエット
冷気籠む 朝の我(あ)が庭 紅葉一葉
寒冷や 掻き分け触れる 紅葉かな
寒冷や 弥よ 優りけり 山里は
冷感を 知らぬ気 舞い舞いぬ 冬蝶哉
実紫 実も葉も枯れぬ 枯れ枝(え)や侘し
団栗も 色褪せ萎びぬ 路(みち)の縁(へり)
令和元年 11月28日
<10首>
また 木枯らし 枯れ葉と雀の 斜滑空
枯れ芒 右へ左へ 大揺れ小揺れ
亦 枯れ(か)の鳥 雀より大形 こがらしの空
木枯らし去りぬ 辺り 沈沈 枯れ尾花
眩し気かな 木枯らし後の 夕空は
朝鈍色 日中(ひなか)鈍色 冬や来ぬ
彼(あ)や 木守柚子* 我(あ)や 炬燵守
もう冬日
ーー⋆木守柿に倣って
金水引き 紅葉の葉葉 冷艶あり
叢雲に 月影冴ゆる無き 今宵
令和元年 11月29日
<29首>
奥向こう 紅葉の幼木 艶のあり
眩しき哉 日傘翳しぬ 冬日差し
秋日傘 冬日傘となりぬ 日差し強し
紅 橙 黄 緑のままも 落葉色々
緑のまま 落葉となるは 木枯らしの所業
落葉拾いぬ 盆に広げば 晩秋の賑わい
姫椿 一重八重咲き 冬来りぬ
枯松葉 松毬 団栗 枯れ野の賑わい
荒れ野となりぬ 秋草消えぬ 寂し
日向ぼっこ 石蕗(つわぶき)広葉」も 枯れ」茎も
柿の実や 丸々熟しぬ 枯れ(あ)や 渋柿
柿の実 数多 葉無き梢の 夫々に
柿の実 三つ 誰(た)が選ばれるや 木守柿
柿の実や 照り映え 愈よ 柿の色
柿哀れ 突かれ 食(は)まれぬ 蔕(へた)と皮
団栗割れぬ 種子 吃驚顔みせり
殻斗(かくと)から外れぬ 団栗 すっぽんぽん
落ち姫椿 白き花茣蓙 路沿いに
花やぎぬ ネリネ二花茎 冬空に
椿の蕾 微笑みぬ 寒椿?
令和元年 11月30日
<5首>
桜木落葉 枯れ木に冬芽 見たり
雪柳 葉 紅橙色 紅葉柳
夕日映え 黄金色鏤む 初冬の小苑
ゆうひ差しぬ 初冬の苑や 黄金映え
夕烏 雲茜映え 枯れ尾花
令和元年 12月1日
<10首>
荒寥たる崖 黄葉 光輝(こうき)
柿蘖(ひこばえ) 萌葱の葉 楓樹下
彼(か)の実ぞ何(な)ぞ 枝枝(ええ)や撓む
柿似の小振り
万両の朱実* 葉蔭に 時や待つ
ーー*正月飾りに用いられる
花大根* 団扇形の莢 野晒に
ーー*諸葛菜の別称
花大根 枯莢 弥よ 薄く儚き
花ネリネ 寒さ好みや 鮮桃色
裏山や 紅葉の錦 未だ見ぬ 何故
北風吹かぬ ふんわり穏やか 昼逍遙
令和元年 12月2日
<11首>
枯れ芒 茎 白露連ねるる 今朝
うらぶるる 冬庭や 雀 七・八羽
寒天を 餌探しに来たるや 雀等よ
一夜雨 甦りたり 黄葉草
枯れ草冬草 生生(いきいき) 一夜雨
冬空や婆 澱みぬ 揺蕩う 鬱 散ぜぬ
冬 日影 雲黄金映え 斯(か)くも 斯くも
南天 の実総 赤 紅深む 候となりぬ
見渡せば 辺り悉皆 冬気色
今 極月 庭の千草や 眠りたる
夕凪や 辺り静止画 枯れ尾花
令和元年 12月 3日
<6首>
寒空に 一声のあり 暁烏
冴え渡る 青空 煌めく冬草
源平小菊 一輪 寒風笑む
紅(くれない)の薔薇と見しは 冬嫩葉
実芙蓉枯れぬ 薄ら侘しき 冬の空
姫椿 紅に咲きぬ 空碧き
令和元年 12月4日
<11首>
白壁の 黄金映えや 冬朝日
冬の朝 黄金映え 草木不思議
裏山や 漸う紅葉 彼方に一樹
躑躅紅葉 美し 春とは異な
見る度に 心浮き立ちぬ 躑躅紅葉
緩やかに 戦ぐ草木 冬の朝
冬日差し 斯(か)くもかくも のどやかな
冬麗ら いざ挑まむ 枯れ草刈り
枯れ尾花 綿毛に咽びぬ 枯れ草刈り
尾花に絡みぬ 早乙女花の実や 金茶色
枯れ尾花 早乙女草の実 冬の意匠
ーー秋草の代表的な意匠や
芒に絡みぬ 早乙女花
令和元年 12月5日
<8首>
枯れ庭に 独り青青 背高泡立草*
ーー*漢字一語扱い
蕾笑みぬ 背高泡立草かな 寒空に
極月に鱗雲 秋の別れぞ
そそり立ちぬ 枯れ芒 何(な)見 何(な)想う
白萩も 黄葉 終焉 心(うら)寂し
穏やかな 小春日に 寒風とは
あっ 鶯 庭の梅まだ 蕾(らい)無きに
鶯色 渋く映えぬ 飛び去る背
令和元年 12月6日
<12首>
溝底に 姫椿 一弁(ひとひら) 紅葉(もみじ)葉と
石垣の 雪柳紅葉 黄 橙 紅
黄橙紅の グラデーション美麗 雪柳
紫陽花(しようばな) 紅葉 紫葉 寒空に
木瓜(ぼけ) 二輪 忘れ咲きらし 暗緋色
切れ葉野葡萄 青青戦ぎぬ 北風に
枯れ蔦 棚引きぬ 石垣 寒々
鈴懸の樹 枯れ葉ばかり 鈴〔果実〕や何処
鈴や見ぬ 鈴懸の樹 今冬の怪
ーーいつもの初冬の景を想い出しつ
ガツ~ン 路上に響きぬ 鈴懸の実
桜木の 最後の一葉 心入りぬ
八つ手の花 小さき拳骨(げんこ) 八方に
此処彼処 小さき落葉 小さき初冬
令和元年 12月7日
<11首>
ゆらゆらとり 枯れ芒 亡霊の如 ゆらゆらり
紅葉映え 手触るるほどの 間近
桜木は 冬芽や付けぬ 梢 梢に
山葡萄 枯蔓 絡みぬ フェンスに
大蛇の如 枯蔓 くねくね 山葡萄
裏山や 並めて 枯れ色 色々あれど
薔薇(そうび)一輪 其処だけ 冬麗ら
時鳥草(ほととぎすそう) 触れれ散るも 未だ二輪
時鳥草 忘れ花哉 今 極月
近づけば ミニ薔薇 一輪 寒空に
忘れ花 出会いぬ楽しみ 冬逍遥
柿蘖(ひこばえ) 少し枯れ初む 冬寂し
令和元年 12月8日
<11首>
明けぬれば 辺り青空 秋の末
ーー木枯らしの強く吹きたる真夜の
明日(あした)
末枯(うらが)れの蓬や 哀れ 冬初め
独り食(は)む 干し柿甘き 寒三日月
独り居も また楽しきかな 吊るし柿
黄小菊や 震えつ 咲きぬ 冬ざるる
残菊や 紅 白 淡紅 鮮やか今朝
金柑実 黄金付きたる 冬来たる
鴨脚樹 黄葉 愈よ 秋果てぬ
鴨脚樹 黄葉 よちよち 鴨の脚跡
見渡せば 何処(いずこ)も寂し 冬黄昏
冬闇夜 月影星影 あらまほし
令和元年 12月9日
<9首>
真っ青な大空 初冬の行楽日和
冬空の青きや 窓辺で愛でるもの
枯れ泥(なず)む 雪柳の 紅葉かな
皐月躑躅 未(いま)だ 紅紅 冬日映え
トレイの上 団栗 松葉 秋惜しむ
紅葉(もみじ)の葉も 散りて末(うら)枯れ
晩秋の情
日脚伸ぶ 長 長 長(なが なが なが)と 冬日差し
翳(かざ)す手の 仄か暖か 冬日差し
鈍色籠(こ)ぬ 日差し眩し気 冬西日
令和元年 12月10日
<18首>
源平小菊 枯叢に一輪 忘れ咲き
柿の実 五つ 枯れ木に 冬の賑わい
石垣や 蔦紅葉(つたもみじ) 枯蔦のアート
落葉敷 踏み入れ難き 老いの身は
此処からは もう冬山路 戻りなむ
姫椿 紅白 咲きぬ 此処 彼処(かしこ)
甘やかな 紅葉落葉 冬逍遥
冬薔薇(ふゆそうび) 枯れ枝に嫩葉 匂いたちぬ
あらっ 水仙 もう 咲き初みぬ 寒の感
目に鮮やか 白花水仙 山際の
彼岸花 忘れ花独り 崖の上
花酢漿草 萎れず枯れず 冬麗ら
冬薔薇(ふゆそうび) 蕾微笑みぬ
花弁(はなびら)ちらり
慎ましく 犬蓼小さきが 路の縁
黄花マーガレット 笑顔や優し 北風に
北風も 暫し留まりぬ マーガレット見*
ーー*花見に倣って
櫨独り 紅葉 目を射る鮮やかさ
鈍色の空 鈍色の陽 紅葉も
令和元年 12月11日
<9首>
ぼさぼさと 折れ倒るる 枯れ尾花 哀れ
雪柳 橙葉 満開 冬日影
気紛れな 小春日和が 初時雨
ネリネ花茎 鮮桃〔色〕すらり 冬日影
いと疎まし 垂れ籠める 鈍色の情
葉牡丹の風姿 彼方此方 もう迎春モード
葉牡丹や 大きも小さきも 笑顔笑顔
迫り来ぬ 夕闇 枯尾花 幽霊に
おぉ 寒(さむ)!暖にほっこり 置き炬燵
令和元年 12月12日
<10首>
日溜まりの 源平小菊花 転寝(うたたね)ネ
草紅葉 未だ続きぬ 冬天に
実南天 熟れ熟れ 小鳥 知らぬらし
散り始む 雪柳橙葉 秋惜しむ
冬日差しぬ トレイの紅葉葉 末枯れり
落紅葉吹き寄せ 溝の彼処此処(あちこち)に
寒椿 ぱぁ~と 華やか 向こう向き
橙?柚子? 黄に熟する樹 寒景色
椿の冬芽(とうが) 尖がり帽子の如 尖がりぬ
待つらむや 椿の冬芽 遠き春を
令和元年12月13日
<8首>
茜さしぬ白壁 冬の朝美(うま)し
源平小菊 白から紅へ 妖艶な
枯れ叢に白花 二輪 源平小菊
草紅葉 大毛蓼(おおけだて)や 枯草叢に
草紅葉 犬蓼や 枯れ草叢に
実南天 熟し零れり 柄 茎許り
山里や 紅葉(こうよう)すなり もう落葉
姫椿 寒椿と花やぎぬ 逍遥路
冬闇夜 零るる星も 月も無く
令和元年 12月14日
<14首>
長花鉢〔プランター〕 冬草千草 繁し生い
春野芥子 茎低く生いぬ 黄花一輪
水仙の 蕾横向き 三つ二つ
うらぶるる 山際の野辺 白花小菊
まぁ 蒲公英(たんぽぽ) 時知らずほ 黄花 可愛い
或は飛び 或は残るる たんぽぽの綿毛
ーー色色なのシクラメンの花鉢を
眺めつつ
シクラメン* 篝火(かがりび)色々 燃え立ちぬ
--*和称は 篝火草
デージー 花頭垂れおり 植え込み蔭
衝羽根空木*(つきばねうつぎ) 白小花映え
ーー*漢字一字扱い 咲き続きぬ
振り返り 振り返り過ぐる 空木垣
咲き残りぬ 黄花コスモス 蕾あり
令和元年 12月15日
<13首>
ヒュ~ ヒュゥ 不気味な風音 枯れ葉の舞い
日差し 濃し 枯れ庭に 雀一羽
北風の 抜ける野や 寂びれるる
吹き渡る 北風 棘(おどろ)の 葎哉
梢に影 鳥影と見しや 枯れ葉の影
日差し濃し 鴨脚樹(いちょう)の黄葉 一段と
黄菊 寒菊 寂れ 寂しの風姿
黄葉 黄葉 鴨脚樹 唐胡麻の初冬
あっ今の 鶯よ やっぱり 鶯よ
赤柏 黄葉 三葉 散り泥みぬ
赤柏 茎 枯木となりぬ 冬天突きぬ
群れ来止りぬ 梅の枝(え) 彼等(あれら) 誰(たれ)ぞ
草紅葉 野火燃え盛るが如 色鮮やか
令和元年 12月16日
<7首>
朝凪に 姫椿一弁(ひとひら) 散りぬ
音も無く 散りぬ 一弁 姫椿
朝日映え 枯れ庭も映えぬ 我(あれ)が庭
草紅葉 日影映え 枯れ草日蔭
枯れ草や すべからく 退色 白茶色
狗尾草 枯れ実穂 倒れぬ 四方八方
四散の 枯実穂 ロゼットの如 狗尾草
令和元年 12月17日
<12首>
和らぎぬ 冬の日の寒冷 少しばかり
穏やかな 晴れ渡る空 冬日和
金茶色 黒紫色 何(な)の葛の実
秋去りて 冬来たりなば 辺り枯れり
菫冬葉 枯れ草被るも 生き生き
ポツリ ポツ 冬の時雨の 暖かさ
漸うに 紅葉 橙葉 裏山が
遅き哉 裏山の紅葉 今極月
裏山の紅葉くすみぬ 暫し待つらむ
其の内に紅葉錦と 成るらむと
枯れ色とは見えぬ裏山 橙葉よ
色 色々 橙錦の裏山かな
令和元年 12月18日
<13首>
天晴れやか 地冷ややか 昨夜(きそ)の雨
冬空や 春想いぬほどの 長閑(のどや)かさ
北風や やはり冷たき 枯れ野哉
蛞蝓(なめくじら) 夜寒に 身膨らませぬ
寒き朝 蛞蝓の身柄 二分の一に
落紅葉 よちよちよちよ 鳥の足跡
各段の隅 紅葉の吹き寄せ 石段の
紅葉に枯れ色 枯れ葉に紅色 冬の綾
芒の葉叢 黄葉混ざりぬ 冬ざるる
枯れ尾花 枯れ葉芒の 枯れ茶色
名の分かぬ樹の 葉萌葱に 春めきぬ
公孫樹(こうそんじゅ)黄葉(おおよう)映え
陽射し映え
大葉 小葉 同じ黄葉 同じ銀杏(いちょう)
令和元年 12月19日
<8首>
北風や 朝露散らしぬ 実南天の
冬日差し 薄く差しぬ 我(あれ)が庭
曇るれど 今日(けふ)や 会うらむ 君と再び
久し振り 君と二人 冬逍遥
あっ オリーヴ 君指す彼方 黒熟の実
カリフラワー見たり 茎に鈴生り 初見なり
夕闇に 寒灯ぽつぽつ 山里や
星影無く 唯 寒灯の煌めきのみ
令和元年 12月20日
<9首>
雪柳 橙葉紅付きぬ 朝日映え
馬酔木(ばすいぼく) 蕾穂 弓形(ゆみなり) 撓む今朝
絹糸の 棚引く 今朝や 春模様
青木の実 独りちらりと 青葉の蔭
他には と探せば 青木 冬芽あり
枇杷の樹も 冬芽 彼処此処 上に下に
枇杷の樹や 憚(はばか)りながら 葉許りを
日差しあり 障子明るる 昼下がり
日差しあり 障子に影絵 枯れ尾花
令和元年 12月21日
<11首>
紅葉散りぬ 紅葉の裸木 寒寒と
紅葉落葉 綺麗に掃かれぬ 年越し仕舞
ネリネ 二輪 震えつも 鮮桃色映え
木瓜(ぼけ)の 枯実 忘れ花と 何(な)を語る
竹藪や 森閑とせり 雀等 何処
珠菜の生り残り 葉牡丹とや見るゆ 新春近し
白菊も 渋き紅紫に 寒菊に
葉も 寒に 紅紫勝ちたる 白菊哉
落紅葉 紅* 扱き混ぜ 綾錦
ーー*姫椿の花弁の紅色
石蕗や などか侘し気 フェンス向こう
ひっそりと 佇む残菊 山際に
令和元年 12月22日
<8首>
今日〔けふ)冬至 南瓜食む習い 如何に過ごさむ
逡巡せり 初生り*の南瓜 食むは
ーー*我(あ)が庭の初生りなれば
初生りの 南瓜 やはり 飾り棚に
食むよりも 眺めて冬至 初生り 南瓜
野菜籠の 南瓜取り出し 煮物せり
これで一年(ひととせ)や 無病息災を
冬至過ぎれば 日脚伸ぶらむ 日毎 少し
日脚伸ぶ先 落葉紅葉の 吹き溜まり
令和元年 12月23日
<8首>
枯れ木立 谷間 唯 潺(せせらぎ)の音
枯木立奥 椿の濃緑 艶やかな
樹々 悉皆 葉落としぬ 冬ざるる
枯れ木立 透かし青空 猶青し
末枯れるる 落葉クルクル 舞い転(まろ)びぬ
枯れ葉一葉 背(せな)丸めつ 散り去りぬ
どっぷりと 暮れぬる 山里 唯 寒灯
荒寥 荒涼 山際こそ 侘しけれ
令和元年 12月24日
<10首>
ミント小叢 こんもり繁る 冬麗ら
冬麗らも うらぶれ気分 優りけり
源平菊 葉叢青青 花二輪
水涸るる 溝底 紅葉葉 三三五五
野辺今や 枯れ草枯れ野 侘しけれ
野草悉く 掃かれぬ 虚無の感
枯れ芒 枯れ狗尾草 枯れ蓬
ーー冬の御三家 枯れ草の
枯れ野 枯れ苑 唯常緑の樹々
常磐樹も 渋色暗色 冬ざるる
雛薔薇の 二輪赤き 冬空に
令和元年 12月24日
<10首>
麗らかな 冬 日差し 枯れ芒揺れ
閑閑とも感ずる 寒寒な冬木立ち
紅葉 は散りぬ 枯れ木 寒寒 山里よ
花水木 尖(とん)がり 冬芽(とうが) 枯れ梢
花水木 冬芽 春まで 忍らむ
枯れ尾花 昼光に浮びぬ 銀色(しろがねいろ)
雪柳 残るる紅葉 日差し映え
樫の葉 昼光に 浮かれ
槿枯木 白く光るる 冬麗ら
枯木常磐樹 隣り合い 陽光享受
令和元年 12月26日
<10首>
花の宴 黄黄 黄 喜喜 黄の 夢枕
彼(か)の花や 何(な)の花そと問いぬ 夢枕
風揺るる 黄花弁(はなびら) 大輪の
風に波打ちぬ 花叢* 亦の情
ーー⋆草叢に倣って
極め付き 紅葉の紅(くれない)極み付き
南天日蔭 葉許り 繁し 深緑り
枯れ庭の 南天の実総 赤赤赤
御多福南天 葉 紅色の笑顔哉
冬時雨 枯れ草までも 生き生き生き
霧立ちぬ 裏山 仄か 紅を見ゆ
令和元年 12月27日
<19首>
ーー昔日の逍遙を想い出しつ
実総 南天 赤赤赤に 倦みおれば
白き実総 不意を衝かる感のあり
南天実総 白きに吃驚 不思議の情
南天の 白き実見たは 何時のこと
南天実総 赤ばかりと 幼き日より
雪兎も 目や南天の 赤き実
椿 侘し 実の一つだに無き 今冬や
非榊(ひさかき)の実 累々 青から黒紫
小さな実 数多非榊の 枝腋に
彼(あれ) 木通(あけび)の冬芽らし よく見えねど
パンジー花 色々 寒そう 可哀(かわい)そう
プリムラと シクラメンや 冬のコンポート
水仙花冠 横向き 左(ひだり)向き右向きも
枯れ葉 転(まろ)びつ ふと 止まりぬ 日溜まりに
片時雨 走ろかど否か 老いや惑いぬ
歩くのみ 其れも 一興 片時雨
苔こんもり 緑優るる 片時雨
片時雨 落葉に 一時の甘露雨
片時雨に映える 蓬の若葉叢
令和元年 12月 28日
<8首>
年の瀬や 行き交う車も 忙し気
年の瀬も 我(あ)や 安穏 いつもの如
慌しきは昔 今もう静か 年の暮れ
慌しき無きは 何処か拍子抜け
時止まりたるか とぞ 年の瀬の無事
歳末の 賑わいの無き 山里かな
令和元年 12月29日
<11首>
青き哉 何処までも 今朝の冬空
昼下がり どんより 曇り 青空何方(いずち)
我(あれ)が庭 常磐の樹木 数えれば
要黐 躑躅 樫 非榊 蔓茱萸 万両 青木 枇杷*
ーー*漢字一語扱い、合計 17語
要黐(かなめもち) 赤き嫩芽や ほんに 赤芽黐*
ーー*要黐の別称
半円に咲く 〔要黐の〕白小花今季や想い出
花も見ぬ 実も見ぬ 要黐 もう年の瀬
蔓茱萸(つるぐみ)実生え こんな処に 非榊の脇
実生え見たも いつの間にか消えり 蔓茱萸
万両も 思わぬ処に 赤き実垂れぬ
蔓茱萸も万両も 出没自由な 我(あれ)が庭
珊瑚樹(さんごじゅ)も 切られ払われ もう枯れる
博打の樹(ばくちのき) 樹皮より 葉枯れ剥がれ落ち
令和元年 12月30日
<9首>
片時雨 小花の向こう 朧朧な
樫の枝 絡む葛(かずら)に 片時雨
ポツリぽつ 樫の葉打ちぬ 片時雨
片時雨 しっぽりしっとり 枯れ紫陽花
切り消えぬ 烟(けぶ)るる景あり 片時雨
朝晴天 昼曇天 冬の空
ーー’秋の空’ならぬ
漸うに 晴れ渡りぬ空 寒雀
青木の葉 斑入り鮮やか 愈よ冬
枇杷の樹 花芽や何処 未だ見ぬとは
令和元年 12月31日
太き葱 直径一寸 夢畑
萌黄色すいすい伸びぬ 葱畑
おぉ 冷たい 蜜柑頬張り 炬燵守り
冷たき哉 蜜柑剥く 指先の
蜜柑の皮 窓辺に吊るしぬ 大晦日
枯れ小苑 緑晴れやか 背高泡立草
除夜の鐘 いえ 未だ宵 大晦日(おおつごもり)
令和2年 1月1日
<10首>
無為 無難こそ 目出度き哉 我(あ)が初春
目出度きは 無事に過ごしぬ 初春や
初詣で 我(あれ)が庵(いお)裡で 遥拝
お屠蘇 お節も無きが 我(あ)が初春
初春や 葉牡丹揃いて 招福笑(え)
去年(こぞ)の冬 見つけり蜜柑 昔のままの
柔らかな 皮剥けば 懐かし小振りの蜜柑
想い出しぬ ほろ苦き味 蜜柑湯の
ポスト・ハーヴェスト 蜜柑湯(親しむは)久しく
なりにけり
焼き蜜柑 火鉢見ぬ今 如何にせむ
令和2年 1月 2日
<12首>
我(あ)が書初め HP(ホームページ)の初打ちなり
初春の門出 郵便ポスト迄
ーー*お年賀状の返礼を出しに
雪柳 紅葉散りぬ 冬ざるる
と思いきや 新芽 枝枝に連なりぬ
初春や 甘藍の残り葉 葉牡丹の如
初春や 花びらの絨毯 姫椿の
枯れ果てぬ 万寿菊の葉や 哀れ哉
初春や 水仙白花 八方笑顔
彼方は如何 水仙の郷(さと) 小さき小さき
姫柘榴 枯れ実 枯れ枝 夕日淡し
初春や 椿に蕾 ふっくらと
白木蘭 花芽突き上げぬ 初春の空
令和2年 1月3日
<8首>
茫茫の 枯れ藤葛にも 初春が
藤葛 嫩芽(どんが) 其処此処 秘めやかに
姫椿 紅の 鮮やか 遠見にも
姫椿垣 刈り込みにも 残り花
初売り 閑散 いつもの売り場の如
初売りや 少しの賑わい 在らま欲し
彼処此方処(あちこち)に 水仙の小叢 花一茎
落葉下 若草覗きぬ 初晴れ哉
令和2年 1月4日
<9日>
四方(よも)の春 空悉く 青色なり
新年四日目 青天続きぬ 椿事かも*
ーー*正月三が日には 御降り(おさがり)の
あるが習い
初烏 二羽 ゆったりと 朝空を
初雀 飛び来 且去りぬ もう餌探し
四方(よも)の春 無事安穏こそ 目出たけれ
目出度き哉 ゆったり過ぐる 我(あ)が初春
枯れ紫陽花 枯れ木に檸檬 冬ざれ哉
夕暮るる 水仙花白き 淡き月
夕星(ゆうずつ)とみしや 鉄塔の灯(ともしび)らし
初春や 一人句会も また楽し
令和2年 1月5日
<10首>
銀色(しろがね)に光るる 甍(いらか)や 初春朝
霜枯れや 白菊 紅の暈し染め
桜木の 梢 梢に 冬芽あり
雪柳 紅葉散れば冬ざるる
と思うや 新芽 枝枝(ええ)に小珠 連ね
初風に 戦ぎぬ 小篠 斑入りの音
蓬萌えぬ 枯れ草残るる 我(あれ)が庭
一・二輪 花冠 微笑(ほほえ)みぬ 水仙叢
茜雲 叢雲一面 冬今宵
雲流るる 茜色残しぬ 冬今宵
令和2年 1月6日
<6首>
薄墨の四方(よも)実南天 赤赤と
非榊(ひさかき)に赤き実 南天の迷い子
枯れ小苑 若草萌えぬ 早春モード
枇杷緑 黒々と 沈みぬ 冬の宵
冬ざれや 紫陽花 可笑し 紫陽葉に
葉紫陽花 霜枯れ紫紅 冬姿(ふゆすがた)
令和2年 1月7日
<8首>
春野芥子 蒲公英 鬼田平子* 初春の路
ーー*漢字一語扱い
菫冬葉 萎るるも 生き抜きおりぬ
冬時雨 姫椿に露 朝日映え
冬時雨 ぽつりぽつりや 冬暖か
小鬼田平子* 華奢 七種粥*には 摘み難し
七種粥 祝いの慣(なら)い 遠くなりぬ
想い出しぬ 七種粥の 若菜の青
令和2年 1月8日
<13首>
ゴキブリ出でり 初春の ご挨拶や
いざ問わむ 彼(か)の蛞蝓(なめくじ)や
如何なりや
知らず 俎板の縁を 蛞蝓の瀬に ギュン
蛞蝓も 越年出会えば 愛らしき
--*なので 心配募りおり
今朝 蛞蝓(なめくじら)や のったり ぬったりと
ゴキブリ優し 我(あ)が思いを 蛞蝓に
もう一匹 蛞蝓 窓辺に のったりと
如何かと 連れ添いて来たるや 彼(あ)は
ゴキブリも ティーカップの蔭から 見守りおり
我(あれ)感謝 四方(よも)から起きぬ 幸福感
冬時雨 梅雨ぞ 思わるる 今日(けふ)の朝
北風に 戦ぐ枯れ草 春日影
キラキララ 枯れ草光輝 冬日かな
令和2年 1月 9日
<12首>
朝露や 朝日に映える 藪椿
枯れ草も しっとり濡れぬ 朝日映え
漸うに 名知れり 彼(あ)の 淡紅花
名や姫溝蕎麦(ひめみぞそば) 名の長きことよ
姫溝蕎麦 姫や雛 溝蕎麦とは 溝の側や
四季折々 何時でも咲きぬ 姫溝蕎麦
春夏秋冬 何処でも出会いぬ 姫溝蕎麦
夕星(ゆうずつ)や やはり 夕星 寒灯に非ず
ーー 夕星は 宵の明星
先日 寒灯と見誤りぬ
雲間より 夕星出で離 冬の宵
冬の宵 夕星 独り 冴え渡りぬ
もう消えぬ 宵の明星 暫しの別れ
夕星や 次の出会いは 東雲(しののめ)の刻
令和2年 1月10日
<12首>
はたはたとはためきぬ 葉蘭 艶な風姿
ーー昨夜(きそ)の夢見の世界
四方(よも)はもう 三寒四温 今日(けふ)や温
寒最中 にも 春の匂いや 何処からか
満目 蕭条(しょうじょう) 唯 六甲颪(おろし)の音
姫溝蕎麦 独り ポツリ 残り花
霜枯れや 根生葉は 暗紅紫
石垣下 暗紅紫葉 次次と
根生葉 暗紅紫の花盛り
夕星や 今宵も 煌煌 冴え冴えと
独り占めぬ 宵の明星 寒天を
令和2年 1月11日
<17首>
青空に 絹雲 切れ切れ 冬麗ら
そろり そろり 冬逍遥や 老いの坂
枯れ芙蓉 枯れ茎 枯れ実 突き出でぬ
金茶映え 枯れ蔓の枯れ実総
雌の万年草 幾茎も横這い 冬麗ら
少し離れ 雄の万年草の 一叢(ひとむら)も
雌も雄も 甦りたり 浅緑
法蓮草(ほうれんそう) ミニ・ハウス開かれ 冬日浴*
ーー*冬の日光浴
四方(よも)*の苑 金柑熟しぬ 金色映え
ーー* 彼方此方(あちらこちら)
橙黄色 千両の実見たり 垣根越し
山際 蕭条 満目 草や見ぬ
谷間(たにま) 蕭条 潺(せせらぎ)の音 哀切
水涸るる 唯 姫椿の 紅一弁(ひとひら)
三日続き 夕星(ゆうづつ)冴え冴え 西方の
彼(か)や 夢見ゴキブリ 明けの明星 東雲(しののめ)の
驚いたり ゴキブリ 炬燵で 暖取りおり
我(あ)が身もまた ゴキブリと共 炬燵守り
縁飾り 姫蔓蕎麦や 石垣隙間
小花囲みぬ 暗紅紫の葉* 萎れつも
ーー*姫蔓蕎麦の
今 寒中 色淡くなるも 姫蔓蕎麦花 可愛い
健気かな 姫蔓蕎麦咲きぬ 寒最中(かんもなか)
四季咲きの 名にし負う哉 姫蔓蕎麦
春夏秋冬 姫蔓蕎麦や 咲き続きぬ
霜枯れの 姫蔓蕎麦や 一興あり
移ろいぬ 源平小菊 白から紅
寒中や 源平小菊花 暗紅色
北風に 戦ぐ可憐な 源平小菊
令和2年 1月13日
<8首>
我(あれ)が庭 六甲颪(おろし)と小春日和
四方(よも) 春めくも 風の寒きに 縮かみぬ
寒中 猶 緑残しぬ 庭草あり
ひらひらと 舞い落つ木の葉 冬蝶か
あっ あの 木の葉も 冬蝶の舞い
空 春色 我(あれ)が庭 寒中色
茜色 源平小菊花 夕焼け色
日沈みぬ 茜から黒影 枯れ小苑
令和2年 1月14日
<16首>
リラの古樹 新芽や見たり 仄かにも
うっすらと 萌黄ぬ枯れ枝 リラの古樹
三歳(みとせ)越えぬ リラ 枯れ樹のまま過ぎぬ
早春に リラ 芽生えの兆し 慶事
そうならば 毎日上げましょう お米のとぎ汁
鬼田平子 姫踊り子草 繁縷*(はこべ)
寄り添い萌えぬ
ーー*漢字一語扱い(10語)
烏野豌豆 若葉一杯 プランター
未だ幼なも 髭のばしぬ 烏野豌豆
石垣隙間 若草燃えぬ 春隣
冬菫 小さきが一輪 濃紫の
枯れ小苑 雀飛びきぬ 餌や如何
四方(よも) 蕭条 福良雀 一羽
石蕗(つわぶき)黄花 綿毛となりぬ 寒天
今宵 また 夕星(ゆうずつ)出会いぬ 今晩は
すっかりと 馴染みに生りぬ 夕星と
夕星煌煌 南天の黒影
令和2年 1月15日
<8首>
此の根生葉 何の草花 春野芥子
霜枯れの八重ロゼット* 愛らしき
ーー*rosett: 根生葉の別称
四方(よも)寒し ほんに寒中
大寒小寒(おおさむこさむ)
寒雨 寒雨 福良雀も 震えおりぬ
実南天 氷雨の雫 ぽとりぽとり
冷たき哉 身に沁みるる この氷雨
夕星(ゆうずつ)を仰ぎぬ 窓辺や 冬の夕辺
冬の宵 何時見ても 麗し 夕星かな
令和2年 1月16日
<5首>
凍てる四方(よも) 冬草 枯れ草 声も無く
凍て空や 唯 侘しき哉 枯れすすき
枯れ芒 白毛痩身 寄る辺無く
悴みぬ指 息吹きかけり 昔のように
悴みぬ指 庭へ出で 若草愛(め)でぬ
令和2年 1月17日
<12首>
去年(こぞ)の秋 じゃが芋実生え お皿に置きぬ
そのお皿窓辺に 我(あれ)が”水栽培”
窓辺や キッチン 陽の当たる場所
じゃが芋 やがて 茎一尺超え
根や白く 細く絡み合いぬ 幾重にも
葉羽状 じゃが芋の葉が 次々と
或る日気付きぬ 新しき茎 横這いの
見つけたり 茎途中 小さき塊(かい)
彼(あれ) 地下茎 三分許りの 塊茎なり
もう一つ 塊茎 見たり 今 寒中
寒暮哉 草木蕭条 我(あれ)が庭
遠吠えの 響き渡るる 寒夜哉
令和2年 1月18日
<17首>
路の縁 蓬の小叢 朝日影
姫蔓+蕎麦 花白色 葉や暗紅色
水仙花 愈よ 春の誘い哉
水流れ 光るる溝底 早春賦
蒲公英(たんぽぽ)花 黄と白 隣り合いぬ 珍
蒲公英*のロゼット 見ぬや 哀し早春
ーー*これは 関西蒲公英のこと
彼(か)の蒲公英 葉 レース模様 繊細な
桜草 色濃きが新しく らしく無し
桜草 やはり桜色や ふさわし
桜草 縮かむる風姿 哀 誘いぬ
シクラメン 篝火も消ぬ 寒中
水仙の小叢 人目に付かぬ 谷間(たにあい)に
あらっ 蓑虫 寒風に揺れぬ 揺り籠モード
桜の枯れ葉 綴り合わせぬ 蓑 温かそう
ぶら下りぬ 蓑虫 桜蘖(ひこばえ)に
もう一つ 小柄な蓑見ゆ 親子?夫婦?
桜蘖(ひこばえ) 冬芽 びっしり 枝それぞれに
❣ 俳句Ⅵへ進みます。
悪しからず御了承下さいませ
ーー
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